公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
SDGs

難民と移民の違いとは?世界の避難民1億2,320万人時代に日本ができること

難民と移民の違いをわかりやすく説明!定義や世界の難民問題も解説します

ニュースで「難民」「移民」という言葉を見かけても、両者の違いを正確に説明できる人は多くありません。2024年末時点で、紛争や迫害、暴力、人権侵害により避難を強いられた人は1億2,320万人にのぼり、これは日本の総人口に匹敵する規模です。この記事では、難民と移民を分ける法的な線引き、世界と日本の最新状況、そして個人が今日から取れる具体的な行動までを整理して解説します。

難民と移民の違い|線引きは「本人の意思」ではなく「迫害の恐怖」

難民と移民は、しばしば同じ文脈で語られますが、法的にはまったく異なる概念です。両者を分ける最大の基準は、国境を越えた「理由」にあります。難民は迫害や紛争、暴力から命を守るためにやむを得ず国を離れた人々であり、移民は理由や法的地位を問わず、生活の場を変えた人々を広く指す言葉です。この違いを理解しないまま議論すると、「自己都合で来ているのでは」といった誤解が生まれやすく、支援の必要性が正しく伝わりません。

難民の法的定義

1951年に採択された難民条約は、難民を「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」を有し、国籍国の保護を受けられない、または受けることを望まない者と定義しています。難民は自国の大使館や領事館に頼ることができないため、難民条約に加入している国が受け入れを認めた場合、その国が保護する国際的な義務を負う点が大きな特徴です。

移民の定義と誤解されやすいポイント

一方、国連経済社会局の整理では、「国際移民」に法的な公式定義は存在せず、移住の理由や法的地位に関わらず定住国を変更した人々を指すとされ、滞在期間によって短期(3〜12か月)と長期(1年以上)に区分するのが一般的です。就労や留学、家族の呼び寄せなど自らの意思で移動する経済移民と、生命の危険から逃れざるを得なかった難民を同列に扱うことは、支援制度の設計上も誤解のもとになります。国境を越えるという行為そのものは共通していても、「自らの意思か、やむを得ない強制かの違い」が両者を分ける本質だと理解しておくことが大切です。

数字で見る世界の避難民|2024年末時点の全体像

強制的な移動を強いられた人の総数は2024年末時点で1億2,320万人に達し、前年から630万人増加しました。内訳は難民が4,270万人、国内避難民が7,350万人、庇護希望者が840万人とされています。67人に1人が住む場所を追われている計算になり、この規模は近年一貫して拡大傾向にあります。

増加の背景には、シリア内戦の長期化、ウクライナ侵攻、スーダンでの武力紛争、アフガニスタンの政情不安など、複数の危機が同時並行で進行している事情があります。単一の紛争が終結しても、別の地域で新たな危機が発生し続けているため、全体の避難民数は高止まりしたまま推移しています。

世界で今も続く主要な難民危機|シリア・ロヒンギャ・スーダン

シリア難民|政権移管後も続く帰還と避難の両方の動き

2011年の「アラブの春」の影響でシリアでも民主化運動が起こり、アサド政権による武力弾圧をきっかけに内戦が始まりました。2024年末時点でシリアは約600万人の難民を送り出す主要な発生国となっています。2024年12月の政権移管以降、近隣諸国から130万人以上が故郷を目指して帰還する動きが見られる一方で、近隣諸国と北アフリカだけで今も370万人以上が避難生活を続けているとされ、シリア国内避難民は720万人、人道支援を必要とする人は1,670万人にのぼると報告されています。政権が変わったからといって、すぐに全員が安全に帰れるわけではない現実がうかがえます。

ロヒンギャ難民|長期化する無国籍問題

ロヒンギャはミャンマー西部に住むイスラム系少数民族で、1982年の国籍剥奪以降、長年にわたり差別と迫害を受けてきました。2024年末時点で世界の無国籍者は約440万人とされ、そのうち約180万人が差別や迫害を逃れてバングラデシュなどに渡ったロヒンギャ難民だと報告されています。国籍がないという状態は、教育・医療・移動の自由といった基本的な権利へのアクセスを長期にわたって制限し続けます。

スーダン紛争|世界最大規模ともいわれる新たな危機

2023年4月に勃発したスーダンの軍と準軍事組織の武力衝突は、国内外に膨大な避難民を生み出し続けており、国内避難民と国外への難民を合わせた規模は世界最大級の避難危機のひとつとされています。メディアでの報道量がシリアやウクライナに比べて少ない一方、現地の人道状況は深刻さを増しているとの指摘があり、注目度と実際の危機の大きさが必ずしも一致しない典型例といえます。

難民を受け入れる国々|「豊かな国」だけが背負っているわけではない

難民の約73%は中低所得国が受け入れているとされ、最も多くの難民を受け入れている国はイラン(約350万人)、トルコ(約290万人)、コロンビア(約280万人)、ドイツ(約270万人)、ウガンダ(約180万人)です。この顔ぶれを見ると、欧米の先進国だけが難民問題を抱えているわけではなく、紛争地の近隣にある中低所得国こそが最も重い負担を引き受けている構図が浮かび上がります。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、難民が安全に尊厳を持って暮らすための解決策として主に3つの道筋を示しています。

  • 祖国への帰還|内戦や迫害が終結し、安全が確保された後に帰国する
  • 受け入れ国への定住|難民として認定された国の市民として新生活を始める
  • 第三国定住|一時的に庇護を受けた国から、新たに受け入れに合意した第三国へ移動する制度

2024年には過去最多となる約18万8,800人が第三国定住によって受け入れられましたが、これはUNHCRが推定する必要数240万人のわずか8%にすぎません。自国や住んでいた地域に帰還できた人は約980万人(難民約160万人、国内避難民約820万人)とされる一方、政情不安や生計手段の欠如を理由に安全な帰還がかなわない人も依然として多く残されています。

日本と難民問題|認定率の低さと制度変化の兆し

難民認定の現状

日本でも難民の受け入れは行われており、1970年代後半のインドシナ難民(ベトナム・ラオス・カンボジア)の大量流出を受け、日本は1981年に難民条約に加入し、インドシナ難民を1万1,319人受け入れた実績があります。近年に目を向けると、2024年は12,373人が難民申請を行い、認定されたのは190人でした。認定者数は過去3番目の多さとなったものの、申請数全体からみると認定率は低水準にとどまっており、難民として認定されるべき人が認定されていないのではという指摘は依然として根強くあります。

補完的保護制度とウクライナ避難民の位置づけ

日本では2023年の入管法改正により、難民条約上の難民には該当しないものの、紛争などから逃れてきた人を保護する「補完的保護対象者」の枠組みが設けられました。2024年は補完的保護や人道配慮も合わせると2,186人に在留が認められましたが、その7割以上はウクライナ出身者だとされています。ウクライナ避難民への特例的な支援は評価される一方で、特定の国籍に手厚い保護が集中する構造は、他の紛争地から逃れてきた人々への公平性という観点で課題として指摘されています。出身国を問わず、迫害の恐怖という基準に照らして公平に審査される仕組みづくりが、今後の日本に求められる論点です。

多文化共生や外国人の受け入れをめぐる制度は難民保護だけにとどまりません。日本国内での外国人との共生のあり方に関心がある方は、あわせて関連するテーマの記事も参考にしてみてください。

個人でできる難民支援|寄付・衣類・情報発信の3つの実践

難民問題は遠い世界の出来事に見えても、誰もが当事者になりうる人権の課題です。専門家でなくても、今日から始められる支援がいくつかあります。

寄付で支援する|団体ごとの特徴を比較する

寄付先を選ぶ際は、活動地域や資金の使い道が団体によって異なる点を押さえておくと、自分の関心に合った支援先を選びやすくなります。主な支援団体を比較すると、次のような違いがあります。

団体名主な活動特徴
国連UNHCR協会UNHCRの難民支援活動全般への資金協力緊急支援から長期的な自立支援まで幅広くカバー
認定NPO法人難民支援協会日本国内で暮らす難民への法的支援・生活支援日本にいる難民の在留資格取得サポートに強み
国境なき医師団難民キャンプなどでの医療提供医療・保健分野に特化した緊急人道支援

月々1,000円程度からの継続寄付を選べる団体が多く、まずは自分が関心を持てる活動分野から選ぶことが、支援を長く続けるコツだといえます。

衣類を寄付する

ユニクロやジーユーを展開するファーストリテイリングは、UNHCRとのグローバルパートナーシップのもと「RE.UNIQLO」という取り組みを行っており、店舗などで回収した衣服を難民キャンプに届けています。着なくなった服を捨てる前に、こうした回収の仕組みを利用することも立派な支援の一つです。

知ることと伝えること

難民問題への理解を深め、周囲に話すことも支援の第一歩です。SNSでの情報共有や署名活動への参加も、社会全体の関心を広げることにつながります。フェアトレードなど日常の消費行動を通じて世界の人権課題に関わりたい方は、関連するテーマの記事も参考になります。

寄付先の選び方についてさらに詳しく知りたい方は、国際協力NGOへの寄付ガイドも参考にしてみてください。

まとめ|知ることが支援のはじまり

2024年末時点で、紛争や迫害によって移動を強いられた人は1億2,320万人に達し、67人に1人が避難を強いられている計算になります。難民問題の背景には政治・宗教・経済・気候変動など複合的な要因が絡み合っており、解決には長い時間がかかります。だからこそ、日本にいる私たちがこの問題を「自分ごと」として考え続けることに意味があります。まずは寄付や衣類提供、情報発信の中から一つだけ試してみてください。

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

参考文献

  • UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)「Figures at a Glance|世界の難民統計」(https://www.unhcr.org/figures-at-a-glance.html)
  • 出入国在留管理庁「難民認定制度」(https://www.moj.go.jp/isa/policies/refugee/index.html)
  • ファーストリテイリング「難民支援の取り組み(RE.UNIQLO)」(https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/community/refugee.html)
  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事

フリーライター。過去の留学や世界一周などの海外経験から、環境問題をはじめとする社会問題に興味を持つ。 「人にも地球にも優しい暮らし」を見つけるために、日々情報を探しています。趣味は海外旅行とコーヒー、読書。 現在は健康や環境、食に関する情報を中心に発信しています。

  1. SDGsに登場するレジリエンスとは?意味や必要な場面をわかりやすく解説

  2. ESG投資とは?意味やSDGsとの関係を簡単に分かりやすく解説

  3. FSC認証の商品にはどんなものがある?身近な商品例と取り組み企業を一覧で紹介

RELATED

PAGE TOP