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SOCIETY

ジェンダー問題の解決策と世界・日本の取り組み事例|2025年最新動向

ジェンダー問題の解決策はある?実施されている事例を紹介

性別を理由とした賃金格差、管理職比率の偏り、無償ケア労働の不均衡——これらは「遠い国の話」ではなく、日本でも多くの人が職場や家庭で実感している現実です。世界経済フォーラムの「Global Gender Gap Report 2024」では、日本は146か国中118位にとどまり、G7最下位という状況が続いています。

一方で、法律や制度を使って着実に変化を生み出している国や企業も増えています。この記事では、世界の先進事例と日本の取り組みを具体的に整理し、私たち一人ひとりが今日からできることを考えます。

ジェンダーギャップ指数が示す世界と日本の現在地

世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表するジェンダーギャップ指数は、「経済参加・機会」「教育達成度」「健康・生存」「政治的エンパワーメント」の4分野で各国のジェンダー平等度を0〜1のスコアで評価します。

2024年版の報告書では、1位はアイスランド(0.935)、2位フィンランド(0.878)、3位ノルウェー(0.875)と北欧諸国が上位を占めました。日本は0.663のスコアで118位。特に「経済参加・機会」(120位)と「政治的エンパワーメント」(113位)の低さが総合順位を押し下げています。女性管理職比率や国会議員比率の低さが数値に直結しており、スコアが示す課題は具体的です。

同報告書は、現状のペースで世界全体のジェンダーギャップが解消されるまでには134年かかると試算しています。政治分野に限れば169年という推計も示されており、制度設計を根本から変えなければ世代を超えた問題として引き継がれる可能性があります。

アイスランド|賃金格差を「違法」にした国

男女間の賃金格差はジェンダー問題のなかでも特に可視化されやすい指標です。多くの国が「同一労働・同一賃金」原則を掲げていますが、実態として格差が残り続けているのが現状です。アイスランドは2018年、この問題に対してより踏み込んだ手段を選びました。

施行されたのは「同一賃金認証制度」です。従業員25名以上のすべての組織に対して、男女が同一賃金を受け取っていることを第三者機関に証明し、認証を取得することを義務づけました。証明できない場合は罰金が科される仕組みで、「差別しない」という宣言ではなく「平等を証明しろ」という設計が画期的でした。

アイスランドはジェンダーギャップ指数で15年以上連続1位を維持しており、この賃金認証制度はその背景にある政策の一つです。法律で禁止するだけでなく、認証という仕組みで企業に能動的な行動を求めた点は、他国の政策立案者からも注目されています。

フィンランド|「両親それぞれ」の育児休暇制度

育児休暇制度の多くは、主たる養育者(多くの場合、母親)を想定して設計されてきました。フィンランドは2021年、この前提を覆す制度改革を実施しました。

新制度では、両親それぞれに約7か月間(約160日)の有給育児休暇が付与されます。合計で約14か月になる計算で、一方の親が取得権を他方に譲渡することは基本的にできません。「父親分」「母親分」が独立して設定されることで、実質的に父親の育児参加を制度として促す設計になっています。

シングルペアレントの場合は両親分を合算して取得できるほか、妊婦には別途約1か月の有給出産休暇が設けられています。この改革を主導した当時の首相サンナ・マリン氏は34歳で就任した若い女性リーダーであり、制度改革と同時に「政治における代表性」の象徴的な存在ともなりました。フィンランドの取り組みはその後、ヨーロッパ各国の育児休暇制度見直しの参照例として機能しています。

クオータ制と議会・役員会への女性参画

意思決定の場に女性が少ない状態は、政策や企業戦略における「見えないバイアス」につながります。この構造的な問題に対し、100を超える国・地域がクオータ制(割当制)を導入しています。

先駆けはノルウェーです。1978年に公的機関への男女比率規定を法制化し、2003年には上場企業の取締役会に女性を40%以上含めることを義務づけました。ドイツでは、女性に割り当てられたポストが空席になった場合に男性で埋めることを認めず、空席のままにするという厳格な運用を採用しています。

EU全体でも、2022年に大企業の取締役会における女性比率を40%以上とすることを義務づける指令(「Women on Boards指令」)が採択されました。加盟国は2024年末までの国内法化を求められており、企業ガバナンスにおけるジェンダー平等は法的義務として定着しつつあります。

クオータ制に対しては「能力より性別を優先する」という批判も根強くありますが、ノルウェーの研究では、クオータ制導入後の企業パフォーマンスに大きな低下は見られなかったことも報告されています。数が増えることで「ロールモデル効果」が生まれ、次世代の参入障壁が下がるという視点も重要です。

育児インフラの整備|男性トイレのおむつ台から始まった変化

「育児は女性が担うべき」という無意識の前提は、物理的な環境にも反映されています。その象徴が、長年にわたって女性トイレにしか設置されてこなかったおむつ交換台です。

アメリカ・ニューヨーク州は2019年、新築または改修される映画館・レストラン・公園などの公共建物の男性トイレにも、おむつ交換台を最低1台設置することを義務づける法律を施行しました。この施策は「父親が子どもを連れて外出できる環境」という物理的条件を整えることで、育児参加の障壁を下げる効果を持ちます。

日本でも、国土交通省が策定する「バリアフリー法に基づく基本方針」の改定議論の中で、多機能トイレの男女共用化や男性トイレへのおむつ台設置が検討されてきています。インフラの設計そのものが、社会のジェンダー観を映し出す鏡であるともいえます。

教育と起業支援|途上国・新興国での取り組み

ジェンダー問題は先進国だけの課題ではありません。伝統的な慣習が強く残る地域では、施設面・経済面・文化面が複合的に絡み合い、女性の機会を制限しています。

教育環境の底上げ

モザンビークでは、中等教育の就学率が低い地域で女子トイレを含む衛生設備の整備が進められてきました。月経衛生管理(MHM)に必要な施設が不十分なことで、思春期の女子生徒が学校に通い続けられなくなるケースは、サブサハラアフリカ全体で広く確認されています。施設の整備は「教育へのアクセス」を保障する最低限のインフラです。

ASEAN地域では、女性の工学系教員の育成を支援する「ASEAN工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net)」が機能しています。理工系分野における女性の少なさは世界共通の課題であり、教員・研究者という「ロールモデル」を増やすことが学生の進路選択にも影響します。

女性起業家への資金アクセス

エチオピアをはじめとするアフリカ諸国では、金融機関が零細企業、特に女性起業家への融資に消極的な状況が続いてきました。担保となる資産を持ちにくい女性が、リスク評価の高さから融資を断られる構造は「ジェンダー化された金融排除」とも呼ばれます。世界銀行や国際金融公社(IFC)は、こうした地域での女性向けマイクロファイナンスや保証制度の整備を支援しており、女性が事業を通じて経済的自立を達成できる環境づくりに取り組んでいます。

日本の現状と制度的な取り組み

日本のジェンダー問題への取り組みを語るうえで、2016年に施行された「女性活躍推進法」は外せない柱の一つです。女性の積極的な採用・登用、雇用形態の転換促進、そして職場環境整備のための行動計画策定を企業に義務づけました。

2022年4月の法改正では、義務対象が「常時雇用301人以上」から「101人以上」の事業主へと拡大されました。さらに同年7月からは、常時雇用301人以上の企業に対して「男女の賃金格差」の公表が義務化されています。厚生労働省のデータによれば、2023年時点での民間企業の女性管理職比率は約12.7%にとどまっており、政府目標である30%には依然として大きな隔たりがある状況です。

育児・介護休業法の改正も続いており、2022年10月には「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が施行されました。子の出生後8週間以内に父親が最大4週間取得できる制度で、従来の育児休業とは別に設けられています。男性の育児休業取得率は2023年度で30.1%(厚生労働省調査)に達し、前年の17.13%から大幅に上昇しましたが、取得期間が2週間未満にとどまるケースも多く、「取得率」だけでなく「実質的な関与」を高める課題が残ります。

こうした制度面の整備と並行して、内閣府は「女性デジタル人材育成プラン」(2022年策定)を通じて、デジタル分野でのスキル習得支援も進めています。経済的自立につながる職種への参入障壁を下げる取り組みは、賃金格差の縮小にも直結します。

ジェンダー問題に関する政策の全体像や、社会課題との接続については、以下の記事でも詳しく取り上げています。

企業が今できること|制度から文化へ

法律や制度は最低ラインを定めるものですが、実質的な変化は職場文化の変容によってもたらされます。管理職向けのアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)研修、育児休業取得を評価に影響させない人事設計、女性従業員のメンタリングプログラムなど、先進企業が実践している取り組みは多岐にわたります。

国内では、厚生労働省の「えるぼし認定」「プラチナえるぼし認定」が女性活躍推進に積極的な企業を認定する制度として機能しており、採用や調達の場面での差別化にもつながっています。認定取得を目指すプロセスが、社内の実態把握と改善サイクルの構築を促す効果もあります。

また、サプライチェーン全体でのジェンダー平等を重視する動きも広がっています。ESG投資の観点から、取引先を含む「S(社会)」指標の開示を求める機関投資家が増えており、企業がジェンダー平等を「社会貢献」ではなく「経営リスク管理」として捉える視点が求められています。

私たちができること|日常から始める具体的な行動

制度が整っても、日常の意識と行動が変わらなければジェンダー平等は実現しません。「女性だから」「男性だから」という前提で相手に接していないか、自分の言動を振り返ることが出発点です。

特に影響が大きいのは教育現場や家庭内での発言です。「女の子だから理系は難しい」「男の子だから泣かない」といった言葉は、子どもの進路や自己認識に長年にわたる影響を与えます。無意識のバイアスに気づくことは、知識として学ぶだけでなく、日々の選択と言葉を少しずつ変えていくプロセスです。

ジェンダー問題に取り組む団体への支援という選択肢もあります。国際NGOプラン・インターナショナルは開発途上国の女子教育支援や女性の権利擁護に取り組んでおり、認定NPO法人国連ウィメン日本協会はUN Womenの活動を日本国内で支援しています。NPO法人ジェンダーイコールは国内での啓発・政策提言を続けています。継続寄付という形で活動を支えることも、一つの具体的な行動です。

まとめ|制度・文化・個人の変化が重なる場所に前進がある

ジェンダー問題は、一つの法律や一つの企業の施策で解決できるものではありません。国レベルの制度設計、企業文化の変容、そして個人の意識と行動——これら三つの層が重なって初めて、持続的な変化が生まれます。

アイスランドの賃金認証制度、フィンランドの育児休暇改革、EUのWomen on Boards指令、日本の産後パパ育休制度。いずれも「問題を見える化し、制度で動かす」という発想から生まれた仕組みです。完璧ではなくても、動き続けることで社会は変わり得ます。

今日できることから、一つ始めてみてください。

  • ジェンダーギャップ指数2024で日本は146か国中118位。経済・政治分野の低さが課題
  • アイスランドは「同一賃金の証明」を企業に義務化し、未証明には罰金を科す仕組みを世界で初めて実施
  • フィンランドは2021年に両親それぞれ約7か月の有給育児休暇制度を導入。父親の取得を制度的に促す設計
  • 日本では女性活躍推進法改正で義務対象が拡大、産後パパ育休の新設など制度整備が進む
  • 男性育休取得率は2023年度に30.1%へ上昇したが、取得期間の短さという質的課題が残る
  • 日常の言葉や行動のなかにあるバイアスに気づくことが、個人レベルの出発点

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