レジ袋有料化とは、2020年7月1日から全国の小売店で、プラスチック製の買物袋を無料で渡せなくした制度です。法令上は容器包装リサイクル法の省令にもとづく「義務」で、スーパーやコンビニだけでなく、小売業を営むすべての事業者が対象になっています。一方で、街では無料の袋を渡している店も見かけます。それは違反ではなく、制度が最初から「対象外の袋」を認めているからです。開始から6年たった今、あらためて「どの袋が対象で、どの袋が例外なのか」を整理します。
2020年7月から全国一律で始まったルールの中身
この制度の目的について、経済産業省は「普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすること」と説明しています。プラスチックごみそのものを一気に減らす策というより、日常の消費行動に立ち止まる機会をつくる制度だと位置づけられています。
ここでは、誰が対象で、何が決まっていて何が決まっていないのかを先に確認します。
対象は小売業を営むすべての事業者
対象となるのは、プラスチック製買物袋を扱う小売業を営む全ての事業者です。コンビニやスーパーのような大手チェーンだけでなく、個人商店や、ほかの業種が本業でも、事業の一部として小売をしている場合は含まれます。
判断のポイントは二つあります。一つ目は小売業を行っているかどうかで、製造業やサービス業が本業なら、原則として対象外です。二つ目は事業として継続しているかどうかで、学園祭の模擬店やフリーマーケットのように、反復して継続的に販売するわけではない場合は対象外と扱われます。
法令の対象外の業種でも、自主的に有料化に取り組むことが推奨されています。
価格と売上の使い道は事業者が決める
レジ袋の値段は国が決めておらず、事業者が自分で設定します。ただし、1枚あたり1円未満の設定はできません。「3枚で5円」のように複数枚をまとめて値付けする方法も、有料化とは認められません。1枚ごとに価格を付ける必要があります。
売上の使い道も定められていません。ただし、消費者の理解を得るために、使い道を事業者が自主的に発信することが勧められています。環境保全団体への寄付などを行う企業もあります。
禁止ではなく「無料で渡さない」ルール
誤解されやすいのですが、この制度はレジ袋の提供を禁止するものではありません。お金をいただいて渡すことは、これまでどおりできます。
そのため、客が「袋ください」と言えば買えますし、店側は袋を用意しておく必要もあります。つまり、制度が変えたのは「無料で渡す」という慣行です。
有料化の対象になる袋と、対象外になる袋の見分け方
袋の側にも、有料化の対象と対象外があります。経済産業省のガイドラインや案内では、素材、持ち手、中身、辞退できるかどうかの4つが判断の軸になっています。
対象は「断れて、持ち帰り用で、持ち手のあるプラスチック製の袋」
有料化の対象は、消費者が辞退でき、購入した商品を持ち帰るために使う、持ち手のあるプラスチック製の買物袋です。
商品をバラで入れてもらう手さげ型の袋を想像すると分かりやすいでしょう。スーパーの精算後にもらう袋や、コンビニで弁当を入れてもらう袋がこれにあたります。
最初から対象外になる袋
素材や形で対象外になるものがあります。紙袋や布製の袋は対象外です。持ち手のない袋も対象外なので、肉や魚を入れる薄い袋や、バラ売りの野菜用ロール袋は有料になりません。
袋の位置づけで対象外になるものもあります。福袋のように袋そのものが商品の一部になっているもの、景品や試供品を入れる袋は対象外です。ただし、表示などで商品と明確に区別できる必要があります。免税店で消耗品を入れる袋のように、別の法令で提供が求められている袋も対象外です。
秋から年末にかけては福袋の予約や販売が始まる時期ですが、福袋の袋が無料なのは、このルールにもとづいています。
無料で配れる3種類のプラスチック袋
プラスチック製の手さげ袋でも、次の3つのどれかを満たせば有料化の対象外になります。
- プラスチックフィルムの厚さが50マイクロメートル以上の袋
- 海洋生分解性プラスチックの配合率が100%の袋
- バイオマス素材の配合率が25%以上の袋
厚手のものは繰り返し使えること、海洋生分解性のものは海洋プラスチックごみ対策になること、バイオマス素材のものは温室効果ガスの削減に寄与すること、が対象外とされた理由です。
これらの袋を無料で渡す場合は、特性を示す表示が必要です。表示のない薄手のプラスチック袋を無料で渡していれば、制度のうえで問題になり得ます。
無料の袋を渡す店を見かけたら、確かめる3つのポイント
「有料化のはずなのに、無料でもらえた」という場面は、いまも珍しくありません。その袋が対象外なのか、本当に守られていないのかは、店頭でもある程度見分けられます。
ただし、店に問いただすのではなく、まず自分の目で確かめるのが基本です。
袋に表示があるかを見る
バイオマス素材や海洋生分解性プラスチックの袋は、無料で渡す場合に特性の表示が必要です。袋本体や店頭の掲示に、配合率や素材の説明があれば、対象外の袋として配っている可能性が高いと考えられます。
袋の形と素材を見る
持ち手がない、紙製、布製であれば、そもそも対象になりません。逆に、薄手で持ち手のあるプラスチック袋で、表示もなく無料で渡されていれば、確認が必要な場面です。厚手で繰り返し使える造りかどうかも、手がかりになります。
店の位置づけを考える
学園祭の模擬店や、単発のフリーマーケットは、事業としての継続性がないため対象外です。10月から11月は学園祭やイベントの多い時期なので、こうした場で無料の袋を渡されても、不自然ではありません。
どうしても気になる場合は、店員に「この袋は対象外のものですか」と穏やかに尋ねれば十分です。
数字で見る有料化の6年間
制度が始まってから、人々の行動と袋の流通量はどう変わったのでしょうか。環境省がまとめた数字から確認します。出典が示せる数値に絞って紹介します。
辞退率は大きく上がった
環境省の資料によると、レジ袋の辞退率は有料化の前後で次のように変わりました。
- コンビニエンスストアは、約23%から約75%へ
- スーパーマーケットは、約57%から約80%へ
有料化の前は、半数以上の人がスーパーで、多くの人がコンビニで袋を受け取っていましたが、有料化後は大多数の人が断るようになりました。
流通量は半分に、ドラッグストアでは8割以上減
レジ袋の国内流通量は、有料化前の2019年の約20万トンから、有料化後の2021年には約10万トンに減りました。ドラッグストアでは、使用枚数が約84%減ったとされています。
なお、これらは有料化の前後を比べたデータです。他の要因を除いた因果関係までは、この数字だけでは言えません。
2025年には「有料イヤ」が約4割という調査も
開始から5年がたった2025年に、日本経済新聞が1000人を対象に行った調査では、レジ袋の有料化に否定的な人が約4割にのぼりました。物価が上がり続けるなかで、数円の負担にも敏感になっているという見方が示されています。
「習慣として定着した」ことと「納得して受け入れている」ことは、同じではないようです。
企業の対応は分かれた|コンビニ・セイコーマート・マクドナルド
同じ制度のもとでも、企業の対応は一様ではありません。代表的な例を複数並べると、対象外の袋をどう使うかという分かれ目が見えてきます。
コンビニ大手は1枚3円から
セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社は、2020年7月から1枚3円からの設定で有料化を始めたと報じられました。セブン-イレブンの特大サイズは5円とされています。多くのチェーンが、袋を有料にして辞退を促す方向を選びました。
セイコーマートはバイオマス素材を使った袋
北海道のセイコーマートグループは、バイオマス素材30%配合のレジ袋を使っていたと伝えられました。バイオマス素材の配合率が25%以上であれば、制度上は対象外にできる袋です。
マクドナルドは「有料化」から「無償でバイオマス95%」へ
日本マクドナルドは、2024年4月に長崎県内の23店舗で、お持ち帰り用の袋を1枚5円で有料化する試験を始めました。その後、同社の発表では、お持ち帰り用のプラスチック製手さげ袋の素材をバイオマスプラスチック95%に変更し、長崎県内でのレジ袋の有償販売を2025年5月13日で終えました。5月14日からは無償での提供に切り替え、順次全国の店舗へ導入するとしています。
従来の袋はバイオマスプラスチック50%だったので、25%以上という条件はすでに満たしていました。それでも切り替えたのは、同社が「2025年末までに、お客様提供用の容器包装類を、再生可能な素材、リサイクル素材または認証された素材に変更」するというコミットメントを掲げていたためです。この変更で、原材料製造時の温室効果ガス排出量は年間約3,900トン削減できると見込まれています。
3つの対応から見えること
袋を有料にして辞退を促す道と、素材を変えて対象外の要件を満たす道は、制度上どちらも成り立ちます。ただし、バイオマス素材の袋でも使い捨てであることは変わりません。無料の袋があるからといって、袋を使う量が減るわけではない点には注意が必要です。
事業者が押さえる実務と、違反したときに起こること
これから店を開く人や、イベントで物販を行う人にとって大切なのは、自分が対象かどうかと、守るべき最低限のルールです。
まず「対象か」を2つの質問で確かめる
最初の質問は、小売業をしているかどうかです。次の質問は、その販売に反復継続性があるかどうかです。この二つを両方満たす場合は、有料化の対象になります。
イベントの単発出店であれば、対象外になる可能性が高いものの、自主的に有料化や袋の削減に取り組むことが推奨されています。
守る実務は「表示」と「1枚ごとの価格」
有料で袋を渡す場合は、1枚ごとに1円以上の価格を付けます。対象外の袋を無料で渡す場合は、特性の表示を行います。
どちらの場合も、客が袋を断れるようにしておく必要があります。袋が欲しい人がいる前提で、レジ周りに袋を備えておくことも欠かせません。
違反したときは段階的に対応される
違反が見つかっても、いきなり罰金になるわけではありません。まず、主務大臣が必要と認めたときに、排出抑制のための指導や助言が行われます。
一定量以上の容器包装を使う事業者(年間50トン以上)は「容器包装多量利用事業者」として定期報告の対象になります。取り組みが著しく不十分と認められると、勧告、企業名の公表、命令へと進みます。この命令に違反した場合は、罰則(50万円以下の罰金)の対象になると定められています。
段階を踏むのは、制度の趣旨が「罰すること」より「抑制を促すこと」にあるためと考えられます。
消費者ができること|マイバッグ以外の選び方
制度の中身が分かったあとで、読者が日々の買い物でできることを整理します。「マイバッグを持ちましょう」だけで終わらないよう、判断の基準も含めて紹介します。
「袋を使う回数」で考える
環境負荷は、袋の素材だけでは決まりません。バイオマス素材の袋でも、1回で捨てれば使い捨てのままです。同じ袋を何度も使うほうが、結果として資源の消費は少なくなります。
家にある袋やエコバッグを買い物のたびに持ち歩き、傷んだら買い替える。そのくらいの距離感が、無理なく続けられる方法です。
買い物の前に1つだけ決めておく
袋を持っていない日もあります。そのときは、買う量を減らして手持ちのバッグに入れるか、袋を買うかを、レジに並ぶ前に決めておくと迷いません。
購入するなら、何度も使える厚手の袋を選ぶ、という選択肢もあります。
有料化への不満も、率直に受け止める
調査では、約4割が有料化に否定的でした。家計への負担感や、環境への効果を実感しにくいという声があることは、事実として受け止めておきたい点です。
制度の良し悪しを断定するより、「自分にとって袋が本当に必要か」を考える機会だと捉えると、続けやすくなります。
まとめ
レジ袋有料化は、2020年7月から、小売業を営むすべての事業者に「プラスチック製買物袋を無料で渡さない」ことを求めた制度です。ただし、紙袋、布袋、持ち手のない袋、福袋などは対象外で、厚さ50マイクロメートル以上、海洋生分解性プラスチック100%、バイオマス素材25%以上のいずれかを満たす袋も、表示をすれば無料で渡せます。無料の袋を見かけても、すぐに違反とは言えません。
有料化の前後で、コンビニの辞退率は約23%から約75%へ、スーパーは約57%から約80%へ上がり、国内流通量も約20万トンから約10万トンに減りました。一方、2025年の調査では約4割が「有料イヤ」と答えており、企業の対応も、有料にする、素材を変えるなど分かれています。
事業者は、小売業か、継続的な販売かの2点で対象を判断し、1枚ごとの価格設定と表示を守る必要があります。違反時には指導、勧告、公表、命令の順に進みます。消費者にとっては、素材の種類より「何回使うか」が大切です。まずは次の買い物で、袋を1つ持っていくことから試してみてください。
- 有料化の対象は、断れて、持ち帰り用で、持ち手のあるプラスチック製の買物袋
- 厚さ50マイクロメートル以上、海洋生分解性100%、バイオマス25%以上の袋は、表示をすれば無料で渡せる
- 辞退率はコンビニ約75%、スーパー約80%に上がり、国内流通量は約20万トンから約10万トンへ
- 事業者は1枚ごとに1円以上で値付けし、違反時は指導、勧告、公表、命令の順に対応される
参考文献
- 経済産業省「プラスチック製買物袋有料化 2020年7月1日スタート」(2020年)
- 経済産業省・環境省「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」(2019年)
- 環境省「レジ袋の国内流通量と辞退率」(環境省公表資料)
- 大阪府「レジ袋有料化について」
- 日本マクドナルド「プラスチック製手さげ袋の素材をバイオマスプラスチック95%へ変更」(2025年)
- 日本経済新聞「レジ袋「有料イヤ」今も4割、数円でも購買意欲変化 1000人調査」(2025年)

