株式会社オトバンク
オーディオブックの利用前後で視覚障がいのある学生の読書状況の変化を調査。誰もが読書をあきらめなくてよい社会を目指す「SDGs読書プロジェクト」の一環
オーディオブック書籍ラインナップ数で日本一(※1)の「audiobook.jp」を運営する株式会社オトバンク(本社:東京都文京区、代表取締役社長:久保田裕也、以下「オトバンク」)は、視覚障がい者・聴覚障がい者のための大学である国立大学法人筑波技術大学(所在地:茨城県つくば市、学長:石原保志)と共同で、オーディオブックを活用し視覚障がい者の読書量向上を目指す調査を2023年7月より開始いたしました。
※1.日本マーケティングリサーチ機構2022年11月調べ。日本語オーディオブック書籍ラインナップ数調査。
■共同調査の背景
日本で最も長く16年以上にわたってオーディオブックの制作・配信を続けているオトバンクは、視覚障がい者や加齢で視力の衰えに悩む高齢者など、誰もが読書をあきらめなくてよい社会つくるために「SDGs読書プロジェクト」を推進しています。これは、紙・電子に続く第三の書籍であるオーディオブックを通じて学びと読書の機会を提供する取り組みを行うとともに、障害者差別解消法および読書バリアフリー法の理念の実現を目指すプロジェクトです。これまでに公共図書館や医療機関・高齢者施設へのオーディオブック導入などを進めてまいりました。
今回の共同調査は、視覚障がい者・聴覚障がい者のための大学である筑波技術大学から、視覚障がいのある学生の読書量を向上させたいと相談をいただいたことがきっかけです。
読書は、教養や娯楽を得る手段のみならず教育や就労を支える重要な活動です。
しかし、視覚障がい者が利用できる点字図書や拡大図書・録音図書は作品数が限られます。スクリーンリーダー(音声読み上げソフト)で電子書籍を読み上げる方法もありますが、対応していないファイル形式や、漢字などを正しく読まない場合もあります。そのような状況から、視覚障がい者の読書環境は充実しているとは言えず、筑波技術大学においても読書から離れてしまう学生は少なくありません。
一方、オトバンクが「audiobook.jp」で配信するオーディオブックは、プロのナレーターや声優が書籍を正しく読み上げ、聴きやすいという特徴があります。また、「audiobook.jp」の日本語オーディオブック書籍ラインナップ数は日本一で、最新作から名著、若い世代に人気のライトノベルまで数万点が揃っています。
本調査を通じて、視覚障がい者の読書状況にオーディオブックがどのような効果を与えるかを検証するとともに、視覚障がい者にとってより使いやすいサービスになるよう改善にも繋げてまいります。
■共同調査の概要
【調査題目】 オーディオブックの利用による視覚障がい者の読書状況の変化に関する調査
【目的】 視覚障がいのある学生にオーディオブックサービスを長期間利用してもらうことにより、視覚障がい者の読書に与える効果や影響、利用上の課題を明らかにすることを目的とする。特に、同サービスの利用の前後で、読書量がどのように変化するかを分析することによって、読書環境が与える影響を考察することが可能となると考えられる。
【方法】
・調査への協力が可能な学生を募り、調査期間中オーディオブックサービス(audiobook.jp)を提供する。
・オーディオブックサービス提供の前と後に学生にアンケートやヒアリングを実施し、読書量の変化等について調査する。
■筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター・宮城愛美准教授のコメント
近年、従来の書籍が利用しづらい、視覚障害者を含むプリント・ディスアビリティの方の読書環境の向上を目指して、著作権法の改正や読書バリアフリー法の制定といった法制度の整備が進み、関係する図書館、出版社、視覚障害者支援施設のみならず、社会全体の機運が高まっているように感じます。
筑波技術大学は視覚障害・聴覚障害のある方のための大学ですので、教育においては、視覚障害があっても使いやすい媒体で学習資料を提供していますが、大学生としての教養を深めるためには、より多くの幅広い分野の書籍に触れて欲しいという思いがありました。
今回、オトバンク様と本学の共同調査の一環で、本学の視覚障害のある学生にオーディオブックサービスを提供することにより、豊富なジャンルで非常に多くの数の書籍をすぐに読める、という充実した読書環境が実現しました。共同調査を通して、オーディオブックのアクセシビリティや、同サービスの利用による視覚障害者の読書量の変化を明らかにすることによって、本学学生だけでなく、社会の様々な方にとって、読書環境の充実に寄与できればと思っています。
■筑波技術大学 保健科学部情報システム学科・福永克己講師のコメント
情報分野において、急速なテクノロジーの進展に対応するため、リスキリングが不可欠です。在学中ならまだしも、仕事をしながらとなるとその時間をとるのはなかなか難しいのが現状です。そこで、その際の手段の一つとして、「耳で読む」ことはこれからのIT技術者には必須の能力だと思います。
見えにくい学生がコンピュータの画面を極端に拡大することにより局所的な情報を得ることに満足してしまい、かえって全体像を捉えることができず、情報の習得に苦労している事例を多く見てきました。残存視力に過剰な負荷を与えないためにも、コンピュータの画面情報を読み上げるスクリーンリーダの利用を促していましたが、スクリーンリーダの合成音声には抵抗のある学生が多く、その解決策を模索していました。そこで、プロのナレーターや声優が読み上げてくれるオーディオブックを体験することにより、そのバリアを超える一助になれば幸いです。
■オトバンク代表取締役会長・上田渉のコメント
私がオトバンクを創業したきっかけに、緑内障で失明した祖父の存在があります。祖父のように目が不自由な方や老眼等で読書が難しくなった方など、誰もが読書を楽しめる「聴く文化」を創ることを目指し、オーディオブックサービスを立ち上げました。
その想いを実現させるため現在私は「SDGs読書プロジェクト」を掲げるとともに、文部科学省・視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会委員も務めています。
このたびの共同調査を通じて、視覚障がい者の読書状況にオーディオブックがどのような効果をもたらすかを明らかにするとともに、サービス改善にも繋げていくことで、目の不自由の方々の読書環境の充実に寄与し、誰もが読書をあきらめなくてよい社会の実現を加速させてまいりたいと思います。
■SDGs読書プロジェクトに関するお問合せ先
ウェブサイト: https://pages.audiobook.jp/lp/sdgs/index.html
メール: pr@otobank.co.jp
問い合わせフォーム: https://forms.gle/qK7PmsSfqpwKAqSY6
■筑波技術大学について
筑波技術大学は茨城県つくば市にある、日本で唯一の視覚障害者と聴覚障害者のための大学です。
1987年に3年制の短期大学として設立され、2005年に4年制大学に移行。視覚障害者が学ぶ「保健科学部」と、聴覚障害者が学ぶ「産業技術学部」の2つの学部があり、大学院も設置しています。
少人数教育の下、個々の学生の障害特性や発達的特性に即した学修者本位の教育を通じて、幅広い教養と専門的な職業能力を合わせもつ専門職業人を養成し、両障害者の社会的自立と社会貢献できる人材の育成を目指しています。
■オーディオブックとは
オーディオブックとは、ナレーターや声優が本を朗読した「聴く本」です。耳だけで読書を楽しめるため、文字を読むのが難しい方のほか、ランニング中、電車や車での移動時間、家事の最中など、生活のあらゆるシーンで「ながら読書」を楽しめます。
近年、スマートフォンやワイヤレスイヤホンの普及で音声コンテンツの利用環境が急速に整ったことや、定額で様々な作品が聴き放題となるサブスクリプションプラン導入などを背景にオーディオブックの利用者が急増。現在、オーディオブックは、紙、電子書籍に続く、第3の書籍として広がりつつあります。
【参考】オーディオブック制作の様子からおすすめ作品までわかる!「まるわかり!オーディオブック」 https://bit.ly/3Xg8mFJ
■audiobook.jp(オーディオブックドットジェイピー)
株式会社オトバンクが運営する、日本最大級のオーディオブック配信サービスです。
2007年より配信を開始した「FeBe」からリニューアルし、2018年3月よりサービスを開始。オーディオブックのカテゴリー普及に向けてプラットフォームの拡大を目指します。 2022年6月に会員数が250万人を突破。 https://audiobook.jp/
【サービス概要】
・サービス名称:「audiobook.jp」
・サイトURL:https://audiobook.jp/
・App Storeページ:https://app.audiobook.jp/ios
・Google Playページ:https://app.audiobook.jp/android
・料金体系:
聴き放題プランは、月額1,080円(税込)。入会から2週間は無料でご利用いただけます。
個別購入は作品ごとの購入が可能。(※単行本書籍とおよそ同価格帯(1,200円~1,500円)での配信が中心。)
■株式会社オトバンク(本社:東京都文京区、代表取締役社長:久保田裕也)
音声コンテンツを中心とした事業を展開し、「聞き入る文化の創造」「目が不自由な人へのバリアフリー」「出版文化の振興」の達成を目指している、日本最大級の配信数を誇るオーディオブックカンパニーです。500社以上の出版社様と提携し、主な事業として、日本最大級のオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」でのオーディオブック販売をはじめ、オンラインブックガイド「新刊JP」(https://sinkan.jp/)を中心とした書籍プロモーション事業も行っています。https://www.otobank.co.jp/