難民と移民の違いとは?世界の難民問題をわかりやすく解説
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original_date: 2021年7月24日
公開日: 2026年3月11日
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カテゴリースラッグ: sdgs
関連SDGs: 目標10(人や国の不平等をなくそう)、目標16(平和と公正をすべての人に)、目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)
「難民」という言葉をニュースで耳にしても、「移民とどう違うの?」「世界で何が起きているの?」とピンとこない方は多いのではないでしょうか。
2024年末時点で、紛争や迫害、暴力、人権侵害により、1億2,320万人が避難を余儀なくされています。
これは日本の総人口とほぼ同じ規模です。遠い世界の話に見えても、難民問題は私たちの暮らしとつながっています。この記事では、難民の定義・移民との違い・世界の主な事例・日本の現状・私たちにできる支援方法をわかりやすく解説します。
難民と移民の違い|自国を出た「理由」が鍵
難民と移民の最大の違いは、自国を離れた理由にあります。
「難民」は、迫害や紛争などの恐怖から逃れるために国境を越えた人々を指します。一方「移民」は、理由や法的地位を問わず、定住する国を変更した人々の総称です。
難民の定義
1951年に採択された難民条約では、難民を以下のように定義しています。
「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」(UNHCR日本 難民条約についてより)
難民は自国の大使館に頼ることができないため、難民条約に加入している国が受け入れた場合は、その国が難民を保護する義務を負います。
移民の定義
国連経済社会局の説明によると、「国際移民」に法的な公式定義はなく、移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を指すとされています。短期(3〜12か月)と長期(1年以上)に分けて区別するのが一般的です(国際連合広報センター参照)。
国境を越えるという点では難民も移民の一種といえますが、「自らの意思か、やむを得ない強制かの違い」が両者を分けます。
世界の難民問題|今も続く深刻な状況
シリア難民
2011年、中東各国で起きた民主化運動「アラブの春」の影響がシリアにも及び、アサド政権が平和的なデモを武力で鎮圧したことで内戦が始まりました。
2024年末時点における主要な難民発生国は、シリア(約600万人)、アフガニスタン(約580万人)、ウクライナ(約500万人)です。
2024年12月の政権移管以降、近隣諸国から130万人以上の難民が故郷を目指して帰還する動きもありますが、今も近隣諸国と北アフリカだけで370万人以上の難民が避難を強いられています。
また、
UNHCRによると2024年2月時点で、シリア国内避難民は720万人、シリア内で人道援助を必要としている人が1,670万人いるとされています。
ロヒンギャ難民
ロヒンギャはミャンマー西部に住むイスラム系少数民族です。1982年に国籍が剥奪されるなど長年の差別・迫害を受け、大規模な避難が続いています。
2024年末時点の無国籍者は約440万人で、そのうち約180万人が差別や迫害にさらされバングラデシュ等に逃れるロヒンギャ難民とされています。
世界全体の現状
2024年末時点の内訳は、難民が4,270万人、国内避難民が7,350万人、庇護希望者が840万人です。
前年から630万人もの増加となりました。
難民の約73%は中低所得国が受け入れており、最も多くの難民を受け入れている5か国は、イラン(約350万人)、トルコ(約290万人)、コロンビア(約280万人)、ドイツ(約270万人)、ウガンダ(約180万人)です。
豊かな国だけが難民を抱えているわけではないことがわかります。
難民が安全に暮らすための3つの解決策
難民問題の最終的なゴールは「難民が安全に、尊厳を持って暮らせること」です。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、主に3つの解決策を提示しています。
- 祖国への帰還:内戦や迫害が終結し、安全が確保された後に帰国する
- 受け入れ国への定住:難民として認定された国の市民として新生活を始める
- 第三国定住:一時的に庇護を受けた国から、新たに受け入れに合意した第三国へ移動する制度
2024年には過去最多となる約18万8,800人が第三国定住によって受け入れられましたが、UNHCRが推定する必要数(240万人)のわずか8%にすぎません。
より多くの国による受け入れ拡大が求められています。
2024年に自国や住んでいた地域に帰還できた人は約980万人(難民:約160万人、国内避難民:約820万人)とされていますが、多くの難民や国内避難民が、自国の政情不安や生計を立てる手段のないことを理由に安全な帰還ができない状況にあります。
日本と難民問題
日本でも難民の受け入れは行われています。1970年代後半にインドシナ難民(ベトナム・ラオス・カンボジア)が大量流出した際、日本は1981年に難民条約に加入し、インドシナ難民を1万1,319人受け入れたとされています。
2024年は、12,373人が難民申請を行い、認定されたのは190人でした。
難民認定者数は過去3番目の多さとなりましたが、難民として認定されるべき人が認定されていない状況は依然として続いているとの指摘もあります。
補完的保護や人道配慮も含めると2,186人に在留が認められましたが、その7割以上はウクライナ出身者であり、特定の国籍に偏ることなくあらゆる出身国から逃れた人に対する公平な保護の実現を求める声があります。
難民支援のために私たちができること
難民問題は遠い世界の出来事に見えても、誰もが当事者になりうる人権の問題です。一人ひとりにできる支援はいくつかあります。
寄付で支援する
- 国連UNHCR協会:難民支援への寄付はこちら
- 認定NPO法人 難民支援協会:支援ページはこちら
- 国境なき医師団:医療支援として難民キャンプでも活動
月1,000円からの定期寄付から、一度きりの寄付まで選択肢は幅広くあります。
服を寄付する
ユニクロやジーユーを展開するファーストリテイリングは、UNHCRとのグローバルパートナーシップのもと「RE.UNIQLO」という取り組みを行っており、集めた衣服を難民キャンプなどに届けています(UNIQLO 衣料支援参照)。
知ることと伝えること
まずは難民問題についての理解を深め、周囲に話すことも支援の第一歩です。SNSでの情報拡散や、署名活動への参加なども難民問題への関心を社会に広げることにつながります。
まとめ|知ることが支援のはじまり
2024年末、紛争や迫害によって移動を強いられた人は1億2,320万人に達しており、67人に1人が避難を強いられていることになります。
難民問題の原因は、政治・宗教・経済・気候変動など複合的な要因が絡み合っており、解決には長い時間がかかります。
だからこそ、日本にいる私たちが難民問題を「自分ごと」として考え続けることに意味があります。難民の現状を知ること、寄付や物資提供で支援すること、情報を周囲に伝えること——できる範囲で関わり続けることが、世界をほんの少し変える力になります。
難民と移民の違いとは?世界の難民問題をわかりやすく解説
【学べるポイント】
✅ 難民と移民の違いは「出国した理由」にある
✅ 2024年末時点で1億2,320万人が避難を強いられている
✅ 寄付・衣服の寄贈など個人でもできる支援がある

