クローゼットの奥に眠ったまま着なくなった服を「捨てるのはもったいないけれど、寄付の仕方がわからない」と感じたことはありませんか。服の寄付は、企業の回収ボックスに入れるだけの手軽な方法から、専用キットで支援団体に送る方法まで複数あり、それぞれ届く先や役立ち方が異なります。この記事では、寄付の具体的な手順と注意点を整理したうえで、ユニクロ・GUやH&M、無印良品といった企業の取り組みと、古着deワクチンなどの支援団体プログラムを比較し、自分の目的に合った選び方まで具体的に解説します。
服の寄付が社会にもたらす3つのインパクト
不要になった服の寄付は、単なる「片付け」ではありません。寄付された古着は、貧困や災害で衣類が不足する地域に届けられたり、販売収入が医療・教育のための資金に変わったり、リサイクル工程を通じて新たな雇用を生み出したりと、複数の形で社会に還元されています。一方で、家庭から出る衣類のすべてが再活用されているわけではない点にも触れておく必要があります。環境省の資料では、家庭から出る衣類の多くがそのまま可燃・不燃ごみとして焼却・埋立処分されている実態が指摘されており、寄付というルートを選ぶこと自体が、廃棄されるはずだった資源を循環に戻す行動になります。
大量生産・大量消費が進んだファッション業界の構造そのものを見直す動きも広がっています。衣類の寄付を考えるタイミングは、普段の買い方や着方を振り返るきっかけにもなります。

服を寄付する2つの基本ルート
服の寄付方法は、大きく「企業の回収ボックスに入れる」「支援団体へ郵送する」の2つに分かれます。どちらも特別な準備は不要で、初めての方でも当日から始められます。
企業の回収ボックスに入れる
ファストファッションブランドを中心に、店舗に回収ボックスを設置する企業が増えています。買い物に行ったタイミングで持ち込むだけで完了するため、手間や追加費用がかからないのが最大の利点です。忙しくてまとまった時間を作れない方にも向いている方法といえます。
支援団体へ郵送する
近くに店舗がない場合や、寄付先を具体的な支援目的で選びたい場合は、支援団体への郵送が向いています。多くの団体は専用の回収キットや段ボールを用意しており、自宅から一度も外に出ずに集荷を依頼できる仕組みを整えています。団体ごとに対象品や費用の条件が異なるため、申し込み前に確認しておくと安心です。
寄付前に確認したい3つの注意点
古着の寄付は廃品回収とは異なり、受け取った先で誰かが実際に使う、あるいは資金に変えるプロセスがあります。気持ちよく役立ててもらうために、送る前に確認しておきたいポイントを3つ紹介します。
寄付できるものとできないものがある
寄付先によって受け入れ条件は異なります。指定ブランドのみを対象とする団体や、肌着・靴下といった直接肌に触れるものを対象外とする団体、状態が悪い衣類を断る団体もあります。多くの場合、対象品目や条件は各団体・企業の公式サイトに明記されているため、申し込み前に必ず確認しましょう。
送料や資材費は自己負担になることが多い
「寄付だから無料」と思われがちですが、店舗の回収ボックスを除き、支援団体への郵送では送料や回収キット代を寄付者が負担するケースが一般的です。費用や手間も含めて社会貢献の一部だと捉えておくと、想定外の負担に感じにくくなります。
洗濯して清潔な状態で送る
次に着る人が「また着たい」と思える状態にしておくのは、寄付する側の基本的なマナーです。汚れやにおいが残ったままの衣類は査定で対象外になることもあるため、発送前に洗濯し、必要に応じて簡単な補修をしておきましょう。

企業が実施する服の寄付プログラム
日頃利用している店舗で寄付できるプログラムから紹介します。買い物のついでに立ち寄れるので、コストをかけずに始めやすい方法です。
ユニクロ・GU|服のチカラプロジェクトで難民支援へ
ユニクロとGUは、店頭で回収した服を難民キャンプなどに届ける取り組みを続けています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)や各地のNPO・NGOと連携し、支援先のニーズを把握したうえで、必要な場所に必要な分だけ届けることを重視しているのが特徴です。公式発表によれば、これまでに世界の複数の国と地域に累計4,000万点を超える衣料を届けてきたとされ、衣類を渡すだけでなく職業訓練などの自立支援プログラムも合わせて提供しています。
H&M|世界規模の古着回収サービス
H&Mは2013年から世界中の店舗に回収ボックスを設置し、古着回収を続けています。ブランドや状態を問わず持ち込める点、協力するとクーポンを受け取れる点が特徴です。回収された服は「古着として再販売」「リメイクや清掃用品への作り変え」「繊維に細断して断熱材などの原料にする」という3つのいずれかの形で再活用されると案内されています。販売した後の行き先まで設計されたプログラムといえます。
無印良品|BRINGプロジェクトでエネルギーに再生
無印良品は企業連携プロジェクト「BRING」に参加し、回収した布製品をエタノールなどのエネルギー原料として再生する仕組みを取り入れています。汚れが目立つ衣料品やタオル、シーツ類も回収対象になっている点が特徴で、再販売が難しい繊維も資源として活用できるのが強みです。着る用途を終えた繊維を燃料に変える、循環型の資源活用のかたちといえます。
支援団体を通じた服の寄付4選
次に、支援団体を通じて寄付する方法を紹介します。どれも自宅から申し込みでき、団体によって古着の活用先や費用の仕組みが異なります。応援したい目的に合わせて選んでみてください。
古着deワクチン|服がポリオワクチンに変わる
古着deワクチンは、有料の専用回収キットを購入し、不要な衣料品を詰めて送ることで、開発途上国の子どもに向けたポリオワクチンの支援に変わる仕組みです。キットの製造や発送作業は障がいのある方の雇用にもつながっており、これまでに400万人分を超えるポリオワクチンが届けられてきたと発表されています。1回の寄付で複数人の命を守る支援につながる点が特徴です。
セカンドライフ|衣類以外の不用品もまとめて寄付
セカンドライフは「世界中を笑顔に」を掲げ、衣類だけでなく自宅にあるさまざまな不用品をリユースする活動を行っています。申し込み後に届く伝票を使い、自分で用意した箱に荷物を詰めて集荷を依頼する流れです。申込時に記入した希望をできるだけ反映したうえで活用先を報告してくれるため、送った後の行き先が見えやすいのも特徴です。
こども服みらいファンド|子ども服を子どもの未来へ
こども服みらいファンドは、着られなくなった子ども服を送ると、査定金額が教育や衣食住の支援を行うNPOなどへの寄付に変わる仕組みです。10点以上を自分で用意した箱や紙袋で送り、送料は自己負担となりますが、査定結果に応じて「子供の未来応援基金」に寄付される流れになっています。内閣府が推進する「子供の未来応援国民運動」と連携している点も特徴で、厚生労働省や文部科学省も後押ししています。
Brand Pledge|寄付先を自分で選べる
Brand Pledgeは、「国際協力」「動物保護」「子どもの教育」など、自分の関心に合わせて寄付先を選べるサービスです。団体を選んで申し込むと段ボールが送られてくるので、そこに服を詰めて発送し、査定結果に応じて選んだ団体へ寄付される流れになっています。使わなくなったブランド品の行き先を自分の意思で決めたい方に向いている方法です。

目的別|自分に合う寄付先の選び方
ここまで紹介した7つの方法を並べてみると、それぞれ得意分野が異なることがわかります。選ぶときの軸を整理すると、次のように分けられます。
- 費用をかけずに始めたい場合は、ユニクロ・GU、H&M、無印良品など店舗の回収ボックスが手軽です
- 難民や被災地への衣類支援に直接関わりたい場合は、ユニクロ・GUの服のチカラプロジェクトが向いています
- 医療支援など数字で成果が見える支援を望む場合は、古着deワクチンが選びやすい選択肢です
- 子どもの教育や生活支援に絞りたい場合は、こども服みらいファンドが子ども服専用の受け皿になります
- 支援先のテーマを自分で選び分けたい場合は、Brand Pledgeのように選択制のサービスが合っています
いずれの場合も、まず公式サイトで対象品目・費用・申し込み手順を確認したうえで、無理のない範囲で続けられる方法を選ぶことが長続きのポイントです。1社に絞らず、店舗の回収ボックスと支援団体への寄付を服の種類によって使い分けるのも一つの方法です。
まとめ|まずは1着、クローゼットから取り出してみましょう
不要になった服は、そのまま捨てればごみになりますが、寄付というルートを選ぶことで、難民支援や医療支援、子どもの教育支援、雇用創出など、さまざまな形で誰かの力に変わります。少しの手間や費用はかかりますが、今回紹介した7つの方法はどれも特別な準備なしに始められるものばかりです。まずはクローゼットの中から、もう着ていない服を1着だけ選んで、寄付という選択肢を試してみてください。
- 服の寄付方法は「企業の回収ボックス」と「支援団体への郵送」の2ルートが基本
- 寄付前に対象品目・送料負担・洗濯の3点を必ず確認する
- ユニクロ・GU、H&M、無印良品は店舗の回収ボックスで手軽に参加できる
- 古着deワクチンやこども服みらいファンドなど支援団体は目的別に選べる
参考文献
- 環境省「サステナブルファッション」特集ページ(衣類の廃棄・リユース実態に関する資料、https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)
- 内閣府「子供の未来応援国民運動」公式サイト(こども服みらいファンドの寄付活用先について、https://kodomohinkon.go.jp/)
- UNHCR Japan(国連難民高等弁務官事務所 日本)公式サイト(アパレル企業との難民支援連携について、https://www.japanforunhcr.org/)
本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

