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ENVIRONMENT

プラスチック汚染条約の交渉が再始動。新議長が「数カ月単位で進める」と早期合意に意欲

プラスチック汚染条約の交渉が再始動。新議長が「数カ月単位で進める」と早期合意に意欲

2026年3月1日から3日にかけて、東京でプラスチック汚染条約の策定に向けた政府間交渉委員会(INC)の非公式会合が開催されました。日本・EU・米国・中国・インド・サウジアラビアなど約20の国・地域が参加し、新議長のフリオ・コルダノ氏(チリ)のもとで交渉再開に向けた議論が進められました。2024年・2025年と2度にわたり合意に失敗してきたプラスチック汚染条約の交渉が、ようやく動き出そうとしています。


2度の合意失敗を経て、新議長のもとで仕切り直し

プラスチック汚染を根絶するための国際条約は、2022年3月の国連環境総会で策定に向けた交渉開始が決議されました。2024年11月末から12月初旬に韓国・釜山で開催された第5回政府間交渉委員会(INC5.1)、2025年8月5〜15日にスイス・ジュネーブで開催された再開会合(INC5.2)と、2度にわたって合意に失敗しています(環境省、2025年8月15日発表)。

こうした状況を受け、2026年2月に新議長としてフリオ・コルダノ氏(チリ)が就任。3月1日から3日にかけて東京で非公式会合が開催され、日本・EU・米国・中国・インド・サウジアラビアなど約20の国・地域が参加しました。

コルダノ議長は東京会合の場で「最終合意に必要な要素は明確になってきた」と進展を強調しつつ、近くロードマップを公表する予定であることを明らかにしました。

交渉が難航してきた理由:生産規制か廃棄物管理か

なぜ条約交渉はここまで難航しているのでしょうか。その背景には、各国の利害が鋭く対立する構図があります。

規制強化を求める国々(欧州諸国・太平洋島嶼国など)は、プラスチックの「生産段階」から規制することを主張しています。製造量そのものを減らさなければ、廃棄物問題の根本解決にはならないという立場です。

一方、産油国(サウジアラビア・ロシアなど)は、規制の対象を「廃棄物管理」に限定することを求めています。プラスチックの原料は石油であるため、生産規制は自国の経済的利益に直結するからです。

この対立構図は2024年・2025年の交渉でも解消されず、合意の壁となってきました。一方で「プラスチック汚染は緊急の問題だが、議論を拙速に進めてはならない」と慎重な姿勢も示しており、早期合意への道のりは依然として容易ではありません。

プラスチック汚染の現状、なぜ国際条約が必要なのか

そもそも、なぜ国際条約が必要なのでしょうか。プラスチック汚染は一国だけでは解決できない、まさにグローバルな問題だからです。

環境省によると、日本のプラスチック廃棄物の約87%が「有効利用」とされていますが、その大部分は燃焼時のエネルギー回収(サーマルリサイクル)です。原料として再利用する「マテリアルリサイクル」は全体の約5%程度にとどまっているとされています。

また、海洋プラスチック汚染は国境を越えて広がります。川や海に流れ出たプラスチックは微細な「マイクロプラスチック」となり、魚介類の体内に蓄積されるだけでなく、人体への影響も懸念されています。こうした問題は、一国の廃棄物管理の改善だけでは解決できません。

日本はどう関わっているか

日本は今回の東京非公式会合の開催国として、条約交渉の促進に積極的な姿勢を示しています。環境省は2025年8月15日に第5回政府間交渉委員会再開会合(INC5.2)の結果概要を公表しており、条約策定に向けた議論の動向を継続的に発信しています。

国内では2022年4月施行の「プラスチック資源循環促進法」により、コンビニのスプーンやストローなど12品目の使用抑制が義務化されました。企業・消費者双方に変化が求められる中、国際条約の行方は日本の今後の政策にも影響を与えることになります。

まとめ|条約の行方が、世界のプラスチック問題を左右する

2026年3月、東京での非公式会合を経て、プラスチック汚染条約の交渉は新たな局面を迎えています。コルダノ新議長のもとで「数カ月単位」での進展が期待されていますが、生産規制をめぐる各国の対立は根深く、予断を許さない状況です。

この条約が実現するかどうかは、海洋汚染の行方、日本を含む各国の廃棄物政策、そして私たちの日常生活にも関わってきます。交渉の動向を引き続き注目していきましょう。

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