SDGsの中でも緊急の対策が求められているエネルギーや環境問題。
その鍵を握るのが、「ゼロエミッション」の実現です。
ここではゼロエミッションの意味や取り組みについて解説していきます。
ゼロエミッションとは
ゼロエミッション(zero emission)とはその言葉の通り、排出(emission)をゼロにする、という考え方です。
我々が日々行う社会生活や経済活動は、地球環境に負担をかけています。
調理をすればゴミが出ますし、洗濯をすれば水を汚します。
便利な生活を求めると、紙やプラスティックのゴミが生まれます。
化石燃料を利用した電気を使うことが、二酸化炭素の排出を増加させ、地球環境に負担をもたらします。
環境汚染や二酸化炭素排出を通じて地球環境に与える様々な廃棄物をゼロに近づけることで、地球に与える負担を可能な限り小さくする一連のアイデア、試み、施策、戦略をすべてゼロエミッションと呼びます。
ゼロエミッションが叫ばれる背景
近年温暖化が急激に進行する背景の1つに、我々が経済活動の増大とともに過剰に炭素を排出し、地球の自然環境に望ましくない影響をもたらしていることが指摘できます。
もっと地球環境に対する負荷を小さくしなければ、地球は存続し得ない。
ゼロエミッションという考え方は、その点に注目する考え方の1つです。
天然資源は「無限」ではない
我々の日々の生活は意識するかしないかにかかわらず、自然環境の恵みを享受することで成り立っています。
例えば、毎日口にする魚や野菜そして米や穀物はすべて、太陽や水、海や土の力などの天然資源を時として利用することで、初めて口にすることができるものです。
これまで我々は、天然資源を「無料」で好きなだけ利用することを当たり前のものと考えてきました。
しかし、天然資源は永遠に使えるわけではありません。
天然資源には限りがあります。
人口が増加し、経済活動の規模が拡大し、天然資源の再生速度を超えて人口や経済活動が増大すれば、自ずと天然資源は枯渇していくこととなります。
例えば、普段食卓に上っていた魚は、以前にも増してとれなくなっています。
温暖化が進行する中、石油などの化石燃料も今までのように好き勝手に使用することはできなくなっています。
ゼロエミッションを実現するためには?
ゼロエミッションを実現するためには、地球環境に与える様々な負担を意識的に小さくしていく日々の小さな工夫と同時に、大胆に今までの生活様式を見直し、変革していくことが必要になります。
ゼロエミッションに向けた経済活動の見直しが大切
ゼロエミッションの実現には生産者活動、つまり経済活動を見直すことが重要です。
積極的に自然環境の負担を小さくするような、エネルギー源の選択、製品・生産工程の改革や改善、そして流通過程の改革や改善が不可欠です。
特に生産者という観点からゼロエミッションを達成するためには、モノやサービスを創り、流通業者を通じて、最終的に顧客に配る一連の過程で、自然環境に与える影響を全体で最小化するライフサイクルコスト(モノが創られて最終的に利用され、破棄されるまでの一連の経済的・社会的費用)を事前に考えて生産することが必要となります。
「お金になるから商売する、売れるから作る」ことは、ビジネスチャンスを掴むという点では、大事な考え方ではあります。
しかし、ビジネスの持続可能性は経済的持続可能性のみならず、社会的な持続可能性と環境的な持続可能性が成立して、初めて持続可能なものとなるはずです。
消費者として私たちにできることは?
脱プラスチックのような、可能な限りプラスチックを使わないような日常の心がけも必要になります。
自身の買い物袋を買い物の際に持参することもその一歩になるものですが、それだけに留まりません。
敢えてペットボトルの飲み物を買わずに家からマイボトルを持参し、ゴミになるペットボトルの使用を避けるのもその一例ですし、リフィルして飲料水やお茶を利用するのもその一例です。
あるいは旅行に行った際に、ホテルで提供される使い捨ての歯ブラシやクシを使うのではなく、自分のものを事前に用意してプラスティックの使用の削減に努めるのもゼロエミッションに貢献する活動です。
化石燃料を使わない電気自動車、あるいは化石燃料を有効に節約するハイブリッド車の購入、利用に努めることもゼロエミッションにつながる活動の1つです。
太陽光や水力や風力、地熱発電や潮力発電など、自然の力を活用した多様な再生エネルギーの積極的な利用もまた、ゼロエミッションの実現に貢献する活動と言えます。
まとめ
ここまでゼロエミッションの取り組みについてみてきました。
ゼロエミッションとは、地球に対する負荷を可能な限りゼロにするという考え方です。
それは生産者にとっても消費者にとっても、正面から取り組まなくてはならない課題なのです。