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SOCIETY

公正な移行とは?誰でもわかりやすくかんたん解説

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脱炭素社会への移行は、地球環境を守るために必要不可欠です。ただし、この大きな変化は企業や労働者、地域に大きな影響をもたらします。石炭火力発電所で働く人々の雇用がなくなったり、化石燃料産業が縮小したりするなど、取り残される人々が出ないよう配慮すること、それが「公正な移行」という考え方です。この記事では、公正な移行が何を意味し、なぜ重要なのか、具体例を交えてわかりやすく解説します。

公正な移行とはどういう意味か

「公正な移行」とは、脱炭素化の取組を行う際に、コミュニティや労働者といった影響を受ける人々の人権に配慮することを指します。言い換えれば、誰一人取り残さないかたちでの脱炭素社会への移行を目指すものです。環境省が発表した資料では、パリ協定の前文に「自国が定める開発の優先順位に基づく労働力の公正な移動(移行)並びに適切な仕事(ディーセント・ワーク:働きがいのある人間らしい仕事)及び質の高い雇用の創出が必要不可欠である」と書かれている
など、国際的に重要な概念として認識されています。

脱炭素化の過程で何が問題になるのか

脱炭素社会への移行時に生じる影響は、世界全体に均一に起こるのではなく、脆弱な地域・集団により大きな影響が生じます。具体例を見てみましょう。
国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、化石燃料関連産業では500万人が雇用を失う一方で、再生可能エネルギー発電・電力系統では1400万人の雇用が創出されるとされています。一見すると新しい雇用が増えているように見えますが、石炭採掘地域に住む労働者が急に職を失い、再生可能エネルギー産業が別の地域に拠点を持つ場合、その地域の経済は大きなダメージを受けることになります。

また、再生可能エネルギー事業やカーボンクレジットの発行に際して、その事業が先住民族の土地で行われる場合、その土地を奪わないようにする配慮が必要
という課題もあります。つまり、環境問題を解決する過程で、新しい人権侵害が生まれる可能性があるのです。

国際的な広がりと日本の現状

「公正な移行」の起源は1970年代の米国での労働運動にさかのぼり、2009年には国際労働組合総連合(ITUC)が気候変動対策に公正な移行の考え方を導入するよう提唱しました。その後、国際労働機関(ILO)は「公正な移行」指針を策定し、七つの原則を掲げています。

日本でも、2024年に出された第六次環境基本計画の中で、環境、経済、社会の統合的向上実践の場としての地域づくり、地域循環共生圏で「公正な移行」が掲げられています。ただし、具体的な政策実行はこれからの課題とされています。

企業と個人に求められることは

企業が公正な移行に向けた取組を考えることは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」で求められている人権デュー・ディリジェンスのプロセスと合致します。これは、企業がビジネスのサプライチェーンやバリューチェーンにおける人権への負の影響を特定・評価し、必要に応じて予防・軽減、また人権侵害に対する是正措置を講じ、そのインパクトも含め、一連の取組情報を開示することを求めるもの
です。

加えて、気候正義を求める世界の市民社会は、エネルギー産業などの高炭素産業の労働力の移行だけでなく、経済と社会全体の脱炭素化が必要であり、その移行に際し、現在の経済システムが生み出しているのと同じ人権・環境問題が起きないようにする必要があると指摘しています。また、ケア労働が軽視されている社会を見直し、雇用の移行・創出がジェンダー平等を実現する機会となるべきとも主張されています。

私たちにできることは

公正な移行は政府や企業だけの課題ではありません。私たちは脱炭素化の重要性を理解する一方で、その過程で誰かが不利益を被っていないか、目を向けることが大切です。また、企業や政府に対して、公正な移行を考慮した政策決定や製品開発を求める声を上げることも、市民にできる役割といえます。脱炭素と社会的公正の両立を実現することで、はじめて持続可能な社会が構築されるのです。

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