2021年3月。iPhoneやMacなどの媒体を開発する世界的な巨大企業であるAppleは、世界各国にある製造パートナーのうち100社を超える企業が、Apple製品を製造するにあたり必要な電力を全て再生可能エネルギーにシフトすることを明らかにしました。
これにより、8GWもの再生可能エネルギーが調達できることになります。
実に、年間1,500万トンの温室効果ガス削減に貢献する数量です。なんとこれは道路から毎年340万台以上の自動車を排除することに匹敵します。
各サプライヤーが再生可能なエネルギーの目標を達成するために、Appleは様々なサポートを手がけています。
サプライヤーへのサポート
Appleでは、取引先企業がそれぞれ掲げた再生可能エネルギーの目標を達成し、次世代のクリーンエネルギーを世界各国に供給するのをサポートするための新たなツールを開発し続けています。
Appleはすでに再生可能エネルギーへのシフトを100%実現しており、それによって会得した経験や情報を取引先へ提供しているのです。
加えて、再生可能エネルギーにおける専門家を招き、取引先に対してAppleオリジナルのトレーニングを活用した教育を行なっています。
China Energy Fundの設立
クリーンエネルギーを利用するための選択肢が制限されているエリアも少なくはありません。
中国もそういった制限のある市場の一つです。
そこでAppleは、China Energy Fundを設立。
中国国内において、1GWを超える再生可能エネルギーを調達することを目的に掲げたプロジェクトに対して、AppleやAppleの取引先が投資するための環境を整えています。
さらに、再生可能エネルギーをAppleの取引先がクリーンエネルギー開発業社等から買い付ける際に、Appleが企業同士をつなげるというコーディネートも実施しているのです。
2030年へ向けたAppleの取り組み
Appleでは2020年7月に、Appleにおける全ての事業と製造に関わる取引先、また製品のライフサイクルのあらゆる面において、2030年までにカーボンニュートラルを達成する計画を発表しています。
実質、この取り組みにはAppleに関わる世界各国の企業が賛同しており、エリアを問わず注目されている計画であることがわかるでしょう。
また、再生可能エネルギーを利用するにあたって、気候の影響を著しく受けるエリアとの協力にも重点を置いています。
最近では、環境改善を目的とする事業のための債券である「グリーンボンド」を通じて調達した47億ドルもの資金を、世界各国で実施されている環境プロジェクト支援に利用することも明言しています。
電力貯蔵施設建設について
2021年3月現在、AppleではCalifornia Flatsという電力貯蔵施設を建設中です。
この施設は、アメリカでも最大規模のバッテリープロジェクトの一つとなっています。
電力グリッド規模において、1日に7,000を超える世帯への電力供給が可能なほどの貯蓄能力がある業界屈指の施設です。
日中に生成されたエネルギーの中から余った電力を貯蔵し、一番需要があるタイミングで活用することができる仕組みが備わっています。
エネルギーの貯蔵が一番の要
再生可能エネルギーとして一般的に浸透しているのが、風力発電や太陽光発電です。
これらのエネルギーは世界中の多くのエリアで使うことができ、コスト効率も高いと言われています。
しかし、天候によっては発電が中断されてしまうといった問題も否めません。
そのため、新しいエネルギーとして注目されながらも採用されにくいといった現実があります。
ここでAppleが解決策として提案しているのが、電力を貯蔵するといった仕組みなのです。
エネルギーの貯蔵が実現すれば、いざ電力が必要となる段階まで保つことができます。
新たな研究
現在建設中の電力貯蔵施設と合わせて、Appleではさらなる取り組みとして新たなエネルギー貯蔵テクノロジーの研究を行なっています。
Appleは、サンタクララバレーに設置された分散型の貯蔵施設を始め、Apple Parkの中にあるマイクログリッドに至るまで活用しています。
次々と次世代のエネルギー利用に関しての動きを推し進めていることからも、次世代のエネルギーをリードしているといっても過言ではありません。
Appleの再生可能エネルギーにおける実績
Appleは一貫した考え方として、生産からリサイクルに至るまでに排出される温室効果ガスの排出量であるカーボンフットプリントの削減を進めてきました。
事実、Apple社の純利益は増加し続けているのにも関わらず、カーボンフットプリント自体は4割も削減しています。
Appleが掲げる2030年への目標に向けて、着実に進んでいることが明らかでしょう。
また、低炭素素材を使用し、クリーンエネルギーへのシフトといった取り組みを行うことで、温室効果ガスの排出における抑制量は、実に1,500万トン以上に上っています。
まとめ
Appleやその取引先が進める再生可能エネルギーの取り組みは、これからますます色濃くなっていくことが伝わる発表でした。
現在、Appleの主な取引先のうち約半数が再生可能エネルギーへのシフトを行っていますが、その他の企業もこれから順次シフトしていくことでしょう。
一つの企業が大きく動くことで、波紋は大きく広がり世界中へ再生可能エネルギーの波が広がります。
2030年まであと10年もありません。
スピーディーに着実に、Appleのような積極的な活動を行う企業が増えていくことが望まれます。