日本の男女格差の現状は、世界経済フォーラム(WEF)が2026年9月に公表したジェンダー・ギャップ報告で、145カ国中117位でした。男女格差は「ジェンダー不平等」とも呼ばれ、賃金、役職、政治への参加、家事や育児の分担など、生活のさまざまな場面に表れます。この記事では最新の公的データで日本の現状を確かめ、解決すべきポイントを制度、職場、家庭の順に整理します。
数字で見る日本の男女格差の現状|ジェンダーギャップ指数2026
ジェンダーギャップ指数は、経済、教育、健康、政治の4分野で男女の差を点数にしたものです。1に近いほど差が小さく、国内の暮らしやすさそのものではなく、男女の差の大きさを比べる指標です。2026年版の日本の総合スコアは0.670で、前年の118位から1つ上がって117位でした。
順位が1つ動いた程度では、大きな改善とは言えません。高市首相が就任しても、日本はG7で最下位のままでした。
G7では最下位、アジアでも下位
G7各国の順位とスコアは次のとおりです(WEF 2026年版)。
- 英国は5位(0.842)
- ドイツは9位(0.817)
- フランスは22位(0.779)
- カナダは24位(0.777)
- 米国は47位(0.749)
- イタリアは83位(0.708)
- 日本は117位(0.670)
アジアの国々と比べても、日本の位置は上位ではありません。中国は96位(0.699)、韓国は101位(0.693)で、いずれも日本より上位です。
分野別では「経済」と「政治」が足を引っ張る
分野別の順位は、健康が49位、教育が68位、政治が121位、経済が119位でした。政治は前年より4つ順位を上げましたが、それでも120位台です。
つまり日本の男女格差は、学校に通えるか、健康に暮らせるかといった入り口の部分より、働いてお金を得る場面と、物事を決める場面に集中しています。次の章から、その中身を順に見ていきます。
あわせて、日本が置かれた位置を別の角度から整理した記事もあります。
賃金と役職に表れる日本の男女格差
経済分野の格差は、給与額と役職の2つに分けると見えやすくなります。どちらも女性の就業者が増えた後も、差が残っている項目です。
賃金は男性を100として76.6
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、一般労働者の月額賃金は男性が37万3,400円、女性が28万5,900円でした。男性を100とした女性の水準は76.6で、前年より0.8ポイント縮まり、比較可能な昭和51年以降で最も小さい差とされています。
差は縮まっていますが、女性の賃金は依然として男性の約4分の3です。女性の伸び率が男性を上回っているので、傾向としては改善に向かっていると言えます。
管理職と役員になるほど女性が少ない
内閣府の男女共同参画白書(令和7年版)によると、常用労働者100人以上の民間企業の役職者に占める女性の割合は、2024年時点で係長級24.4%、課長級15.9%、部長級9.8%でした。役職が上がるほど女性の割合は下がります。
管理的職業従事者に占める女性の割合は、諸外国でおおむね30%以上のところ、日本は16.3%です。上場企業の役員に占める女性の割合は、全上場企業で12.5%、東証プライム市場で15.6%でした。
賃金差の数字をどう読むか
この賃金差は、同じ仕事をしている人の給与が違うという意味に限りません。平均の差には、役職の違い、勤続年数、働き方(正規か非正規か、労働時間)の違いも含まれます。
ただ、それらの違いの背景に、出産や育児のタイミングで働き方を変えざるを得ない状況があると指摘されています。差の中身を分けて見ることが、解決策を考える出発点になります。
政治の場で女性が少ない日本の現実
重要な意思決定の場に女性が少ないことも、男女格差の大きな特徴です。内閣府男女共同参画局の資料では、衆議院の女性議員は465人中68人で14.6%(2026年2月18日時点)、参議院は247人中74人で30.0%(2026年5月24日時点)です。国会議員全体では19.9%と、2割に届いていません。
地方議会に目を向けると、市区町村議会が18.8%、都道府県議会が14.7%です。身近な暮らしのルールを決める場でも、女性は2割に満たない状況です。
一方で、国の審議会等の委員に占める女性の割合は、2024年9月末時点で42.0%でした。政府の助言機関では4割を超えているのに、選挙で選ばれる議員は少ないという違いがあります。立候補しやすい環境づくりが、政治分野の課題として残っています。
教育の男女差は小さいのに、経済や政治で差が開くのはなぜか
「日本は女の子も学校に通えるのだから、男女格差は小さいはず」という見方があります。たしかに義務教育の就学に男女の差はほとんどなく、WEFの教育分野の順位も、健康分野(49位)よりは低いものの、経済や政治ほど低くはありません。
ただ、2026年の教育分野の順位は68位です。就学の機会が同じでも、進学先の専攻分野や、その後の職種選びに男女の偏りがあることは、以前から指摘されてきました。
学校での機会がほぼ同じでも、就職後の昇進や賃金の差につながっているのが日本の特徴です。就業者に占める女性の割合は45.5%(2024年)とほぼ半数に近い一方、管理的職業従事者では16.3%にとどまります。男女格差は、本人の意欲や能力の差で説明しきれる問題ではなく、職場や家庭の仕組みに根があると考えられます。
家庭内の役割分担と暴力にも男女格差は表れている
職場の外に目を向けると、家事や育児の分担と、暴力の問題が見えてきます。どちらも統計に表れにくく、見過ごされやすい分野です。
家事・育児の時間は大きく偏っている
総務省の令和3年社会生活基本調査によると、6歳未満の子どもがいる世帯で、夫の家事関連時間は1日平均1時間54分、妻は8時間10分でした。同じ家庭の中でも、家事や育児の負担が女性に大きく偏っています。
男性の育児参加は進みつつあります。厚生労働省の雇用均等基本調査では、男性の育児休業取得率は令和6年度に過去最高の40.5%になり、令和7年度は50.9%とさらに上がったと報じられています。女性は令和7年度で88.3%です。取得率は上がっていますが、取得した期間の長さを見ると、まだ差があると考えられます。
暴力の相談件数は高い水準が続く
内閣府によると、令和6年度に全国317か所の配偶者暴力相談支援センターが受け付けた被害者本人からの相談は127,796件でした。電話やSNSで相談を受ける「DV相談プラス」には、これとは別に45,858件の相談が寄せられています。
暴力の被害は女性に限りませんが、性的な暴力や配偶者からの暴力の相談では、女性が多い傾向があります。相談できずにいる人も多いため、件数は実態の一部にすぎないと考えるのが自然です。
ひとり親世帯の貧困と、貧困の連鎖
男女の賃金や雇用の差は、家庭の経済状況にも影響します。厚生労働省の国民生活基礎調査(2022年調査)では、子どもがいる現役世帯のうち、大人が一人の世帯(ひとり親世帯)の相対的貧困率は44.5%(2021年)でした。大人が二人以上いる世帯と比べると、大きな差があります。
ひとり親世帯の多くは母子世帯で、子育てと仕事の両立のため、勤務時間を柔軟に選べる非正規雇用を選ぶ人も少なくないとされています。賃金の男女差と雇用形態の違いが、そのまま家計の厳しさにつながる構造です。
親の経済状況は、子どもの進学や体験の機会にも影響します。貧困が次の世代に引き継がれる「貧困の連鎖」を断つには、母親の就労支援だけでなく、教育費の負担を軽くする仕組みも欠かせません。
貧困の定義や統計の見方を整理した記事もあります。
解決すべきポイント|制度・職場・家庭でできること
ここまでの数値を踏まえると、解決すべきポイントは「賃金と役職の差」「意思決定の場への参加」「家庭内の分担」「暴力と貧困への支え」の4つに整理できます。世界全体でも男女平等の進み方は遅いと指摘されており、日本だけの課題ではありません。
制度は「見える化」の段階に入った
制度面では、改正された女性活躍推進法が2026年4月1日に施行されました。男女間の賃金差異の公表義務は、従来の常時雇用301人以上から、101人以上の事業主に広がりました。女性管理職比率の公表も、新たに101人以上の企業に義務づけられています。
数字が公表されると、求職者や取引先、投資家が企業を比べられるようになります。見えなかった差が見えるようになる点が、この改正の意味です。
職場では「働き方の前提」を見直す
職場でできることは、昇進の基準を明文化すること、長時間労働を前提にした評価を見直すこと、男性の育休取得を当たり前の選択肢にすることです。育休を取る人が出ても業務が回る体制は、男女を問わず働きやすさにつながります。
個人の最初の一歩は「無意識のすべき論」に気づくこと
元の考え方に「男性は働き、女性は家庭に」というすべき論が残っていないか、自分の言葉を振り返ってみてください。家事や育児の分担を、時間数で話し合ってみるのも一つの方法です。大きな行動でなくても、身近な会話から変えていくことができます。
よくある追加質問
賃金の男女差は「同じ仕事で給料が違う」という意味ですか
いいえ、そうとは限りません。賃金構造基本統計調査の男女差は、役職、勤続年数、雇用形態、産業の違いを含む平均の差です。同じ職場の同じ仕事での差別だけを示しているわけではありません。
ただ、役職や働き方の違いの背景に、育児や介護による働き方の制約があると指摘されています。数字だけで判断せず、差がどこで生じているかを見ることが大切です。
ジェンダーギャップ指数の順位が低いのは、日本が遅れた国だからですか
順位は、男女の差の大きさを比べたものであり、国の豊かさや暮らしやすさを測るものではありません。日本は健康が49位と高い一方、経済が119位、政治が121位です。分野ごとの差が大きく、それが総合順位を押し下げています。
また、順位は対象国の数や他国の改善度合いによっても動きます。順位の上下だけでなく、分野別の中身を見ることが重要です。
就職や転職のとき、職場の男女格差をどう確かめればよいですか
男女間賃金差異と女性管理職比率は、2026年4月から101人以上の企業で公表が義務づけられました。厚生労働省の女性活躍推進企業データベースなどで確認できます。ただし、賃金差異は業種や職種の構成によっても変わるため、数字だけでなく、育休の取得状況や復職後の働き方もあわせて見てください。
まとめ
日本の男女格差の現状は、2026年のジェンダーギャップ指数で145カ国中117位、G7では最下位です。教育や健康では差が小さい一方、賃金は男性を100として76.6、管理職は部長級で9.8%、国会議員は2割弱と、経済と政治に格差が集中しています。
その背景には、家事や育児の負担が女性に偏る家庭内の分担があり、暴力の相談件数やひとり親世帯の貧困にもつながっています。一方で、賃金差は少しずつ縮まり、男性の育休取得率は5割に達し、女性活躍推進法の改正で企業の情報公開が広がるなど、変化の兆しもあります。
解決のカギは、制度、職場、家庭のそれぞれで「当たり前」を見直すことです。まずは身近な家事や育児の分担を、数字で話し合ってみることから始めてみてください。
- 日本のジェンダーギャップ指数(2026年)は145カ国中117位で、G7最下位
- 男女の賃金差は76.6まで縮まったが、役職が上がるほど女性の割合は低い
- 国会議員の女性割合は19.9%で、政治分野の参加は依然として少ない
- 家事・育児の偏り、暴力、ひとり親世帯の貧困は、格差の根にある課題
- 改正女性活躍推進法で企業の情報公開が進み、格差を「見える化」できるようになった
参考文献
- nippon.com「ジェンダーギャップ指数117位 高市首相就任でも下位グループ脱せず」(2026年)
- 内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和7年版 第4節 経済分野」(2025年)
- 「令和7年の賃金構造基本統計調査の結果を公表(厚労省)」(2026年)
- 内閣府男女共同参画局「国会議員・地方議会議員に占める女性の割合(参考資料)」(2026年)
- 内閣府男女共同参画局「配偶者からの暴力に関するデータ」(2025年)
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」(2022年)
- 厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」(2025年)
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」(2023年)
- 厚生労働省 栃木労働局「改正女性活躍推進法に関する案内」(2026年)




