「エシカルファッション」という言葉を聞いたことがありますか?
エシカルファッションに特化したブランドだけでなく、前から多くの人に知られている大手ブランドまで、エシカルファッションに取り組むブランドは増えてきています。
また、2013年に起きたラナ・プラザ崩落事故により、ファッション業界における人や環境への負担が問題視されるようになりました。
この記事では、エシカルファッションの意味や取り入れ方、国内のエシカルファッションブランドをご紹介します。
エシカルファッションとは?
「エシカルファッション」の「エシカル 」とは、日本語訳で「倫理的・道徳的」です。
わかりやすく言い換えるなら「人と地球に優しい考え方」です。
近年「エシカル消費」が注目を集め、そのような考え方をファッションに取り入れたものが「エシカルファッション」です。
ファッション業界は急速なトレンドの移り変わりやファストファッションの広がりにより、毎シーズン多くの売れ残りが発生します。そして、売れ残った服の多くは焼却処分されているのです。
日本では年間約10億6000万着の余剰在庫があると言われており、深刻な問題となっています。
「エシカルファッション」は、素材や生産、販売までを人と地球に配慮して作られており、近年のトレンドとなっています。
2013年のラナ・プラザ崩落事故から「エシカルファッション」は注目されるように
「エシカルファッション」がここまで注目されるようになったのには、2013年4月24日にバングラディッシュで起きたラナ・プラザ崩落事故が大きなきっかけとなっています。
この事故は死者1,127人、行方不明者約500人、負傷者2,500人以上を出し、その犠牲者の多くは若い女性だったのです。
ラナ・プラザは8階建の商業ビルで、銀行や複数のお店の他に27のファッションブランドの縫製工場が入っていました。
その縫製工場で働いていたのが、事故の犠牲者となった女性たちでした。
事故前日、ビルには危険な亀裂が見つかりビルの使用中止が明示されていました。
しかしビルのオーナーは警告を無視し、労働者たちを働かせ続けていました。
そして翌朝9時、ビルは凄まじい音とおもに崩壊したのです。
建物は正規の許可なく建築されており、6階以上は違法な増築だったことが、後日行われた調査で判明しました。
また、大型の発電機と数千台のミシンによる振動が誘因だったとも言われています。
バングラデシュはアジア最貧国の一つであり、安い人件費を求めて世界中のファッションブランドが縫製工場を置いています。
ラナ・プラザで働く労働者は、劣悪な労働環境で強制的に働かされ、労働組合の結成も認められませんでした。
他にも、工場で使われた水により現地の水質汚染が進んだり、コットン生産者が農薬により健康被害を受けているなどのファッション業界の問題が取り上げられるようになりました。
このような問題が知られるようになり、「エシカルなファッションを着たい」という消費者が増えたのです。
エシカルファッションを取り入れる方法
「エシカルファッションは分かったけど、取り入れ方が分からない」という方も多いのではないでしょうか?
エシカルファッションを日常に取り入れることは、ハードルが高そうに見えるかもしれません。
これから紹介する8つの取り組みを行っているファッションブランドや製品は、案外多いです。
フェアトレード
フェアトレードとは直訳で「公平・公正な貿易」。
発展途上国の原料や製品を、労働に見合った適切な価格で購入し、生産者や労働者の暮らしを守ることが目的の取り組みです。
フェアトレードの主な商品はコーヒーですが、コットン製品などのファッションでもフェアトレード製品は多く見つけられます。
オーガニック
「オーガニック」とは、農薬や化学肥料を使わず、安全性の高い農林水産業や加工方法を指します。
有機栽培で生産された素材を使用したり、科学的な染料や塗料を使わないものが当てはまります。
名の知られたブランドでも、オーガニックコットンを使った製品が徐々に増えています。
アップサイクル&リクレイム
「アップサイクル」とは、捨てられるはずのものを材料にし、より良いものを作ること。
古着や古い布を回収し、新たなファッションアイテムに生まれ変わらせることができます。
「リクレイム」は廃材の再利用を意味し、廃材や在庫商品を回収し、利用します。
サステナブル・マテリアル
サステナブル・マテリアルは日本語に訳すと「持続可能な資源」です。
天然素材やリサイクル繊維、エコな化学繊維が当てはまります。
再生可能なバイオマス資源を使ったバイオマスプラスチックも、サステナブル・マテリアルです。
クラフトマンシップ
伝統的な技術を取り入れることを、クラフトマンシップといいます。
その地で受け継がれてきた技法や模様、染料などを守り、伝統を未来の世代へ伝えていくことが重要です。
アニマルフレンドリー
毛皮を得るために、生きたまま捕獲し、殺すといった残虐な行為がファッション業界では行われています。
動物実験を行わない、レザーなど動物由来の素材を使わない取り組みを「アニマルフレンドリー」と呼びます。
ウェイストレス
浪費(ウェイスト)を減らす(レス)取り組みも、エシカルファッションの一つです。
労働や製造、輸送、販売の過程で、無駄を削減することが大切です。
ソーシャルプロダクツ
ソーシャルプロダクツは、企業などの全ての組織が、社会や地球のことを考えて作る商品やサービスのこと。
ファッション業界において、持続可能な社会の実現に貢献するものです。
環境に配慮された製品や地域の活力向上に繋がるもの、障害者支援なども当てはまります。
エシカルファッションのブランド3選
国内外多くのブランドが、エシカルファッションに取り組んでいます。
その中でも特に、エシカルファッションに取り組んでいるブランドを3つご紹介しましょう。
オンラインショップもあるので、近くに店舗がない方も安心ですね。
PeopleTree(ピープルツリー)
PeopleTreeは、日本のフェアトレード専門ブランドです。
PeopleTreeのロゴがついたアイテムは、全てフェアトレード製品。さらにコットン素材の服の8割以上が、オーガニックコットンでできています。
PeopleTreeの商品はフェアトレードを専門に行う団体が認定される世界フェアトレード連盟(WFTO)の認証を受けています。
レディースを中心とし、メンズやベビー服など幅広いラインナップです。
公式HP:People Tree
シサム工房
シサム工房は1999年に京都で生まれたフェアトレードショップです。
創業以来、オリジナル商品の開発を行い、品質やデザイン性の高い商品を作り続けています。
またフェアトレードにチャリティではなく、事業として取り組んできました。
フェアトレードパートナーはフィリピン、インド、バングラディッシュ、ネパールなど世界中の国々。
レディース、メンズ・ユニセックス、アクセサリー、ファッショングッズを展開しています。
公式HP:シサム工房
Patagonia(パタゴニア)
アウトドアブランドのPatagoniaは、環境保護と社会問題の解決に早くから取り組んできました。
消費を減らし、ギアを長く使ってもらうため、修理ガイドの公開や修理サービスを行っています。
また、自然環境の保護や回復のため売り上げの1%を寄付する1% for the Planetにも参加している数少ない企業の一つ。
ウェアやアンダーウエアなどアウトドア関連のファッションがほとんどですが、デザイン性や機能性は抜群です。
公式HP:Patagonia
まとめ
エシカルファッションは新しい考え方の一つではありますが、今後もさらなる広まりが予測されます。
みなさんが持つ服の全てをフェアトレード製品やオーガニック製品にするのは難しいでしょう。
しかし、服を選ぶ時、この服はどんな素材で誰によって作られたのかを想像してみてください。
私たちの消費行動は、社会を変える大きな力になります。
ハンカチや靴下など、小さな部分からで良いので、エシカルファッションを選んでみてはいかがでしょうか?
自分にも他の人にも地球にも優しいファッションは、毎日をより素敵なものにしてくれるはずです。