公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
SDGs

アフリカのインターネット普及率は今どれくらい?SDGs目標9との関係や最新動向を解説

アフリカのインターネット普及率は、ITU(国際電気通信連合)の推計で3割台後半にとどまっています。2025年に公表されたITUの報告では、世界の人口の74%がインターネットを利用する一方、アフリカは36%で、ITUが区分する地域のなかで最も低い水準です。この差は、スマートフォンの有無という便利さの問題にとどまりません。学ぶ機会、医療情報、仕事、お金の手続きに届くかどうかが、オンラインかオフラインかで分かれつつあります。この記事では、アフリカのインターネット普及率の最新の数字、SDGs目標9との関係、2025年に完成した海底ケーブル「2Africa」などの動き、そして日本の私たちがどう関われるかを整理します。

この記事で学べること

  • アフリカのインターネット普及率が2024〜2025年の最新データでどの水準か
  • SDGs目標9のターゲット9.cが何を求め、現在どこまで届いているか
  • 「電波が届く」と「実際に使える」が違う理由
  • 2Africaの完成やTICAD9など、日本から見える最新の動き
  • デジタル格差のニュースを読むときの見方と、支援先を選ぶ判断基準

アフリカのインターネット普及率は36〜38%|最新データの読み方

2024年は38%、2025年の報告では36%

ITUが2025年4月に公表した報告では、2024年にインターネットを利用したアフリカの人口は38%で、世界平均の68%を約30ポイント下回りました。同年11月に出た「Measuring digital development: Facts and Figures 2025」では、世界の利用率は74%(約60億人)、アフリカは36%と報じられています。

ここで注意したいのは、数字が前の年より下がったように見える点です。これは実際に利用者が減ったことを示すものではありません。同じ2024年の世界平均が、版によって68%と71%で異なるように、ITUは推計を更新しながら数値を公表しています。ですから、異なる報告書の数字を単純に並べて増減を語るのは避けたほうが安全です。確かなのは、どの版でも「アフリカが最も低い地域」という位置づけは変わらないことです。

都市部57%に対して農村部は23%

もう一つ見落としたくないのが、アフリカの内部での差です。2024年のデータでは、都市部のインターネット利用率が57%、農村部が23%でした。この都市と農村の差は、ITUが調査する地域のなかで最も大きいとされています。つまり「アフリカは38%」という平均の裏には、都市では半数を超える人が使い、農村では4人に1人にも届かないという二重の構造があります。

低所得国の農村部に限ると、さらに厳しくなります。ITUの2025年の報告をまとめた報道によれば、低所得国の農村部で利用している人は14%です。世界の都市部で85%が利用していることと比べると、同じ時代を生きていても、置かれた環境によって入口の広さがまったく違うことが分かります。

通信の世代と契約の広がり

通信の世代でみると、2024年時点でアフリカの約7割が4Gの圏内にあり、約86%が3G以上の圏内にいるとされています。5Gは約11%で、大都市の一部が中心です。モバイルブロードバンドの契約率は2015年の20%から2023年には52%へ上がっており、広がりそのものは着実です。一方で固定ブロードバンドの契約は、人口100人あたり1件に満たない水準で、世界平均の18件とは大きく離れています。

SDGs目標9とターゲット9.cの現在地

目標9が求めているインターネットの条件

SDGs目標9は「産業と技術革新の基盤をつくろう」を掲げ、強靱なインフラ、包摂的な産業化、イノベーションの促進を求めています。インターネットに直接かかわるのは、その下にあるターゲット9.cです。9.cは、情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、後発開発途上国において、普遍的で安価なインターネットアクセスを提供できるようにすることを定めています。

なお、9.a〜9.cをまとめて「インターネットを整える目標」と説明されることがありますが、正確には、9.aは途上国のインフラ整備への支援、9.bは国内の技術開発と産業の多角化、9.cがICTとインターネットへのアクセスです。通信の話をするときに照らし合わせるのは、主に9.cになります。

9.cの期限はすでに過ぎている

見落とされがちなのは、9.cの当初の達成期限が2020年だったことです。2026年の今、その期限を過ぎてもなお、世界の約22億人がオフラインのままです。ITUの報告では、オフラインの人の大半は低・中所得国に暮らしているとされています。

ITUの統計では、モバイルブロードバンドの圏外に取り残される人の割合は、後発開発途上国で約15%と報告されています。残された課題は、電波が届くかどうかだけでなく、届いたあとに使えるかどうかへ移っています。

目標9は他の目標とつながっている

インターネットは、それ自体が目的というより、他の目標を動かす基盤です。オンライン授業は目標4(質の高い教育)、遠隔診療は目標3(健康と福祉)、モバイル決済は目標1(貧困)や目標8(働きがい)に結びつきます。アフリカの普及率が低いまま残ることは、目標9だけの遅れではなく、複数の目標の進み方に影響する、というのがこの数字の重みです。

「電波は届いているのに使えない」|カバレッジと利用の違い

4Gの圏内は約7割、使っているのは約4割

先ほどの数字をもう一度並べてみます。4Gの圏内にいる人は約7割、一方で実際にインターネットを使った人は38%でした。圏内にいながら使っていない人が、およそ3割いる計算になります。この「カバレッジギャップ」ではなく「利用ギャップ」こそ、現在のアフリカで見えやすくなってきた課題です。移動体通信事業者の業界団体GSMAも、サブサハラ・アフリカは世界でモバイルインターネットの利用率が最も低い地域だと指摘しています。

利用を妨げる三つの壁

利用を妨げる主な要因は、次の三つに整理できます。

料金の負担

ITUによれば、アフリカでは、モバイルブロードバンドの料金が1人あたり国民総所得(GNI)の4.2%を占めています。国連のブロードバンド委員会などが目安とする2%の、約2倍にあたります。低所得国の多くでは、5GBのモバイルデータの利用料が月収の10%を超えるとも報告されています。

端末と電力

スマートフォンがあっても、充電できなければ使えません。ITUは、電力インフラの強化を接続を広げるうえでの前提条件の一つに挙げています。日本では当たり前のコンセントや安定した電力が、農村部ではまだ整っていない地域があることは、通信の話と切り離せません。

スキルと関連性のあるコンテンツ

画面の操作に慣れていない、自分の言語で読めるサイトやサービスが少ない、といった壁もあります。ITUは、男女の格差が最も大きい地域としてアフリカと南アジアを挙げており、女性が使いこなす機会の少なさも、普及率を押し下げる一因とされています。

「アフリカでもスマホは普及している」という見方の落とし穴

街の写真や、スマートフォンを手にする若者の映像から、アフリカ全体で普及が進んでいるという印象を持つ人は少なくありません。それは間違いではなく、都市部では実際に利用が広がっています。ただ、その印象が「平均の姿」と受け取られると、農村部や低所得層の現実が見えなくなります。数字を読むときは、国、都市と農村、男女、所得といった切り口で分けて見ることが、誤解を避ける近道です。

2Africaの完成とリープフロッグ|変わるもの、変わらないもの

2025年11月に完成した海底ケーブル

2025年11月、Metaと通信事業者などのコンソーシアムは、海底ケーブル「2Africa」の主要部分の完成を発表しました。参加するのは、MTNグループ傘下のBayobab、Orange、Telecom Egypt、Vodafoneグループ、WIOCCなどです。全長は約45,000km(2026年に稼働予定の延伸区間「Pearls」を含む)で、アフリカ、欧州、アジアの33カ国をつなぎ、30億人以上に届くとされています。敷設を手がけたのはAlcatel Submarine Networksで、主要区間の設計容量は最大180Tbpsと発表されています。

海底ケーブルが増えると、国際回線の容量に余裕が生まれ、通信の遅延や途絶に強くなります。事業者間の競争が働けば、通信料が下がる方向に作用する可能性もあります。ただし、料金が実際に下がるかどうかは、各国の規制や国内の回線網の整備、事業者の価格設定によります。

ケーブルだけでは農村に届かない

ここで押さえておきたいのは、海底ケーブルが解決するのは主に「国の入口」の太さだということです。利用者の手元に届くまでには、陸上の光ファイバー、基地局、電力、端末、料金という、いくつもの段階があります。2Africaのような大型インフラは、この全体のうちの一部を強くするもので、農村部の23%という数字をそのまま押し上げる魔法ではありません。

固定回線を飛ばして、スマホから始まった国々

アフリカの特徴として語られるのが「リープフロッグ(かえる跳び)」です。固定電話や固定回線を十分に整える前に、モバイル通信が普及したため、携帯電話から金融や行政などのサービスが広がりました。ケニアのモバイル送金「M-Pesa」は、銀行口座を持たない人が携帯電話で送金や支払いを行える仕組みとして知られています。固定ブロードバンドの契約が人口100人あたり1件未満にとどまることは、この発展経路の裏返しでもあります。

日本との接点|TICAD9と通信インフラ

2025年8月のTICAD9で何が話し合われたか

2025年8月20〜22日、横浜で第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が開催され、アフリカ49カ国の首脳・閣僚らが参加して「TICAD9横浜宣言」が採択されました。日本政府はアフリカ向けの重点分野として、投資の促進、民間資金の動員、AI・DXの活用を含む産業協力、アフリカ域内外のつながり(コネクティビティ)の強化、保健、人材育成などを示しています。

会期中の8月20日には、総務省がテーマ別イベント「デジタルインパクトinアフリカ―通信インフラ普及の重要性と方策―」を開催しました。アフリカに事業展開する日本企業の関係者、アフリカ側の政府関係者などが参加し、地域のニーズに合った通信インフラの整え方や、デジタルサービスの重要性が議論されました。

企業はどう関わっているか

日本企業の関わり方は、通信インフラそのものから、その上で動くサービスまで広がっています。たとえばNECは2008年からTICADに継続して参加しており、TICAD9ではセキュリティやデジタル農業などの分野で、アフリカの社会課題に向けたソリューションを紹介したと発表しています。国際協力機構(JICA)も、TICAD9の期間中にアフリカ各国の首脳・閣僚と会談し、今後の協力方針を意見交換しました。

一つの企業の取り組みだけで普及率が変わるわけではありません。ただ、通信網をつくる、サービスを開発する、人材を育てる、制度づくりを支えるといった役割を、政府、JICA、民間が分担する構図が見えてきています。

日本の私たちから見える「距離」

日本では、インターネットの利用はすでに生活の前提になっています。その環境を前提に生きていると、オフラインの人が世界に22億人いることは、実感しにくい数字です。一方で日本でも、高齢者や離島、山間部で情報へのアクセスに差が出ることがあります。アフリカの課題を「遠い国の話」としてではなく、アクセスの格差という共通の問題として見ると、自分の暮らしとのつながりが少し見えやすくなります。

デジタル格差のニュースの読み方と、支援先を選ぶ視点

数字を見るときの三つの確認

アフリカのインターネットに関するニュースを見たとき、次の三点を確かめると、受け取る印象が変わります。

どの指標か

「インターネット利用率」「4Gの人口カバー率」「モバイル契約数」は、まったく別の指標です。契約数は一人が複数のSIMを持つと実際の利用者より多く見えることがあり、利用率やカバー率と同じ土俵では比較できません。

平均か、内訳か

アフリカ全体の平均か、国別か、都市と農村か。平均だけでは、先ほどの57%と23%のような差が隠れます。

いつの調査か

ITUのように、版ごとに推計を更新する統計では、年が違う数字の単純比較は避けます。出典の発行年と対象年を、セットで確認するのが基本です。

寄付や支援の先を選ぶ判断基準

デジタル格差の解消に向けて寄付や支援を考えるときは、団体が「何の壁」に取り組んでいるかを見ると、選びやすくなります。通信網の整備だけでなく、電力、端末の提供、デジタルスキルの教育、女性や農村の人々への支援など、取り組む対象は団体によって異なります。活動報告で、支援の対象地域、成果の測り方、使途が公開されているかを確認すると、納得して選べます。

今日からできる小さな行動

大きな行動をしなくても、できることはあります。ITUの統計ページで、自分が関心のある国の数字を一つだけ見てみる。JICAや外務省のTICAD9の資料を読んでみる。知ったことを身近な人に話してみる。こうした行動は、アクセス格差を「自分ごと」として考える最初の一歩になります。

まとめ

アフリカのインターネット普及率は、ITUの推計で2024年に38%、2025年の報告で36%と、世界で最も低い水準です。世界平均との差は30〜38ポイントあり、都市部と農村部の格差も世界で最大とされています。SDGsのターゲット9.cが掲げた「後発開発途上国での普遍的で安価なインターネットアクセス」は、2020年の期限を過ぎても達成されていません。

一方で、2Africaの完成やTICAD9での議論など、通信インフラを整える動きは確実に進んでいます。ただし、4Gの圏内にいる人が約7割いるのに、利用者は約4割にとどまっていることからも分かるように、課題は電波が届くかどうかから、料金、電力、端末、スキルへと広がっています。数字を見るときは、指標の種類、内訳、調査年をそろえて読むことが、誤解を避ける鍵です。

SDGsの2030年まで、残りは4年足らずです。まず、ITUの統計ページで関心のある国の数字を一つ見てみることから始めてみてください。

  • アフリカのインターネット利用率は2024年に38%、2025年の報告では36%で、世界の地域のなかで最も低い
  • 都市部57%に対して農村部23%と、地域内の格差は世界最大とされる
  • ターゲット9.cの期限は2020年で、現在は「電波が届く」から「使える」への課題に移っている
  • 2Africaの完成やTICAD9は前進だが、料金・電力・スキルの壁は残る
  • 数字は指標・内訳・調査年を確かめて読み、支援先は「どの壁に取り組むか」で選ぶ

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
MIRASUS

MIRASUS編集部。地球と人に優しい未来をつくるサステナビリティな事例をご紹介。誰にでもわかりやすくSDGsに関する情報は発信していきます。

  1. 廃棄予定の複合機を再び使う|TMTユニバーサル「コピーキ革命」のレンタルを紹介

  2. 創業120周年を迎えたあらしおの歴史|駿河の塩づくりから平釜塩の復活まで

  3. 使い終わったノートの約4割が燃やすごみに。コクヨが小学校とオフィスで回す資源循環の輪

RELATED

PAGE TOP