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スローファッションとは?日本の企業事例と今日から始める選び方

スローファッションとは?暮らしに取り入れて人や環境に優しい世界を目指そう!

クローゼットを開けたとき、「一度も着ていない服」がどれくらいありますか。安さや流行に押されて服を買い、飽きたら手放すという習慣は、私たちの暮らしにすっかり定着しました。その一方で、作られては捨てられていく服の量は世界的な課題になっています。スローファッションは、この流れを見直すための一つの選び方です。この記事では、スローファッションの考え方を整理したうえで、日本の衣服廃棄の実態、国内外の企業の取り組み、そして今日から実践できる選び方まで、具体的に紹介します。

スローファッションとは|ファストファッションとの違いをまず整理

スローファッションとは、自分にとって本当に必要な服だけを選び、長く大切に着るという考え方を指す言葉です。素材や作り手の背景を確認し、着られなくなった後の行き先まで意識して服を選ぶ姿勢が含まれます。対義語として使われるのがファストファッションで、こちらは流行を素早く取り入れ、低価格・短サイクルで大量の服を供給する仕組みを指します。

両者の違いは「悪い服」と「良い服」の対立ではありません。ファストファッションのおかげで、多くの人が手頃な価格でトレンドを楽しめるようになったことも事実です。違いが表れるのは、購入から手放すまでのサイクルの速さと、その過程でどれだけの人・資源が関わっているかという点です。スローファッションは、購入する枚数を減らし、一着あたりの使用期間を延ばすことで、生産量そのものを抑えようとする発想に基づいています。

スローファッションが求められる背景|環境・労働・大量廃棄の三重苦

服は原材料の栽培・紡績・縫製・輸送・販売という長い工程を経て私たちの手元に届きます。それぞれの工程で水やエネルギーが使われ、化学繊維の場合は製造段階で石油由来の原料も必要です。大量生産・大量消費のサイクルが加速すると、廃棄段階でも焼却や埋め立てにともなう環境負荷が発生します。

環境負荷だけでなく、労働・人権の問題も深く関わっています。2013年4月、バングラデシュの首都近郊で発生した「ラナ・プラザ崩壊事故」は、縫製工場が入る違法増築ビルが崩壊し、1,100人以上が犠牲になった痛ましい出来事でした。低賃金かつ危険な環境で働かされていた労働者の存在が事故によって国際的に知られることとなり、この事故をきっかけに「誰が私の服を作ったのか」を問う「Fashion Revolution」という国際的な運動が始まったとされています。同団体は現在も毎年4月にファッション業界の透明性を呼びかけるキャンペーンを続けています。

もう一つ見過ごせないのが大量廃棄の問題です。短サイクルで生産された服は、消費者に「安いから」「流行遅れだから」という理由で短期間で手放されやすく、廃棄と再生産のサイクルが繰り返されています。環境・労働・廃棄という3つの課題が絡み合っている以上、消費者一人ひとりの選び方を変えることが、業界全体を動かす力になり得ます。

数字で見る日本の衣服廃棄|環境省データが示す「服のライフサイクル」

環境省はサステナブルファッションに関する特設ページで、国内の衣服の供給・消費・廃棄の実態を公表しています。それによると、国内で1年間に新たに供給される衣服のうち、多くが着用されないまま手放されており、手放された衣服の相当数がリユースやリサイクルに回されず、焼却や埋め立てによって処分されていると報告されています。また、家庭で1年以上着られていない服を保有している人も多いとされ、購入した服が十分に活用されないまま眠っている実態がうかがえます。

同省の資料では、手持ちの服を1着でも長く着続けることが廃棄削減につながるとも説明されています。買う枚数を減らすことに加えて、すでに持っている服を手入れしながら着続ける期間を延ばすことも、家庭でできる取り組みとして位置づけられています。数字の細部は調査年によって変動するため、最新の状況は環境省の特設ページで確認することをおすすめします。

世界と日本で進む規制の動き|フランスの新法とEUのルール

消費者の選択だけでなく、制度面からファッション産業の在り方を変えようとする動きも各国で進んでいます。フランスでは2024年3月、環境負荷の大きい「ウルトラファストファッション」を対象に、広告規制や環境負荷に応じた課徴金を盛り込んだ法案が下院で可決されたと報じられました。低価格・大量供給型のオンラインアパレル企業を念頭に置いた規制として注目されています。

EUでも、循環経済への移行を目指す政策の一環として、繊維製品の耐久性や修理のしやすさ、売れ残り品の廃棄制限などに関するルール整備が進められているとされています。日本国内では欧州のような罰則を伴う規制はまだ整っていませんが、経済産業省や環境省がアパレル各社に対し、資源循環に配慮した事業運営を促す取り組みを続けています。海外の規制動向は、今後の日本の政策や企業行動にも影響を与える可能性があるため、消費者としても押さえておきたい情報です。

国内外の企業に見るスローファッションの実践事例

スローファッションの考え方は、消費者の選び方だけでなく企業側の取り組みとしても広がっています。ここでは、資源循環や長く使うことを軸にした代表的な事例を紹介します。

ユニクロ(ファーストリテイリング)のRE.UNIQLO

ファーストリテイリングは店舗で不要になった服の回収を続けており、回収した服を難民支援などの物資として届けるほか、ダウン製品の一部を新たな製品の原料として再利用する取り組みを進めているとされています。ファストファッション企業自身が回収・再生の仕組みを持つことは、大量生産型のビジネスモデルに循環の視点を組み込む試みとして位置づけられます。

良品計画(無印良品)のReMUJI

良品計画は、回収した衣料品を染め直しや補修によって再生し、一部店舗で販売する取り組みを行っているとされています。廃棄するのではなく手を加えて再び商品として流通させる発想は、スローファッションが大切にする「長く使う」姿勢と重なります。

日本環境設計のBRINGプロジェクト

日本環境設計は、全国の提携店舗で回収した衣料品からポリエステル素材を化学的に分解し、新たな繊維として再生する技術を軸にした「BRING」プロジェクトを展開しています。素材レベルでの再生を可能にすることで、これまで焼却や埋め立てに回っていた衣料品の一部を新たな服の原料へと戻す試みです。

パタゴニアのWorn Wear

海外の事例では、パタゴニアが展開する「Worn Wear」が知られています。自社製品の修理サービスや、使用済み製品の買い取り・再販売を通じて、製品の寿命を延ばすことを事業として組み込んでいるのが特徴です。修理を前提とした製品設計と、消費者が手放した後の受け皿を用意する仕組みは、日本のアパレル企業にとっても参考になる取り組みといえるでしょう。

フェアトレードの考え方も、スローファッションと深く結びついています。生産者に適正な対価を支払う仕組みについて詳しく知りたい方は、あわせて読んでみてください。

今日からできるスローファッションの選び方|5つの実践ポイント

企業の取り組みを知るだけでなく、私たち自身の選び方を変えることがスローファッションの出発点です。ここでは、今日から意識できる5つのポイントを紹介します。

量ではなく質で選ぶ

大量生産された服よりも、自然素材を使い丁寧に縫製された服は、価格が高い分だけ耐久性に優れている傾向があります。ここで一つ、購入判断の目安として「1回あたりの着用コスト」で考える方法を紹介します。仮に5,000円のファストファッション向けの服を10回着て手放した場合、1回あたりのコストは500円です。一方、15,000円の質の良い服を100回着られたとすると、1回あたりのコストは150円まで下がります。価格の高さだけで判断せず、何回着られそうかを合わせて考えると、質を重視する選び方が結果的に経済的になる場合が見えてきます。購入前にこの計算を一度してみることをおすすめします。

素材の背景を確認する

オーガニックコットンやリネンなど、栽培段階で農薬や化学肥料の使用を抑えた素材は、土壌や水質への負荷が比較的小さいと考えられています。タグや商品説明に素材の情報が記載されている場合は、購入前に確認する習慣をつけましょう。

似合うかどうかで判断する

「安いから」「流行っているから」という理由での購入は、飽きたときに手放すハードルを下げてしまいます。試着した際に「本当に自分に似合っているか」を基準にすると、長く着続けたいと思える服に出会いやすくなります。

着回しやすさを考える

どれだけ質が良く似合う服でも、手持ちの他のアイテムと組み合わせにくいと着る頻度が下がってしまいます。購入前に、すでに持っている服と何通りか組み合わせを想像してみることで、クローゼットで眠らせてしまうリスクを減らせます。

手入れをして寿命を延ばす

洗濯表示に沿った洗い方をする、毛玉ができたら早めに処理する、シーズンオフは適切な方法で保管するといった日々の手入れも、服の寿命を左右します。修理やお直しを引き受ける店舗やサービスを事前に把握しておくと、傷んだ服を手放す前の選択肢が増えます。

手放す服の選択肢|捨てる前に検討したい3つの方法

どれだけ大切に着ても、いずれ手放す時期は訪れます。可燃ゴミとして出す前に、次の3つの選択肢を検討してみましょう。

フリマアプリ・古着店での譲渡

状態の良い服であれば、フリマアプリや買い取り専門の古着店を利用することで、次の使い手に渡すことができます。自分にとって不要になっても、別の誰かにとって必要な一着になる可能性があります。

店舗の回収ボックスの活用

前述のRE.UNIQLOやBRINGのように、店舗に回収ボックスを設置している企業も増えています。回収後の使い道は企業によって異なるため、気になる場合は店舗やウェブサイトで確認してから利用するとよいでしょう。

自治体の資源回収に出す

自治体によっては、古布・古着を資源として分別回収している地域もあります。可燃ゴミとして焼却するのではなく、資源として回収するルートがあるかどうかを、お住まいの自治体のホームページで確認してみてください。

服を選ぶ基準や手放し方を見直すことは、日々の消費行動全体を見直すきっかけにもなります。エシカルな消費について幅広く知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

まとめ

技術の発展によって、私たちは一定の品質を保った服を安く手に入れられるようになりました。その一方で、大量生産・大量消費・大量廃棄という新たな課題も生まれています。スローファッションは、この流れを一気に変える魔法の解決策ではありませんが、一人ひとりの選び方の積み重ねが、環境負荷の軽減や労働者の権利を守ることにつながっていきます。すべての服を高価なものに買い替える必要はありません。まずは次に服を買うときに、価格や流行だけでなく「何回着られそうか」を一つだけ考えてみてください。

  • スローファッションは必要な服だけを選び長く着る考え方で、環境負荷や労働問題の軽減につながる
  • 環境省の資料では、手放された衣服の多くが十分に再利用されず焼却・埋め立てされている実態が報告されている
  • ユニクロやMUJI、日本環境設計などが衣服の回収・再生の仕組みを広げている
  • 購入時は「質」「似合うか」「着回せるか」を基準にし、手放す際はフリマアプリや回収ボックスも検討する

参考文献

  • 環境省「サステナブルファッション」特設サイト(https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)
  • 消費者庁「エシカル消費」特設サイト(https://www.ethical.caa.go.jp/)
  • Fashion Revolution「About Fashion Revolution」(https://www.fashionrevolution.org/about/)

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。掲載データは調査時点のものであり、最新情報は各出典元でご確認ください。

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鹿児島県在住のフリーライター。コーヒーをきっかけにSDGsを知り、興味をもつように。普段は、ライフスタイルやSDGsに関する記事を執筆しています。

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