多様性が重視されている中、未だに子どものいじめはなくなりません。
いじめは、いじめられる側の問題ではありません。 いじめの原因はとても複雑で、その一つが子どもの不満やストレスです。
この記事では、いじめの原因を分かりやすく解説。 いじめの定義や現状、学校や企業での取り組みも紹介します。
いじめとは

そもそも、いじめとはどのように定義されているのでしょうか。
まずは、いじめの定義と現状を解説します。
いじめの定義
いじめの定義は、平成25年から「いじめ防止対策推進法」で以下のように定めています。
「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。
つまり、被害にあった子どもが心身の苦痛を感じた出来事がいじめということになります。 どの子どもが被害者もしくは加害者になってもおかしくないという危機感をもたなければなりません。
文部科学省は、いじめの中には、犯罪行為として扱うべきものがあると認めています。 生命に関わることもあるので、警察との連携は必要不可欠です。
現状の発生件数は?
いじめを認知した学校は年々増えています。 文部科学省の調査結果をみてみましょう。
平成29年度の小・中・高等学校、特別支援学校におけるいじめの状況は以下の通りです。
いじめの認知件数
全体の件数は、414,378件。
前年度の323,143件と比較すると、91,235件増加しています。 ちなみに内訳は小学校が317,121件、中学校は80,424件、高等学校は14,789件、特別支援学校は2,044件。
いじめをした認知学校
いじめを認知した学校は、以下の結果となりました。
・小学校:15,791校(総数の78.4%) ・中学校: 8,407校(総数の80.6%) ・高学校: 3,215校(総数の56.6%) ・特別支援学校:409校(総数の36.1%)
件数が一番多いのは小学校。 発生率が高いのは中学校であることが分かります。現状をみると、いじめは増加傾向です。 しかし、これだけ急増した背景には、学校全体のいじめを認知するアンテナが高くなったこともあります。
いじめが起こる原因は?

どうして、いじめは起こるのでしょうか?
そこには、個人と集団の問題が大きく関わっています。
個人的な原因
いじめは、不安やストレスのはけ口として起こりがちです。
加害者の多くは、「自分を大切に思えない」「誰かに認めてもらいたい」という不安を抱え、感情のコントロールや表現がうまくできません。 その結果、他者をおとしめて自尊感情を維持したり、八つ当たりをしたりすることでいじめに発展します。
現代の子どもは、「自尊感情の低い」「コミュニケーション能力が未熟」という点が問題視されています。 家庭環境や地域環境が変化したことにより、人間関係が希薄になったことや、インターネットの普及により表面的な友人関係が増えたことが影響しているのではないでしょうか。
集団の中で起こりやすい原因
学校やクラスの集団には、異質なものを排除して結束を高める傾向があります。 これがいじめを引き起こす原因です。
もし、誰か一人が周りと合わせられなかった時、それに違和感を感じる子どもが出てきます。 その感情が「ムカつく」「見ているとイライラする」「何かしないと気持ちがおさまらない」という気持ちが大きくなります。
さらに、それに同調する子どもが増えることでいじめが深刻化。 直接被害者を傷つけた子どもだけでなく、周りにいる子どももいじめの関係者になります。 「おもしろそう」と思って周りで見ている人も、見て見ぬふりをする人もいじめの加害者であることを忘れてはいけません。
つまり、集団の多くが自尊感情を高め、自分の感情をうまくコントロールできれば、いじめを防止できるのです。
参照元:子どもを守り育てるための体制づくりのための有識者会議|文部科学省
いじめの種類

では、具体的にどのようないじめがあるのでしょうか。
文部科学省の調査をもとにまとめました。
・悪口や嫌なことを言われる ・仲間はずれ、集団で無視をされる ・暴力をうける ・無理やり嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをさせられる ・インターネット上で、嫌なことをされる ・金品を隠されたり、盗まれたり、捨てられたりする
「悪口」「仲間はずれ」「暴力」は、どの校種にも多いようでした。 しかし、インターネットでのいじめは、年齢が上がるにつれて割合が大きくなっています。いじめ防止のための取り組み

複雑な原因があるいじめですが、防止のためにできることもあります。
現在、いじめを防ぐために学校や企業でどのような取り組みをしているのかを紹介します。
学校での取り組み
まずは、学校の取り組みをみていきましょう。
早期発見
学校では、早期発見に取り組んでいます。 いじめを防ぐには、その種をいち早く見つけることが大切だからです。
学級内で起こったトラブルを小さなことでも記録し、職員全体で共有する学校が増えています。 教育委員会も、そのような情報を月に1回、集約するなど現状把握に努めています。
「これはいじめではないだろう」から「これもいじめかもしれない」という意識に変わってきています。
「いつどこでいじめが起こってもおかしくない」という緊張感をもつことが未然防止に繋がります。
スクールカウンセラー
スクールカウンセラーとは、教育相談ができるカウンセラーのこと。 それぞれの学校に配置されていることが多く、子どもや保護者が相談しやすい環境に努めています。
教師だけでは対応できない心のケアを、カウンセリングのプロがフォローしています。
認め合う風土づくり
子どもが、いじめ防止に努める活動が増えています。 「いじめは絶対だめ」ということを子どもが心から納得することは、何よりの未然防止です。
例えば、長野市立長野中学校では、誹謗中傷やいじめを止めるためにポスターで、認め合う風土づくりに努めています。 子ども自身が誹謗中傷で苦しみ、命を落とす人がいることを知り、この状況に歯止めをかけようと思い、活動が始まりました。
一人ひとりがいじめの悲惨さに向き合い、行動を変えることは、認め合う風土づくりに大きく貢献するのではないでしょうか。
企業の取り組み
インターネット上でのいじめが増加している現状を受け、いじめ防止のために出前授業をする企業が増加しました。
特に通信系の企業は、子どものデジタルリテラシーを高める必要があると感じています。
LINE「情報モラル教育」
今、依頼殺到しているのが、LINEのオンライン出前授業。 全国の学校や自治体、関係機関において、無料で行っています。
子どもにインターネットやSNSにおけるコミュニケーションの特徴や利用時の注意点を伝えています。 ワークショップもあるので、相手とのコミュニケーションの難しさを体感しながら、情報モラルについて学べます。
NTTdocomo「スマホ・ケータイ安全教室」
NTTdocomo「スマホ・ケータイ安全教室」は、スマートフォンなどの利用で発生するトラブルを防ぐために実施しています。 小学校低学年向け、小学校高学年向け、中学校、高校、特別支援学校など、それぞれの発達段階やライフスタイルに合わせた授業をしてくれます。
現在は、オンラインがメイン。 リアルな事例をもとに、子どもは自分の生活と重ねながら、インターネットの使い方を考えられます。
2004年7月より開始し、2021年3月現在で、約91,000回、約1,411万人の子どもや関係者が受講したそうです。
今回紹介した企業の出前授業は、ただ教えるのではなく、子どもに気づかせることを大切にしていました。
まとめ

今回は、いじめの原因や現状などを詳しく紹介しました。
いじめが起こる原因の一つは、心の問題です。 子どもの自尊感情の有無が深く関わっていました。
学校で起こることが多いですが、未然防止には学校以外の力が不可欠。 家庭、地域、企業、子ども自身がいじめの現状を受け止め、自分たちにできることを探し、行動し続けることが非常に重要です。
すぐに解決することは難しいです。 しかし、自分や相手の存在をありのまま認めることが、いじめで苦しむ人を一人でも多く減らせるのではないでしょうか。

