SDGs(持続可能な開発目標)において、ジェンダーの平等も一つの目標として掲げられています。
一昔前までは、日本でも男尊女卑という思想が浸透しており、男女格差の大きい社会であったといっても過言ではありません。
近年、日本の男女格差は少しずつ是正される傾向にありますが、全く無いとは言い切れないでしょう。それでは、日本の男女格差における現状はどうなっているのでしょうか。
こちらの記事では、日本の男女格差について現状を知るとともに、解決すべきポイントにも触れていきます。
男女格差とは
日本における男女格差を知る前に、男女格差における問題について把握していきましょう。男女格差は「ジェンダー不平等」とも呼ばれ、たくさんの問題点を抱えています。
例えば、政治や経済において、重要な意思決定をする上で女性の参加率が低い点も一つの男女格差でしょう。
また、日本だけではなく世界的にも男女の賃金格差は大きな問題となっています。そのほか、セクハラやモラハラも男女格差に直結する問題です。
日本における男女格差の現状
一見すると、先進国である日本は世界の中でも男女格差が少ないように捉えられがちです。
しかし、まだまだ男女格差は根強く残っており、実際に多くの人が目にするシーンでも格差が顕著に見られるでしょう。
続いては、日本における男女格差の現状をまとめていきます。
数字で見る日本の男女格差
UNDP(国連開発計画)の調査によると、日本のジェンダー不平等指数は155カ国中19位という結果になっています。
また、男女共同参画局が調べた社会全体で見る男女の地位について、平等かどうかという質問で、男性の方が優遇されていると答えた人は、全体の75.6%と非常に高い結果が見られました。
このように、数字上では未だ日本における男女格差は、大きいままであることがよくわかるでしょう。
日常にある日本の男女格差
仕事上やTV、町中でも日本の男女格差を見かけることがよくあります。
例えば、日本の政治を見てみると、女性議員の割合が著しく少ないことがわかるでしょう。
また、企業でも幹部クラスの多くは男性が占めています。これらは、男女格差の典型的な例といえ、重要な意思決定に女性が参加できない風潮の名残といえるでしょう。
経済活動の面から見ても、日本の男女格差があります。
OECD(経済開発協力機構)の調査によると、2017年の段階で主要先進国の中でも男女の賃金格差が大きい国として日本がワーストワンという結果が出ているのです。
もちろん、賃金や政治、経営への参加が幸せ度合いを決めるわけではありませんが、こうした現状があることは否めません。
また、社会的役割から見ても、日本の男女格差は小さくなっていると言い難いものがあります。
例えば、男性はしっかりと働いて、女性は子供を産み家庭に入るべきという昔ながらの考え方が根付いている人も少なくありません。
自分はそんな考え方を持っていないという人でも、少なからずこうした「するべき」という思想を持っているケースがあり、無意識に言葉や行動に出てしまうこともあります。
日本の教育における男女格差
世界各国と比べると、日本は教育の面での男女格差は少ないように感じられます。
実際、男女問わず学校に通える環境は整っており、ほとんどの人が義務教育を受けているでしょう。
実際のところ、日本の教育における男女格差の現状はどうなっているのでしょうか。続いては、教育の角度から日本の男女格差を調べていきましょう。
ジェンダーギャップ指数で見る男女格差
教育の男女格差を知るためには、ジェンダーギャップ指数が参考になります。
ジェンダーギャップ指数とは、各国の男女格差を数値化したものであり、2006年から毎年、スイスの非営利示談世界経済フォーラによって発表されるで指数です。
各国がこの指数を参考にして、男女格差を把握した上で解消することを目的としています。
ジェンダーギャップ指数は、教育・経済・健康・政治の4分野で構成されており、0〜1までの数値で判断されるといった評価方法です。
1に近いほど完全平等として表され、2018年に発表された日本の教育に関する指数は、0.994でした。
1に近い数字であり、いわゆる義務教育や高校にあたる初等教育や中等教育において男女格差はないと評価されています。
ただし、高等教育への就学率は2017年度よりも下がっていることは抑えておく必要があるでしょう。
ちなみに、経済分野では0.595、政治分野では0.081といった指数が出ており、日本社会における男女格差が顕になっているといえます。
出典:The World Economic Forum|世界男女格差指数2018
高等教育における男女格差について
男女共同参画局によると、いわゆる高校生である中等教育に就学する割合は、男性が96.3%、女性が96.9%となっています。
やや女性が上回っているものの、ほぼ大差のない結果といえるでしょう。
しかし、大学進学にあたる高等教育になると、進学率は男子が55.6%なのに対して、女性の進学率は48.2%と7%を超える差が開くことがわかります。
さらに、大学院へ進学する率を見ていくと、男性が14.7%で女性が5.9%と、さらに差が開く一方で、専修学校への進学は、女性の方が高い結果が出ており、専攻分野によって男女差があるといえるでしょう。
日本の男女格差における課題
日本では、教育における男女格差は小さいものの、経済や政治といった分野では、未だかなりの差が開いています。
こうした、男女格差をなくすためには、課題を一つずつクリアしていく必要があるでしょう。
日本の男女格差における課題について、一つずつ紐解いていきましょう。
シングルマザーの貧困
日本の男女格差において見逃すことのできない大きな課題が、シングルマザーの貧困問題です。
離婚率が上がる中で、子供を育てながら仕事をするシングルマザーが増えています。
中には、非正規雇用として働くケースも多く、安定した収入が得られないといった悩みを抱える人も少なくありません。
子育てと仕事の両立は非常に難しい問題であり、正規雇用として働くことができずに、貧困状態に陥っている人もあります。
こうした、シングルマザーの貧困も、日本に根強く残る男女格差が影響しているといえるでしょう。
貧困の連鎖
シングルマザーに限らず、ひとり親世帯で育つ子供は、貧しい中で暮らしているケースが多く見られます。
そのため、結果的にしっかりとした教育を受けられない状態になり、仕事をする上での知識や技術が得られないことも多いでしょう。
働きたい職種があったとしても、小さい頃からの貧困生活が仇となり、希望する職に就けない可能性も大いにあり得ます。
こうした、貧困の連鎖も、男女格差が少なからず影響しており、今後の日本における課題です。
暴力や虐待
男女格差の一つとして、女性が暴力や虐待に遭いやすいといった問題があります。
特に、性的暴力の被害に遭いやすいのが特徴で、非常に悲しい現状です。
身体的に女性は男性より非力な傾向にあり、日本でも結婚したことのある女性の7人に1人が身体的暴力を受けたことがあるといったデータもあるとされています。
また、暴力や虐待の事実を誰にもいえないまま悩んでいる人も少なくありません。
まとめ
現代の日本においても、男女格差は根強い問題として残っています。
身体的な強さが男性にあるとしても、それを格差の理由として扱うことはできません。
近年叫ばれているジェンダーレスという言葉は、身体的な平等ではなく社会的な立場における平等を表しています。
日本でも様々な取り組みが行われていますが、個人における意識改革も欠かせません。
一人一人が、ジェンダーレスに対する意識を高めることで、日本の男女格差は埋まっていくでしょう。