「気候変動適応」という言葉を耳にしたことはありますか?最近、テレビやニュースでよく見かけるこの用語は、私たちの暮らしや社会の未来を守るために非常に重要な取り組みです。この記事では、気候変動適応とは何なのか、そして私たちが今、どのような行動を起こすべきなのかをわかりやすく解説します。
気候変動適応とは何か
気候変動適応とは、気候変化に対して自然生態系や社会・経済システムを調整することにより、気候変動の悪影響を軽減する(または気候変動の好影響を増長させる)ための取り組み
です。より具体的には、現在から将来の気候の変化とそれが及ぼす影響を知り、対応できるように備えることを意味しています。
言い換えると、気候変動適応は「すでに起きている、または今後起きることが予想される気候変動の悪い影響に備える対策」のことです。地球温暖化を止めることはできないかもしれませんが、その影響をできるだけ小さくする工夫を今から始めようという考え方です。
緩和策との違い
気候変動対策には、「緩和策」と「適応策」の2つがあります。
緩和は温室効果ガスの排出削減と吸収の対策を行うもので、省エネの取組みや再生可能エネルギーなどが該当します。一方、適応は既に起こりつつある気候変動影響への防止・軽減のための備えと、新しい気候条件の利用を行うもの
です。
つまり、緩和は「原因を減らす」対策であり、適応は「その結果に備える」対策といえます。
最大限の排出削減努力を行っても、過去に排出された温室効果ガスの大気中への蓄積があり、ある程度の気候変動は避けられません。だからこそ、両方の対策が重要なのです。
気候変動適応が必要な理由
激しい大雨が毎年のように水害を引き起こし、災害級の暑さによりひと夏で1000人以上の死者が出た年もあります。
気候変動の影響は気温の上昇、農作物の品質低下、大雨や暴風による災害、熱中症など様々な形で既に現れており、今後も影響は大きくなる見込みです。
これらの課題に対応するため、日本は組織的に動き出しました。
日本では、国全体が気候変動の影響を回避し低減することを目的として「気候変動適応法」を2018年に制定しました。この法律により、国・地方自治体・企業・国民が一体となって適応策を推し進める体制が整備されました。
適応策の具体例
気候変動適応は、様々な分野で実践されています。
渇水対策や農作物の新種の開発、熱中症の早期警告インフラ整備などが例として挙げられます。また、気候変動に伴う強い台風の増加や海面水位の上昇による浸水被害や海岸侵食の深刻化に対し、ハード・ソフトの施策を組み合わせた高潮等の災害リスク増大の抑制及び海岸における国土の保全が図られています。
さらに、地域レベルでも対策が進んでいます。
都道府県と市町村は、地域気候変動適応計画の策定に努めることとされており、地域の気候変動の影響及び適応に関する情報を提供する地域気候変動適応センターの確保に努めることともされています。
私たちにできること
気候変動適応は、政府や企業だけの問題ではありません。
具体的にできることとしては、地域の気候変動適応計画や適応策を知って自らの行動に役立てること(例えば、熱中症予防情報をみて行動予定を変更する、防災マップで災害時に危険な場所や避難先を確認しておくこと等)や、日々の感じている気候変動による影響について家族や友人と話し合い、発信していくことなどがあります。
また、より日常的には、防災対策の準備、地域の気象情報への関心、水や食べ物の備蓄、ハザードマップの確認など、身近なところから始めることができます。気候変動への適応は、私たちの命と暮らしを守るための共通の課題なのです。

