公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
平和と公正をすべての人に

アフリカで紛争が起きる原因とは?紛争の現状についても解説

アフリカで紛争が起きる原因とは?紛争の現状についても解説

アフリカ大陸には54の国があり、国連の人口推計では2024年時点で人口はおよそ15億人に達しているとされます。世界のおよそ6人に1人がアフリカで暮らしている計算です。この広大な大陸では今も、政府が関与する紛争だけで年間20件前後が数えられ、内戦や武力衝突によって多くの人々が住む場所を追われ続けています。「アフリカで紛争が起きる原因は何か」という問いに一言で答えるのは簡単ではありません。民族対立、資源をめぐる利権、統治機能の弱さなど、複数の要因が絡み合っているためです。この記事では紛争の主な原因を歴史的背景とともに整理したうえで、2024年以降の状況、紛争が広げる貧困や人権侵害の実態、そして日本から何ができるかまで踏み込んで見ていきます。

この記事で学べること

  • 紛争の主因は民族対立と資源利権
  • スーダン・コンゴ東部で危機継続中
  • 紛争鉱物への配慮も私たちの選択肢

アフリカの紛争の「今」|数字で見る2020年代の状況

紛争と聞いても、遠い国の出来事として実感が湧きにくいかもしれません。まずは、どれくらいの規模で何が起きているのかを押さえておきましょう。

政府が関与する紛争だけでも年間20件前後

ウプサラ大学の紛争データプログラム(UCDP)は、政府軍が当事者となった武力紛争の件数を長年追跡しています。この統計によれば、世界全体の国家関与紛争の件数は2023年に59件と、記録が残る1946年以降で最多の水準に達したとされ、そのうちアフリカは最も紛争件数が多い地域のひとつに数えられています。ここで数えられているのはあくまで「政府が関与した」紛争に限られるため、武装勢力同士の衝突や地域紛争まで含めれば、実際の件数はさらに多いと考えられます。

スーダンとコンゴ東部が示す2024年以降の危機

2023年4月に始まったスーダンの国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との内戦は、2024年に入っても収束せず、国内外への避難者数は1,000万人を超える規模に膨らんでいるとされています。国連機関はこの危機を、世界でも最大級の人道危機のひとつと位置づけています。また、鉱物資源が豊富なコンゴ民主共和国東部でも、武装勢力M23の活動が2024年にかけて再び活発化し、2025年1月には主要都市ゴマが制圧される事態に至りました。長年くすぶってきた紛争の火種が、資源や統治の弱さと結びついて再燃した例といえます。

「紛争の数」をどう読むか|統計の数え方を比較する

紛争の実態を数字で捉えるときに注意したいのは、集計方法によって件数の見え方が大きく変わるという点です。UCDPの統計は「政府が当事者」という条件を課しているため、比較的保守的な件数になります。一方、暴力事件をより広く記録するACLED(武力紛争の位置・イベントデータプロジェクト)のような別の調査機関の手法を使うと、非国家主体同士の衝突や治安部隊による市民への暴力まで含まれるため、記録される件数ははるかに多くなります。つまり「アフリカの紛争は年間約20件」という数字だけを見て安心してしまうのは早計で、どの統計を、どの定義で見ているかを意識することが、ニュースを読み解くうえでの最初の一歩になります。

なぜアフリカで紛争が起きるのか|歴史がつくった民族対立の構図

アフリカの紛争原因を一つに絞り込むことはできませんが、なかでも大きな要因とされているのが「民族対立」と「資源をめぐる対立」です。まずは民族対立の背景から見ていきます。

植民地支配が意図的につくった民族格差

近代アフリカの歴史は、大航海時代にヨーロッパ諸国がアフリカへ進出したところから大きく動き始めました。ヨーロッパ諸国はアフリカの人々を労働力とみなして奴隷貿易を行い、その後は植民地支配という形で人々の権利を奪っていきました。本来であれば支配されたアフリカ側とヨーロッパ側の対立が生まれそうなものですが、実際にはアフリカ内部での対立が深刻化するという結果を招きました。背景にあったのが、宗主国による意図的な民族間格差の醸成です。多様な民族が暮らすアフリカの構造を利用し、一部の民族を優遇することで、現地の人々が団結して反抗する事態を防ごうとしたのです。

ルワンダの事例に見る「つくられた対立」の帰結

その典型例として知られているのが、ルワンダです。ルワンダを統治したベルギーは、少数派だったツチ族を行政の要職につけるなど優遇し、多数派のフツ族との間に制度的な格差をつくりました。この格差への反発から1973年にフツ族によるクーデターが起き、その後ツチ族側が「ルワンダ愛国戦線」を結成、1990年には内戦(ルワンダ紛争)へと発展します。1993年にいったん和平が結ばれたものの、翌1994年にフツ族出身の大統領が搭乗した航空機が撃墜されると、これをきっかけにフツ族過激派によるツチ族への大規模な虐殺(ルワンダ・ジェノサイド)が発生し、およそ80万人が犠牲になったとされています。植民地時代につくられた格差が、数十年後に凄惨な形で表面化した事例です。

天然資源をめぐる対立|「紛争で儲かる人」がいる構造

もう一つの大きな要因が、天然資源をめぐる利権争いです。単純化すると、紛争を続けることで利益を得る人々が存在する、という問題です。

アフリカには石油、ダイヤモンド、金、レアメタルなど価値の高い資源が豊富に存在します。国家の統治機能が保たれていれば、こうした資源から得られる利益は国全体に分配されるはずです。しかし統治機能が弱い、あるいは崩壊している国では、武装勢力が資源利権を独占し、その資金で武器を調達してさらに支配を強めるという悪循環に陥りがちです。

シエラレオネ内戦とダイヤモンド

1991年から2002年まで続いたシエラレオネ内戦では、反政府勢力がダイヤモンド産地を掌握し、密輸で得た資金を武器調達に充てたことが、内戦の長期化を招いたとされています。紛争資金源となったダイヤモンドは後に「ブラッド・ダイヤモンド(血塗られたダイヤモンド)」と呼ばれるようになり、国際的な認証制度が生まれるきっかけにもなりました。

コンゴ民主共和国と紛争鉱物|スマホ部品にもつながる問題

コンゴ民主共和国は、スズ、金、タンタル、タングステンといった、電子機器に欠かせない鉱物の産出地としても知られています。これらは頭文字を取って「3TG」と呼ばれ、その採掘・取引の利益が武装勢力の資金源になってきたことから「紛争鉱物」と呼ばれています。周辺国のルワンダやウガンダも絡んで激化した1990年代の第一次・第二次コンゴ内戦以降も、東部地域では資源をめぐる小規模な武力衝突が繰り返されてきました。こうした鉱物は精製されると私たちのスマートフォンやパソコンの部品にも使われうるため、日本の電機メーカー各社が加盟する業界団体でも、紛争鉱物を排除した責任ある調達を進める取り組みが行われています。紛争鉱物を意識した消費の選び方については、以下の記事でも取り上げています。

紛争が広げる貧困と人権侵害|子どもと女性への影響

民族対立や資源争奪をきっかけに始まった紛争は、その地域に暮らす人々、なかでも子どもや女性の生活を大きく脅かします。

統治機能の喪失が貧困を固定化する

紛争が長引く国の多くは、行政による福祉や公衆衛生のサービスが行き届かなくなります。世界銀行の統計では2015年時点でサハラ以南アフリカの貧困率は41.1%と、世界平均の10%を大きく上回る水準にあると報告されました。その後も世界銀行は、サブサハラ・アフリカが世界で最も極度の貧困率が高い地域であり続けていると繰り返し指摘しています。貧困は栄養不足や感染症のリスクを高めるだけでなく、学校に通えないことで衛生知識を得る機会まで奪ってしまう点で、次の世代にも影響が及びます。

子ども兵士という現実

紛争地域で深刻な人権問題とされているのが、子どもが戦闘要員として使われる「子ども兵士」の問題です。とりわけコンゴ民主共和国周辺やシエラレオネ周辺は、子どもが兵士として動員される事例が多い地域として国際的に問題視されてきました。誘拐によって連れ去られる子どももいれば、貧困から逃れるために自ら志願する子どももいますが、いずれにせよ命の危険にさらされること自体が重大な権利侵害です。

女性が背負う性暴力と水汲み労働の負担

紛争下では女性や子どもが性暴力の標的にされたり、教育を受ける機会を奪われたりするケースも後を絶ちません。日本ユニセフ協会は、紛争下で性暴力の被害に遭う子どもが世界で年間2億2,300万人以上にのぼると推計を紹介しています。また国連開発計画が2016年に公表した報告書では、サハラ以南アフリカにおける家庭用の水汲み労働の71%を女性と少女が担っており、こうしたジェンダー格差による経済的損失は同地域だけで年間900億ドルを超えると推計されていました。水汲みに時間を取られることで女子が学校に通えなくなる構造は、貧困と紛争の悪循環をさらに深める要因になっています。紛争地域で子どもの権利がどのように脅かされているかについては、以下の記事も参考になります。

「アフリカ=紛争地域」は誤解?|54カ国の多様な現実

ここまで紛争の深刻さを見てきましたが、注意したいのは「アフリカ」とひとくくりに語ることの危うさです。

紛争は一部の地域に集中している

54の国のうち、実際に活発な武力紛争が起きているのはスーダン、コンゴ民主共和国東部、サヘル地域の一部の国などに集中しています。ナイジェリアのラゴスやケニアのナイロビのようにテクノロジー産業が急成長している都市もあれば、選挙を通じた平和的な政権交代を重ねてきた国も数多く存在します。紛争のニュースだけを見て大陸全体を「危険な場所」と一括りにしてしまうと、平時の暮らしや経済発展の努力を続けている大多数の人々の姿を見落としてしまいます。

「アフリカ」を一つに語ることの危うさ

紛争の当事者にとっても、自分たちの国や地域が大陸全体のイメージで語られることへの違和感は小さくありません。原因も歴史的背景も国によって大きく異なるにもかかわらず、「アフリカの紛争」とひとまとめに報じられることで、個別の文脈が見えにくくなってしまうのです。ニュースに触れる際は、どの国の、どの地域で、どのような背景から起きている出来事なのかを意識して見る姿勢が、誤解を避ける第一歩になります。

日本にできることは何か|JICA・NGO・企業の取り組みと私たちの選択

紛争の当事国から距離のある日本にも、できることがないわけではありません。

JICAとTICADが掲げる平和構築支援

日本政府は、国際協力機構(JICA)を通じて、紛争後の復興支援や治安部門改革、難民・国内避難民の生活再建といった平和構築分野の協力をアフリカ各国で続けています。日本が主導するアフリカ開発会議(TICAD)は3年に一度開催され、2025年8月には横浜で第9回会合(TICAD9)が開かれました。会合では経済成長とあわせて、平和と安定の確保がアフリカ支援の重要な柱の一つとして位置づけられています。

民間NGOによる人道支援

政府間の枠組みだけでなく、ジャパン・プラットフォームに加盟する複数の日本のNGOも、スーダンやコンゴ民主共和国の避難民キャンプなどで、食料配布や医療支援、水と衛生の改善といった緊急人道支援に取り組んでいます。国際機関を通じた支援と、現地に根差したNGOによる支援が組み合わさることで、届きにくい地域にも支援の手が伸びる仕組みになっています。

紛争鉱物を意識した消費という選択肢

前述の紛争鉱物の問題を踏まえると、消費者としてできることの一つは、責任ある調達方針を掲げる企業の製品を選ぶという行動です。国内の電機メーカーの業界団体は、紛争鉱物を排除するための共同の枠組みを設け、サプライチェーンの透明性向上に取り組んでいます。すべての消費者が調達過程まで細かく調べるのは現実的ではありませんが、企業が公表する取り組みに関心を向けること自体が、市場からの後押しになります。

今日からできる小さな一歩

  • 信頼できる国際機関や認定NGOへの寄付を通じて、緊急人道支援を後押しする
  • スーダンやコンゴ民主共和国のニュースを定期的に追い、状況の変化を知る
  • 紛争鉱物への対応方針を公表している企業や製品を意識して選ぶ

難民や国内避難民への具体的な支援の関わり方については、以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ|アフリカの紛争を「遠い出来事」で終わらせないために

アフリカで起こる紛争は、植民地時代につくられた民族格差と、天然資源をめぐる利権という二つの大きな要因が絡み合って引き起こされてきました。そこから生まれる貧困や人権侵害は、子どもや女性により重くのしかかっています。一方で、紛争が起きているのは54の国のうち一部の地域であり、大陸全体を一括りに語ることは実態を見誤らせる危険もあります。遠い出来事に見えても、私たちが使う製品の部品や、国際社会の支援の仕組みを通じて、アフリカの紛争は決して無関係な話ではありません。

まずは、スーダンやコンゴ民主共和国で今何が起きているのか、信頼できるニュースを一つだけ読んでみることから始めてみてください。

  • アフリカの紛争は民族対立と資源利権が複雑に絡み合って起きている
  • スーダンやコンゴ民主共和国東部では2024年以降も危機が続いている
  • 紛争は貧困や子ども・女性への人権侵害を深刻化させる
  • 紛争は一部地域に集中しており、大陸全体を一括りにしないことも大切
  • 日本のNGOや企業の取り組みを知ることも、私たちにできる関わり方の一つ

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事

ライター&ブロガー。人見知りという弱点を補うため、文章力を身につける。もともとブロガーだったが、ライター業にも挑戦することで生き残る道を見出した。現在は長崎の田舎でのんびりSDGsについて考える日々を送っている。得意ジャンルは社会問題・環境問題。趣味は読書と英語学習。人見知りだけど、犬とは仲良くできる。

  1. 不登校支援の取り組みとは|最新データと具体的な支援策をわかりやすく紹介

  2. 火力発電のデメリットと課題|CO2排出・資源枯渇から解決策まで

  3. アフリカで紛争が起きる原因とは?紛争の現状についても解説

RELATED

PAGE TOP