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エシカルファッションとは?取り組み事例と今日からの選び方

エシカルファッションとは?取り組み事例もご紹介

エシカルファッションとは、服が作られ、売られ、手放されるまでの過程で、働く人・環境・動物・地域への影響に配慮したファッションのことです。「エシカル」は「倫理的な」という意味で、価格や流行だけでなく、その服の背景まで含めて選ぶ考え方を指します。この記事では、定義の説明は最初のこの段落にとどめます。そのうえで、2013年のラナ・プラザ崩落事故から現在までの流れ、日本で見られる取り組み事例、認証ラベルの読み方、秋冬の衣替えをする今の時期にできる行動を順に見ていきます。

この記事で学べること

  • ラナ・プラザ崩落事故以降、ファッション業界で何が変わったか
  • 日本の家庭で服がどれくらい手放され、廃棄されているか
  • 認証ラベルで分かることと、分からないこと
  • 日本で見つかる「作る・直す・回収する」の取り組み事例
  • 衣替えの時期に「買う前・買うとき・手放すとき」にできる行動
目次

なぜ今、服の「つくり方」と「手放し方」が問われているのか

エシカルファッションが注目されるようになった背景には、海外の工場で起きた事故と、日本の家庭で服が余っている現状の2つがあります。前者は「作る側」の問題、後者は「使う側」の問題で、どちらも私たちの買い方とつながっています。

ラナ・プラザ崩落事故が変えたもの

2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊で、縫製工場などが入る商業ビル「ラナ・プラザ」が崩壊しました。ILO(国際労働機関)の社会保障関連資料は、この事故で少なくとも1,134人が亡くなり、2,500人以上が負傷したと記しています。犠牲者の多くは縫製工場で働く人たちでした。前日にはビルのひび割れが見つかっていたと報じられており、安全よりも生産が優先された現場の実態が世界に知られることになりました。

この事故をきっかけに、欧米や日本のアパレル企業の間で、生産を委託する工場の安全をどう確かめるかが問われるようになりました。バングラデシュの工場の建物や火災、電気設備の安全を点検するための、法的拘束力を持つ協定が結ばれたのもその流れです。ファーストリテイリングは2013年8月に最初の協定へ署名し、2021年9月に発効した新しい国際協定にも署名しました。当時の報道では、同年9月2日時点で署名した91社のうち、日本企業は同社のみでした。

工場の安全以外にも、染色の排水による水質汚染や、綿花の生産者が農薬で健康を損なう問題などが取り上げられました。「安い服の裏側で誰が、どんな環境で働いているのか」という問いが、消費者の側にも届くようになりました。

日本の家庭で起きている服の余り方

服の問題は海外だけの話ではありません。環境省のサステナブルファッション特設ページによると、日本では2024年に約35億着の衣服が供給されました。これは1990年の約20億着の約1.8倍にあたります。

一方で、1人が1年間に手放す服は約11着、1年間に一度も着なかった服は約24枚とされています。持っている服のうち、しまい込まれている割合は45%にのぼります。家庭から手放された服のうち、古着として再び使われるのは約35%にとどまります。残りの多くは焼却や埋立てで処分され、その量は年間約50万トン、1日あたり大型トラック約130台分にあたるとされています。

兵庫県も、県内の状況として毎年67万トンの衣類が手放され、そのうち7割以上の48万トンが焼却等で処理されていると公表しています。国の資料と県の資料でおおむね同じ規模感が示されており、「作りすぎ、買いすぎ、使い切れない」という循環が日本の家庭にも広がっていることが分かります。

エシカルファッションの切り口を「人・地球・動物・ムダ」で整理する

エシカルファッションには、フェアトレード、オーガニック、アップサイクルなど、いくつもの言葉が並びます。まず「何に配慮しているのか」で4つの方向に分けると、ブランドの説明が読み取りやすくなります。

ここで覚えておきたいのは、1つのブランドがすべての方向を同じ強さで満たしているわけではない、という点です。「オーガニックコットンだから、働く人にも配慮している」とは限りませんし、「フェアトレードだから、素材も環境負荷が低い」とも限りません。どの切り口に強みがあるのかを見るのが、最初の一歩です。

人への配慮(フェアトレード・クラフトマンシップ・ソーシャルプロダクツ)

フェアトレードは、途上国の原料や製品を、労働に見合った適正な価格で継続的に購入する取り組みです。生産者や労働者の暮らしを支えることが目的で、コーヒーのイメージが強い一方、コットンの服や雑貨にも広がっています。

クラフトマンシップは、その土地で受け継がれてきた織りや染め、刺繍などの技術を守りながら服を作ることです。技術を使い続ける仕事があること自体が、伝統を次の世代へ渡す力になります。ソーシャルプロダクツは、地域の活性化や障害のある人の就労支援など、社会課題の解決に役立つ商品やサービスの総称で、ファッションでは福祉事業所との協働による商品などが当てはまります。

地球への配慮(オーガニック・サステナブルマテリアル・アップサイクル)

オーガニックは、農薬や化学肥料に頼らず育てた原料を使う考え方です。生産者の健康と土壌を守ることにつながります。サステナブルマテリアルは、リサイクル繊維や再生可能な資源由来の素材など、持続可能性を意識した素材の総称です。

アップサイクルは、捨てられるはずの古着や端材、在庫を材料にして、元より価値の高いものを作る取り組みです。リクレイムは廃材や余った生地を回収して使う考え方で、新しい資源を使う量を減らせます。ただし、再生素材を使っているというだけで環境負荷が低いと言い切ることはできません。どれだけ長く着られるか、使い終わったあとに再び資源に戻せるかまで含めて見る必要があります。

動物とムダへの配慮(アニマルフレンドリー・ウェイストレス)

アニマルフレンドリーは、毛皮や革など動物由来の素材を使わない、動物実験を行わない、といった考え方です。動物由来の素材を使うブランドでも、飼育や加工の方法を開示している場合があるため、「使わない」ことだけが答えではありません。

ウェイストレスは、生産・輸送・販売の各段階でムダを減らす取り組みです。受注生産で売れ残りを減らす、端材が出にくい型紙を使う、といった工夫が代表例です。最終的には、作る量そのものを見直すことにつながります。

認証ラベルで分かることと、分からないこと

エシカルを名乗る服は増えましたが、言葉だけでは確かめようがありません。第三者機関の認証ラベルは、確かめるための手がかりの1つです。一方で、ラベルが保証する範囲には限りがあります。

オーガニック系の認証

オーガニックコットンの製品でよく見かけるのが、GOTS(Global Organic Textile Standard)です。原料の栽培だけでなく、加工の工程や社会面の基準まで含めた繊維の国際基準で、賃金、健康と安全、児童労働や強制労働の禁止などの要件が含まれます。GOTSの認証製品では、使うオーガニック繊維の割合が最低70%以上と定められています。

ラベルを見るときは、「オーガニックと書いてある」ではなく、どの基準の認証か、製品のどこまでが対象かを確かめましょう。同じ「オーガニックコットン」でも、認証機関によって基準が異なるためです。

フェアトレード系の認証

フェアトレードにも複数の仕組みがあります。コットンなどの原料の取引を対象にする認証と、フェアトレードを事業の軸に据える団体や企業そのものを対象にする認証とでは、見ている範囲が違います。製品に付いたラベルが原料の一部にだけ適用されている場合もあるため、「何が」認証されているのかを説明ページで確かめると安心です。

オーガニックとフェアトレードは別の物差しです。オーガニック認証の服が、生産者の収入まで保証するわけではありません。逆に、フェアトレードの服が、すべて有機栽培の原料とは限りません。

認証がないときに確認したい3点

認証がないブランドが、すべて不誠実というわけではありません。小さな工房や新しいブランドでは、認証費用の負担が大きく、取得していないケースもあります。その場合は、次の3点が公式サイトに具体的に書かれているかを見てみてください。

  • どこの国・地域の、どの工場や工房で作っているか
  • 素材の産地と、素材を選んだ理由
  • 修理や回収など、売ったあとの対応

具体的に説明されているブランドほど、問い合わせにも答えてくれる傾向があります。逆に「地球にやさしい」「サステナブル」といった言葉だけが並び、根拠が見当たらない場合は、いったん購入を保留しても遅くありません。

日本で見つかる取り組み事例|作る・直す・回収するの3方向

日本で取り組みを見つけやすいのは、「作り手を支える」「長く着る」「回収して循環させる」の3方向です。ここでは複数のブランドや仕組みを、役割別に紹介します。なお、各社の最新の取扱い内容や条件は変わることがあるため、購入前に公式サイトでご確認ください。

作り手の暮らしを支える(ピープルツリー・シサム工房)

ピープルツリーは、日本のフェアトレード専門ブランドです。アジア、アフリカ、南米などの手仕事の生産者と継続的に取引し、衣料品や雑貨を企画しています。国際女性デーに向けた商品を南インドの工房で生産するなど、同じ工房と長く取引を続けることで、働く場を安定させる姿勢を示しています。

シサム工房は、1999年に京都で生まれたフェアトレードのショップです。チャリティではなく事業としてフェアトレードに取り組み、フィリピン、インド、バングラデシュ、ネパールなどのパートナーとオリジナル商品を開発しています。衣料品に加えて、アクセサリーやファッション小物まで扱っています。

長く着るために直す(パタゴニア)

アウトドアブランドのパタゴニアは、修理を前提にした服づくりで知られています。日本支社は2024年5月から、中古ウェアなどを買い取る「Worn Wear」のサービスを始めました。買い取った製品は古着として販売され、着られない状態のものは修理やリメイクを経て「Recrafted」製品として扱われます。

スキー場で修理を受け付ける「Worn Wear Snow Repair Tour」も開かれています。「買う」だけでなく、「直す」「譲る」の選択肢を同じブランドの中に用意している点が特徴です。売上の1%を環境保全に寄付する「1% for the Planet」への参加も、早くから続けています。

回収して資源に戻す(BRING・無印良品・GU・ユニクロ)

使い終わった服の出口づくりも進んでいます。JEPLANが展開する「BRING」は、古着を回収して再資源化し、その原料で作った衣類を販売する取り組みです。ARC WATCHING(2024年10月)によると、回収拠点はアパレルの店頭を中心に全国約4,000か所にのぼり、百貨店のほか、無印良品やGUなどが協働しています。

ユニクロも、店頭で古着を回収する「RE.UNIQLO」を続けています。回収した服は、衣料支援やリサイクルなどに回されると説明されています。ブランドの垣根を越えて回収の窓口が増えると、手放すときの選択肢も広がります。

自治体と企業が組む(兵庫県豊岡市)

兵庫県は2025年12月から2026年3月にかけて、豊岡市とアパレル企業の株式会社ワールドの協力で、衣類の回収キャンペーンを実施しました。市内8か所に回収場所を設け、リユースできる衣類を集めるものです。県は、この実証で効率的な回収・リサイクルの仕組みをつくり、県内の他の市町にも広げていく考えを示しています。

住んでいる地域でも、同じような回収の機会があるかもしれません。自治体の広報やホームページで「古着回収」を探してみると、思わぬ窓口が見つかることがあります。

制度の動き|EUは生産者に回収費用を求め、日本は行動の見直しを促す

エシカルファッションは、個人の心がけだけでなく、制度の面でも動き始めています。海外の動きを知ると、日本で今後どんな議論が出てくるのかを想像しやすくなります。

EUでは2025年9月、改正廃棄物枠組み指令(指令(EU)2025/1892)が欧州議会で承認され、繊維製品に拡大生産者責任(EPR)の制度を設けることが加盟国に求められました。EU市場に服を供給する企業が、使用済み繊維の回収・選別・リサイクルの費用を負担する仕組みです。報じられている内容では、加盟国は施行から30か月以内に制度を整える必要があるとされています。作る側が、売ったあとの服の行き先にも責任を持つ方向へ進んでいます。

日本では、環境省が特設ページで、企業と消費者それぞれに期待する行動を示しています。企業に対しては、何がサステナブルかを分かりやすく伝えること、服を回収に出しやすくすること、リペアやリユースを使いやすくすることなどを挙げています。消費者に対しては、買わないことも取り組みの1つであること、持っている服を1年長く着ると日本全体で約5万トンの廃棄削減につながること、自治体の古着回収を調べて使うことを呼びかけています。

同ページによると、「安く買って流行後に処分するサイクルを見直したい」と感じている人は5人に1人です。多数派とは言えないものの、すでに一定数の人が違和感を持ち始めていることが分かります。海外から輸入される服が多い日本では、EUの制度が国内ブランドの対応や店頭の回収サービスに影響する可能性もあり、今後の動向を見ておく価値があります。

衣替えのこの時期にできる、買う前・買うとき・手放すときの行動

10月末の今は、夏物をしまい、秋冬物を出す衣替えの時期です。クローゼットを見直すこのタイミングは、エシカルファッションを日常に取り入れる入り口になります。全部を一度に変える必要はありません。次の3つの場面から、1つだけ選んで試してみてください。

買う前にできること

まず、持っている服を一度すべて出して確認します。環境省のデータでは、1人あたり1年に一度も着ない服が約24枚あるとされています。着ていない服がどれくらいあるかを知るだけでも、「本当に必要な1着」が見えやすくなります。

欲しい服が見つかったら、手持ちの服3着以上と合わせられるかを考えてみましょう。着回しの見通しが立たない服は、数回着て終わる可能性が高くなります。買わないという判断も、立派なエシカルな選択です。

買うときにできること

買うときは、素材表示と洗濯表示を見て、手入れのしやすさを確かめます。洗濯機で洗えない、アイロンが必須といった服は、手間がかかって着る機会が減りがちです。次に、前章で紹介した認証ラベルや、ブランドの公式サイトの説明を確認します。

予算に余裕があれば、靴下、ハンカチ、Tシャツなど、日常で使う回数が多いものから、フェアトレードやオーガニックのものを選んでみてください。着用回数が多いアイテムは、1回あたりの影響が大きく、変化も実感しやすいためです。

手放すときにできること

手放す前に、修理で着られないかを考えます。ボタンの付け替えや裾直しなら、手間も費用も小さく済みます。それでも着ない服は、状態に応じて、フリマアプリやリユースショップ、ブランドの回収サービス、自治体の古着回収などから選びます。

ごみとして出す前に、回収の窓口を1か所調べるだけで構いません。無印良品やGUなど、BRINGに協力する店舗が近くにあれば、買い物のついでに持ち込めます。

読んだあとに浮かびやすい3つの疑問

ここまで読んで、実際に選ぼうとすると、いくつか迷いが出てきます。よくある3つの疑問に答えます。

エシカルな服は値段が高くて、続けにくくありませんか

確かに、フェアトレードやオーガニックの服は、一般的な量産品より価格が高くなる傾向があります。ただし、買った服を何回着るかで見ると、印象が変わることがあります。3,000円の服を3回着るより、10,000円の服を50回着るほうが、1回あたりの費用は低くなります。

高い服を無理に買う必要はありません。まずは手持ちの服を長く着る、中古を選ぶ、といった費用のかからない方法から始められます。

古着やリサイクル素材の服なら、エシカルと言えますか

古着を選ぶことは、新しい服の生産に必要な資源を使わずに済む、有効な選択肢の1つです。ただし、1着の古着を買ってその後ほとんど着なければ、結局は手放す服が増えるだけになります。

リサイクル素材の服も同じで、素材が再生品であることと、長く着られることは別の話です。素材の由来だけでなく、「自分が長く着るか」を基準に加えると、選び方が定まります。

ブランドの「サステナブル」という言葉を信じてよいか迷います

環境への配慮を実際以上に見せる表現は「グリーンウォッシュ」と呼ばれ、世界的に問題視されています。見極めるときは、言葉の強さではなく、根拠の具体性を見てください。工場名、素材の産地、認証の種類、売ったあとの修理や回収といった情報が示されているかどうかが目安になります。

説明が足りないと感じたら、ブランドに問い合わせてみるのも1つの方法です。丁寧に答えてくれるかどうかも、ブランドを見極める材料になります。

まとめ

エシカルファッションは、ラナ・プラザ崩落事故のような、服の生産現場で起きた問題への反省から広がった考え方です。現在は、働く人への配慮に加えて、日本の家庭で手放される大量の服をどう減らすかという課題にもつながっています。環境省のデータでは、日本では2024年に約35億着が供給され、手放された服の多くが焼却や埋立てで処分されています。

認証ラベルは選ぶときの手がかりになりますが、保証する範囲は限られており、オーガニックとフェアトレードは別の物差しです。ラベルがない場合も、産地や素材、売ったあとの対応が具体的に説明されているかを確かめることで、判断しやすくなります。日本でも、作り手を支えるブランド、修理や買い取りを行うブランド、回収を担う仕組みが見つかります。

すべての服を入れ替える必要はありません。衣替えのこの時期に、手持ちの服を1度すべて出してみる。靴下やハンカチを1つ選び直してみる。手放す服の回収窓口を1か所調べてみる。まずは、この中の1つだけ試してみてください。

  • ラナ・プラザ崩落事故では1,134人が亡くなり、工場の安全と責任が世界的に問われるようになった
  • 日本では2024年に約35億着が供給され、手放された服の約35%しか再び使われていない
  • オーガニックとフェアトレードは別の物差しで、認証ラベルの保証範囲を確かめることが大切
  • 持っている服を1年長く着ることは、日本全体で約5万トンの廃棄削減につながるとされる
  • 衣替えの時期に、買う前・買うとき・手放すときのどれか1つから始められる

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
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