お正月に食べるおせち料理には、昆布巻きや田作り、筑前煮のように、毎年なんとなく重に入れても最後まで残りがちな具材があります。縁起物だから、せっかくの料理だからと、苦手なものを我慢して食べ続ける必要はありません。この記事では、余りがちな具材を別の料理に作り変える「おせちアレンジレシピ」を、手順つきで紹介します。あわせて、食品ロスの最新データと、来年のおせちを余らせないための選び方も整理します。
お正月まであと2か月。おせちの予約や準備を考え始める時期の今だからこそ、「余ったらどうするか」を先に知っておくと、買い方も変わってきます。
余ったおせちは食品ロスにどれだけ関わるのか|数字と苦手具材の実態
おせちを残すことは、家庭の小さな悩みにとどまらず、日本全体の食品ロスの一部でもあります。農林水産省と環境省の推計によると、2024年度の食品ロス量は461万トンで、そのうち家庭から出た家庭系食品ロスは224万トンでした。前年度の2023年度は、総量が464万トン、家庭系が233万トンで、家庭系は1年で9万トン減っています。
食品ロスは10月が「食品ロス削減月間」、10月30日が「食品ロス削減の日」と定められています。昨日がちょうどその日でした。ただし、おせちだけの廃棄量を示す全国統計は、確認できた範囲では見当たりません。そのため「おせちで何万トン捨てられている」とは言えません。確かなのは、家庭の食卓の積み重ねが、年間224万トンという規模になっているという事実です。
お正月は品数が多く、数日かけて食べる前提で買い込むため、普段より余りが出やすい場面だと考えられます。そこで、余らせる前提で慌てるより、余りがちな具材の「行き先」を先に決めておく方が、気持ちも楽になります。
苦手な具材は家庭ごとに違う
「どの具材が苦手か」は、調査によって顔ぶれが変わります。macaroniが2026年10月に読者136票を集めた「苦手なおせち料理ランキング」では、同率1位が数の子と伊達巻(各16票)、3位が酢だこ(15票)、4位が昆布巻き(13票)、同率10位に田作り(7票)でした。投票数が小さな読者アンケートなので、全国の傾向とまでは言えません。
それでも、このランキングから分かることがあります。苦手な具材は家庭によってまちまちで、「うちの家族は何を残すのか」を知らないと、対策の立てようがないということです。この記事では、おせちの定番として毎年重に入りやすく、残りやすい声も多い昆布巻き・田作り・筑前煮を中心に取り上げます。
それでも重に入れてしまう理由
それぞれの具材には、願いが込められています。昆布巻きは「不老長寿・子宝成就」、田作り(ごまめ)は「五穀豊穣」、筑前煮は具材を一緒に煮ることから「家族仲」といわれます。意味を知っているから、苦手でも外しにくいのです。
縁起を大切にする気持ちはそのままに、「食べ方」だけを変えるのが、この記事の提案です。味付け済みのおせちは、別の料理の下ごしらえが終わっている食材として使えます。
昆布巻きのアレンジレシピ3選|煮汁ごと使ってうま味を生かす
昆布巻きは、すでに甘辛く煮含められているため、アレンジの鍵は「煮汁も一緒に使う」ことと「塩分を足しすぎない」ことです。中身はにしんや鮭など家庭によって違うので、骨が気になる場合は小さく刻んでから使ってください。分量はいずれも2人分の目安です。味を見ながら調整してください。
佃煮風にして常備菜にする
ごはんのお供として、年明けすぐに作っておける一品です。
- 昆布巻き3〜4本を1〜1.5cm角に切ります。
- 鍋に昆布巻きと、残っていれば煮汁を入れます。煮汁が足りなければ、水100mlにしょうゆとみりんを各小さじ1〜2加えます。
- 弱火で、汁気がほとんどなくなるまで10分ほど煮ます。
- 仕上げに白ごまや粉山椒をふります。
冷めたら清潔な容器に移し、冷蔵庫で保存します。おにぎりの具やお茶漬けにも向いています。
和風パスタに変える
昆布のうま味とバターは相性が良く、洋風の味に変わると箸が進みやすくなります。
- パスタ160gを袋の表示どおりにゆでます。
- フライパンにバター10gを溶かし、細かく刻んだ昆布巻き2本分と煮汁大さじ2を入れて温めます。
- ゆで上がったパスタを加えて和え、味を見ます。
- 刻み海苔をのせます。
煮汁に塩分があるので、塩は足さずに味見してから調整します。
昆布巻きの出汁で魚介系つけ麺にする
昆布巻きから出るうま味を、つけ汁にそのまま活かします。
- 鍋に昆布巻き2本を刻んで入れ、水300mlと煮汁を加えて5分ほど煮ます。
- 3倍濃縮のめんつゆ大さじ2で味を整え、ごま油を少したらします。
- ゆでて冷水で締めたそばやうどんを、温かいつけ汁につけて食べます。
- 刻みねぎや七味唐辛子を添えます。
中身が魚の昆布巻きほど、つけ汁に深みが出ます。
田作り(ごまめ)のアレンジレシピ2選|食感の苦手を砕いて解消する
田作りが苦手な理由は、味よりも「小魚の硬い食感と形」にあることが多いようです。そこで、砕く、炊き込むという方法で食感を変えます。甘辛い味付けがすでにあるので、足す調味料は控えめにするのがコツです。
炊き込みご飯にする
米2合に対して、田作り30gが目安です。
- 米を研ぎ、炊飯器に入れて、水を2合の目盛りまで注ぎます。
- 酒大さじ1としょうゆ小さじ1を加えて軽く混ぜます。
- 田作りを粗く砕いてのせ、そのまま炊きます。
- 炊き上がったら全体を混ぜ、味が足りなければしょうゆを少しだけたらします。白ごまをふります。
しいたけや刻んだ昆布巻きを足しても合います。田作りのうま味がご飯に移るため、小魚の姿が目立ちません。
細かく砕いてふりかけにする
魚が苦手なお子さんにも出しやすい食べ方です。
- 田作り30gをポリ袋に入れ、上からめん棒でたたいて細かく砕きます。フードプロセッサーがあれば、そちらでも構いません。
- フライパンで1〜2分乾煎りし、水分をとばします。
- 白ごま大さじ1と青のりを混ぜます。
しっかり冷ましてから、清潔な容器に入れて冷蔵庫で保存します。
筑前煮のアレンジレシピ2選|洋風に寄せると食べ切りやすい
筑前煮は、ほぼ毎回多めに作られる料理です。和食が続くお正月の食卓では、洋風の味付けに変えるだけで気分が変わります。根菜や鶏肉に火が通っているので、調理時間も短く済みます。
和風カレーにする
筑前煮に含まれる根菜と鶏肉が、そのままカレーの具になります。
- 鍋に筑前煮約300gを煮汁ごと入れ、水200mlを加えて温めます。
- いったん火を止めて、カレールウ約40gを溶かします。
- 弱火で5分ほど煮て、味を見ながら調整します。
筑前煮にもともと味が付いているため、ルウを入れすぎると濃くなります。少なめから始めてください。
和風グラタンにする
ホワイトソースと筑前煮は意外な組み合わせですが、しょうゆの風味がコクになります。
- 耐熱容器にバター20gと小麦粉20gを入れ、電子レンジで加熱して混ぜます。牛乳300mlを少しずつ加えて混ぜ、とろみがつくまで温め、塩少々で整えます。市販のホワイトソースでも構いません。
- 筑前煮200gの汁気をしっかり切り、耐熱皿に並べます。
- ホワイトソースをかけ、とろけるチーズをのせます。
- オーブントースターで、焼き色がつくまで10分ほど焼きます。
汁気を切ることが、水っぽくならないコツです。ご飯を下に敷けば、ドリア風にもなります。
黒豆・栗きんとん・伊達巻・なますの小さな活用法
苦手というより「食べ飽きた」と感じやすいのが、甘い具材や酢の物です。少量余ったときの使い道を、短く紹介します。
黒豆はヨーグルトとパンに
プレーンヨーグルトにのせると、デザート感覚で食べられます。ホットケーキミックスの生地に混ぜて焼けば、豆入りのパンケーキにもなります。
栗きんとんはトーストに
食パンに塗ってトースターで焼くと、甘いスイーツトーストになります。牛乳でのばし、スイートポテト風のスプレッドにする方法もあります。
伊達巻は卵サンドの代わりに
薄切りにして食パンにはさめば、甘めの卵サンドになります。卵液に浸してフレンチトースト風にしても使えます。
なますはサラダや和え物に
大根とにんじんの酢の物は、ツナやコーンと和えるとサラダとして食べやすくなります。酸味が強い場合は、オリーブオイルを少しからめると和らぎます。
アレンジ料理を安全に食べ切るための保存と加熱の考え方
アレンジレシピは「余ったものを食べ切る」ためのものです。ただ、食べ切ることに気を取られて、傷みかけたものまで食べてしまうと本末転倒です。ここでは、手持ちの食材を安全に使うための基本をまとめます。保存期間は商品や作り方で異なるため、購入品は表示に従ってください。
余ったら早めに取り分けて冷蔵する
食卓に長く出しっぱなしにせず、残りそうな分は早めに別の容器へ取り分けます。取り分けるときは、清潔な箸を使ってください。常温で長く置いたものは、アレンジ素材には使わない方が安全です。
冷凍向き・向かないものがある
アレンジ用に冷凍する場合、蓮根やごぼうなど水分の多い根菜は、解凍後に食感が変わりやすいとされています。筑前煮は、カレーやグラタンのように「煮込む・焼く」料理に回すと、食感の変化が気になりにくくなります。昆布巻きは、刻んで小分けにしておくと、パスタや炊き込みご飯に使いやすくなります。
アレンジするときは中心まで加熱する
作り変えるときは、しっかり加熱するのが基本です。それでも、においや見た目に違和感があるものは、無理に食べずに処分してください。我慢して食べ切ることより、安全に食べることを優先します。
来年のおせちを余らせないために、買う前・詰める前にできること
アレンジで食べ切るのは「余ってからの対策」です。余りそのものを減らすには、買う前や詰める前の準備が効きます。今は予約を検討する時期でもあるので、いくつか具体的な方法を挙げます。
家族に「残したくなる具材」を聞いておく
今年のお正月、残ったおせちの写真を1枚撮っておくことをおすすめします。誰にも見せない記録で構いません。来年、どの具材が余りやすかったかが一目で分かります。家族に直接聞くだけでも十分です。予約する場合は「苦手な具材が少ないおせちはどれか」という視点で選べます。
量は人数と食べる日数から決める
重数や品数が多いほど満足感はありますが、食べる人数と日数に合わない量は余りの原因になります。少人数向けのセットや、好きなものだけを選べる個別の惣菜を組み合わせる方法もあります。
同じ願いを込めた「新しい具材」を考える
縁起を大切にしたい場合は、同じ意味合いを持たせた別の具材で代えるという考え方があります。家庭で楽しまれている語呂合わせの例として、次のようなものがあります。
- スモークサーモン…名前に「ん」が入ることから「運がつくように」
- ローストビーフ…胃袋が4つある牛を食べることから「食べ物に困らないように」
- エビチリ…長いひげと曲がった腰から長寿を連想して「長生きできるように」
- パイ包み…「いっパイ」の語呂から「幸せいっぱいの一年に」
こうした工夫は、お子さんの冬休みの課題にしても楽しめます。毎年少しずつ見直して、「我が家のおせち」に近づけていく方法もあります。
社会全体でも「需要に見合った販売」が進んでいる
季節の行事食の食品ロスを減らす動きは、すでに始まっています。農林水産省は、食品ロス削減推進法を踏まえ、恵方巻きなどの季節食品について、小売業者に需要に見合った販売を毎年呼びかけています。取組事業者の公表も続いており、2026年は71事業者から応募がありました。
こうした動きは、おせちの買い方にも通じます。予約で数を決める、食べ切れる量を選ぶといった選択は、家庭でできる食品ロス対策になります。
まとめ
おせち料理は縁起を担ぐ大切な料理ですが、苦手な具材を我慢して食べ続ける必要はありません。昆布巻きは佃煮やパスタ、田作りは炊き込みご飯やふりかけ、筑前煮はカレーやグラタンにと、別の料理に作り変えれば、おいしく食べ切れます。2024年度の家庭系食品ロスは224万トンにのぼり、おせちのような季節の食卓も無関係ではありません。
一方で、アレンジは余ってからの対策です。来年に向けては、家族の苦手な具材を知り、人数に合った量を選び、必要なら同じ願いを込めた新しい具材に置き換えることで、余り自体を減らせます。
まずは今年のお正月、残ったおせちの写真を1枚だけ撮ってみてください。それが来年の「我が家のおせち」を見直す出発点になります。
- 昆布巻き・田作り・筑前煮は、煮汁や味付けを活かせば別の料理に作り変えられる
- 黒豆・栗きんとん・伊達巻・なますも、トーストやサラダなど少量で使い切れる
- 取り分けは清潔な箸で行い、冷蔵・冷凍と中心までの加熱を基本にする
- 来年は家族の苦手を把握し、人数と日数に合った量で選ぶと余りが減る
- 2024年度の家庭系食品ロスは224万トンで、日々の食卓の積み重ねが全体を左右する
参考文献
- 環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和6年度)の公表について」(2026年)
- 農林水産省「10月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」!」(2026年)
- 農林水産省「季節食品のロス削減」(2026年)
- macaroni「苦手なおせち料理ランキング」(2026年)

