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格差社会がもたらす影響|国民の貧困は国力低下を招く

世界中で拡大する格差。

教育格差、医療格差、情報格差などさまざまな「格差」の背景にあるのが、所得格差です。
日本は先進国のなかでも相対的貧困率が高く、ひとり親世帯では半数以上が貧困状態にあります。

「格差社会は、具体的にはどんな影響をおよぼすのか」
「その影響の結果、社会はどうなるのか」

本記事では、格差社会がもたらす具体的な影響についてご紹介します。
格差が拡大し続ければどのような未来が待っているのか、一緒に考えていきましょう。

貧困層が増加する

1.貧困層が増加する

貧困は、「絶対的貧困」と「相対的貧困」に大きく区別されます。

絶対的貧困とは、飢餓状態にあるなど命が危ぶまれるほどの貧困を指します。

対して、相対的貧困は、その国の生活水準と比較して困窮した状態を指します。
具体的には、等価可処分所得の中央値の半分(2018年では127万円)に満たない世帯のことを指します。
「こどもの貧困」とは、相対的貧困にある世帯にいる18歳未満の子どものことをいいます。

格差社会が進むと、貧困層が増加します。
日本では、格差社会が始まったとされる1980年前後から格差は拡大し続け、貧困率が上昇した結果、厚い貧困層が形成されました。

貧困層が増加する一因は、ひとり親世帯の増加です。
母子世帯数は1985年から30年間で1.5倍となり、2016年には123万世帯となりました。

ひとり親世帯のうち、母子世帯は85%を占めています。
母子世帯での親の就業率はおよそ82%で、その半数以上が非正規雇用労働者であり、平均就労年収は133万円という調査があります(2016年)。
ひとり親世帯の半数以上が、相対的貧困の状態にあるのです。

貧困層が増加するもう一つの要因は、非正規雇用労働者の増加です。
企業は、解雇しやすく賃金も安い非正規雇用労働者を増やすことで人件費を削減できます。
非正規雇用労働者にとっても自由な働き方ができるので、双方にメリットがあったのです。

しかし、その賃金を含む待遇格差は大きいものでした。
正規雇用労働者が年齢とともに段階的に昇給するのに対し、非正規雇用労働者の賃金はほぼ横ばいです。

その結果、両者の生涯賃金の差は1億円以上という試算もあります。
所得の世帯数分布をみると、平均所得金額はおよそ551万円ですが、平均以下の世帯が6割以上を占めます。
100万円台、200万円台、300万円台の所得層が最も厚く、それぞれ13.7%程度を占めています。(2018年)

雇用形態を基準とした日本の給与体系は、所得格差を大きくする要因となっています。

このように、ひとり親世帯と非正規雇用労働者の増加により、貧困層は増加を続けているのです。

少子化が進む

2.少子化が進む

貧困層を含む低所得者層が増加すると、少子化が進みます。

低所得者層は未婚であるケースが多く、その理由のひとつとして、経済的不安から結婚を望む人が少ないことがあげられます。

低所得者の男性が結婚する場合、もし妻が妊娠出産などで離職すれば、夫の収入で妻子を養うことになります。
家族をもつことで、独身のころと比較して数倍の生活費が必要となるのです。
結婚後は一人暮らしのときよりも広い部屋に引っ越すことになるでしょうから、居住費も膨らむでしょう。

つまり、結婚したことで生活がより苦しくなる可能性があるのです。
こうした背景から、未婚率があがり、結婚したとしてもこどもを望まない人も増えています。

また、格差は固定化します。
所得が高い親の元に生まれたこどもは、十分な教育をうけて大人になり、自らも豊かになりやすいです。

一方で、所得が低く貧しい親の元に生まれたこどもは、自らも貧しくなってしまう傾向があります。
塾などに通えなかったり、多忙な親は宿題をみてあげる余裕がなかったりと、富裕層と比べて十分な教育をうけられないからです。
また、経済的な理由から進学する機会にも恵まれないことが多いのです。

このように、格差は世代をこえて引き継がれていき、少子化も続いていくのです。

平均より高所得の場合でも、こどもへの教育費や住宅ローンを抱えて生活に余裕のない世帯が多くあります。
その結果、経済的不安から生むこどもの人数を抑えてしまうのです。

また、「結婚するのは当たり前」から「結婚するかどうかは自由」と、結婚に対する考え方が多様化していることも未婚率が高い一因といえます。

少子化が進む背景には、こどもを生み育てるための十分な所得が得られないという大きな問題があるのです。

社会的コストが増加する

3.社会的コストが増加する

貧困や少子化により、社会的コストが増加します。
その理由は、生産年齢人口(生産活動の中心にいる15歳以上65歳未満の人口)や労働力人口が減ることで、税収が減るからです。

また、貧困層の人が高齢になったり病気になったりして働いて収入を得ることが困難になれば、生活保護をうけることになるでしょう。
社会保障に関する支出は増加し、社会保障制度の見直しが必要となります。

加えて、非正規雇用労働者は相対的に危険な業務に就くことが多く、正規雇用労働者と比較して労働災害が多いという調査もあります。
時給が低いので生計を立てるために長時間働いたり、いくつかの仕事をかけもったりした結果、体調を崩してしまう人もいます。

しかし、そのような生活を続けたとしても、非正規雇用労働者でいる限り生涯大幅な昇給は見込めません。
キャリアアップのための訓練(支援)も受けられないことが多いため、低所得の状況から自力で脱することはとても難しいことなのです。

所得格差が是正されないかぎり、社会的コストは膨らみ続けるでしょう。

国力が低下する

4.国力が低下する

国力とは、その国の経済力や軍事力、技術力などさまざまな要素を総合したものです。

少子化により、生産年齢人口や労働力人口が減ることで、経済成長にマイナスの影響があります。
また、十分な教育を受けられずこどもたちの能力が開花しない社会に待っているのは、人的資源の不足や生産性の低下、国際競争力の低下です。

例えば、財政悪化により税収が減り、社会保障や国防費の削減が必要となる他、不景気が続けば企業の利益は減り、失業者が増えて国民の所得も減るなどの影響がでます。
国際的な発言力や資金的な貢献度も低下するでしょう。

問題は少子化だけではありません。
日本は、世界のどの国よりも高齢化が進んでいます。
国力低下に対処するためには、少子高齢社会に適応した政策が必要です。

しかし、日本ほど少子高齢化が進んでいる国がないため、見本となる制度が少ないのです。
少子高齢化による労働人口の減少は、高齢者の就労によって補うしかありません。

多様な働き方の実現をめざす働き方改革は、若年世代だけではなく老年世代にもかかわる取り組みなのです。

まとめ

まとめ

格差社会がもたらす影響についてご紹介しました。
相対的貧困におかれている世帯は、けして少なくありません。

格差の固定化により、自力で貧困から抜け出すことはとても難しいことです。
「もっと努力するべき」「自己責任」という言葉で片づけられるような問題ではないのです。

格差が大きい社会が続けば、いまは影響を感じていなくても、いずれは自分たちの身に降りかかります。
個人の力で格差是正に取り組むことは、とても困難なことです。

しかし、現状を知り、貧困に苦しむ人たちを支援したり声をあげたりすることで、格差に苦しむ人のいない社会へと少しずつ歩みを進めることができるのではないでしょうか。

  • 記事を書いたライター
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三木めぐみ

専業主婦として家族の転勤で各地を転々とする中、転勤や長時間労働など「働き方」に疑問を感じる。育児との両立・働きやすさを考えた末、2020年にライターとして起業。 SDGsの理念「誰ひとり置き去りにしない」に感銘をうけたことが、SDGsの記事を書くきっかけとなった。

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