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シンガポールで問題となっている大気汚染について解説!ヘイズとは?

インドネシアの島々で行われる農業や開発が原因で、大気汚染が引き起こされていることが国際的に注目を集めています。
なぜ国際問題になっているのかというと、大気汚染はインドネシアだけでなく、シンガポールをはじめとする東南アジアに多大な影響を及ぼしているからです。

この記事では、シンガポールに深刻な影響を及ぼす大気汚染、「ヘイズ」について詳しく解説します。

シンガポールの大気汚染、ヘイズとは?

シンガポールの大気汚染、ヘイズとは

ヘイズとは、乾いた微粒子によって辺り一面の空気が霧に包まれたようになる現象です。

ヘイズは、煙霧(えんむ)という気象用語です。
ヘイズが発生すると、視界が悪くなったり、焦げたようなにおいが充満したりします。

焼畑農業が原因

ヘイズが起こる原因の一つは、インドネシアのカリマンタン島とスマトラ島の焼畑農業であると考えられています。

焼畑農業とは、肥沃な農地を作るために伐採や除草の手間を省くことができる小規模な農家で伝統的に行われていた手法です。

プランテーション農業が原因

近年のヘイズは、焼畑農業だけが原因ではないことがわかってきました。

紙やパーム油製品の材料を生産するための大規模なプランテーション農業。
とくにパーム油の原料となるアブラヤシは、菜種や大豆などの植物油に比べて成長が速く年間を通じて収穫できるため、1960年以降に生産量が急速に伸びました。
そしてその開発のために、広大な熱帯雨林が違法に焼き払われていることが大きな国際問題となっています。

インドネシアのスマトラ島では、森林面積がこの30年間で半分になっているという報告も。
熱帯雨林の減少は野生生物のすみかを奪い、地球温暖化の原因にもつながる深刻な問題です。

さらに、この野焼きによって乾燥した土地はタバコのポイ捨てや落雷などをきっかけに山火事が発生する危険があり、連日多くの場所で山火事が発生して、数千ヵ所の火災地点が観測される日もあります。

このように、さまざまな原因によって放出された煙が季節風にのってシンガポールに到達し、ヘイズを引き起こしているのです。

参照元:インドネシア スマトラ島の熱帯林の減少|WWF Japan

ヘイズがもたらす影響と被害

ヘイズがもたらす影響と被害

野焼きによる大気汚染は熱帯雨林や野生動物に被害をもたらすだけでなく、東南アジアの国々で深刻な問題を引き起こしています。

ヘイズがもたらす影響と被害についてみてみましょう。

人体への影響

野焼きによって発生する煙は二酸化硫黄や二酸化窒素、PM2.5などを含んでおり、人体に有害とされています。

有害な煙を日常的に吸い込むと、さまざまな健康被害がおこります。
喉の痛みや目の充血、鼻炎症状だけでなく、心臓病や呼吸器疾患、そして肺がんのリスクにもつながってしまうようです。

さらに、子どもたちがヘイズによる健康被害から命を落としたという報告もあります。

社会・経済への影響

大気汚染の影響は、人への健康被害を引き起こすだけではありません。
火災が起きているインドネシアはもちろん、シンガポールやマレーシアといった広範囲の地域で、ひどい時には1ヶ月以上もヘイズが続いてしまうことがあります。

分厚い「もや」が上空を覆い、太陽が見えないほどに辺り一面に霧がかかった空が続くと、飛行機は欠航になり、交通や産業が停滞します。
また、健康被害を及ぼすほど深刻な大気汚染な状況では、学校の休校や企業への休業要請が政府から出されることもあるようです。

参照元:東南アジアにおけるヘイズ(煙害)の影響と企業の対策

ヘイズは目で見える?

ヘイズは目で見える?

ヘイズは煙害として目に見える現象ですが、どのくらいの有害性があるかは、一見わかりにくいことが課題です。

そこでシンガポール政府は、ホームページ上で大気汚染指数を連日公表しています。
有害な物質の濃度をもとにPSI(Pollutant Standards Index)という大気汚染指数を計算し、その数値によって危険度を示しています。

PSIで評価できない大気汚染は、PM2.5が指標です。
PSI値が60以上になると焦げたようなにおいがし、100を超えると鼻水やくしゃみなどの症状があらわれるようです。

シンガポールに在住の方は、公表されている数値をこまめに確認して、濃度に応じて外出を控えたり、マスクを着用したりするなどといった対策をおこなっています。

参照元:Haze(ヘイズ/煙害)発生に関する注意喚起について|在シンガポール日本国大使館

大気汚染を解決するための対策は

大気汚染を解決するための対策は

シンガポールで起こっている大気汚染は、近隣の他国が原因で起こっているため、国内だけの対策では解決は難しく、国を超えた国際的な取り組みの重要性が注目されています。

国際的な対策の難しさ

大気汚染の解決に向けた取り組みは、関係する国家間で利権が絡み合っている背景から、効果的な対策に結びついていない現状があるようです。

被害を受けているシンガポールやマレーシアはインドネシア政府の対応に不満を抱いている一方で、インドネシア側には「自国の熱帯雨林を焼き払って利益を得ているのは、諸外国だ」という想いがあるのではないでしょうか。

日本とヘイズの関係を知ろう

日本に流通するコピー用紙の約4枚に1枚はインドネシアで生産された紙パルプが原料になっていることを知っていますか?
そのほか、プランテーションから生産されているものは多岐に渡り、日本にも食料品やせっけんなどが輸出されています。

ヘイズは日本に無関係な問題ではなく、むしろ日本にもヘイズに対する責任があると言えるのではないでしょうか。

まとめ|シンガポールの大気汚染問題解決にむけて

(まとめ)シンガポールの大気汚染問題解決にむけて

東南アジア諸国で問題となっている大気汚染「ヘイズ」について解説しました。

日本にいながら海外の大気汚染問題について耳にしても、身近な問題として感じることは難しいかもしれません。
しかし、私たちの生活に欠かせない食料品やせっけん、そして紙類はインドネシアの自然豊かな熱帯雨林や、シンガポールやマレーシアなど諸外国の人々の健康被害を犠牲にして生産されているのだとしたら。

ヘイズは、私たちにとっても無視できない問題です。
大気汚染の原因となっているプランテーション農業について知り、日頃から購入する商品を選択したり、大気汚染を他人事と思わずに関心を持ったりすることが大切なのではないでしょうか。

  • 記事を書いたライター
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ナース×ライター×2児の母。看護師5年目でアメリカのカレッジに留学。現在は日本で看護師として働きながら医療ライターをしています。 趣味は海外旅行と英語学習。最高の息抜きは、イタリアンジェラートの食べ歩き。

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