「グリーン経済」という言葉をニュースで見かけることが増えました。環境問題と経済成長は相反するものだと思っている方も多いかもしれませんが、実はこの両者を両立させようという考え方が、グリーン経済の核にあります。この記事では、グリーン経済とは何か、どのような特徴があるのか、そして私たちの生活とどう関わっているのかをわかりやすく解説します。
グリーン経済の定義|環境問題に対応する経済のあり方
国連環境計画(UNEP)の報告書では、「グリーン経済」を、環境問題に伴うリスクと生態系の損失を軽減しながら、人間の生活の質を改善し社会の不平等を解消するための経済のあり方であると定義しています。簡潔に言えば、環境に優しい経済活動を通じて、経済成長と環境保全の両立を目指す考え方です。
「グリーン経済」では、環境の質を向上して人々が健康で文化的な生活を送れるようにするとともに、経済成長を達成し、環境や社会問題に対処するための投資を促進することを目指しています。つまり、環境を破壊しながら経済を成長させるのではなく、環境保全と経済発展を車の両輪として進めていく、という新しい視点なのです。
グリーン経済と「グリーン成長」の違い
グリーン経済と似た言葉に「グリーン成長」があります。
OECDの報告書において、グリーン成長(Green Growth)とは、経済的な成長を実現しながら私たちの暮らしを支えている自然資源と自然環境の恵みを受け続けることであると考えられています。
両者の関係は、「グリーン経済」と「グリーン成長」は同じ意味を持ちますが、「グリーン成長」は経済的成長を目指しながら、人々の生活に必要不可欠な自然の恵みを受け続けていくことを指しています。国連環境計画が強調する「グリーン経済」と経済協力開発機構(OECD)が主張する「グリーン成長」は、実質的には同じ目標に向かう考え方と言えます。
グリーン経済の特徴|環境と経済の統合
グリーン経済の特徴としては、(1)環境と経済の統合、(2)健全な生態系と環境を現在と将来の世代へ継承、(3)エネルギー・資源集約度削減、汚染削減、再生可能エネルギー・自然資源などのグリーン投資分野への重点的投資を通じ、環境保全と同時に雇用確保と経済発展を図ること、などがあげられます。
言い換えれば、グリーン経済では単に環境問題に対応するのではなく、それを新しい雇用や産業創出の機会として捉えています。太陽光発電などの再生可能エネルギー関連産業や、環境技術の開発といった分野で、新たな仕事が生まれるということです。
グリーン経済の実現に向けた国際的な取り組み
2012年にリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)では、「持続可能な発展及び貧困根絶の文脈におけるグリーン経済」と「持続可能な開発のための制度的枠組」が主要議題となりました。
国連環境計画(UNEP)は2011年に報告書「グリーン経済をめざして:持続可能な発展と貧困の撲滅への道筋」を発表し、10の主要セクターに世界のGDPのわずか2%を投資するだけで低炭素、資源効率の高い経済に向けての移行が可能であると述べています。この報告は、グリーン経済への転換が現実的で経済的にも実行可能なことを示唆しています。
日本でのグリーン経済への取り組み
日本も例外ではありません。
日本は2020年12月、経済産業省が関係省庁と連携し「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(グリーン成長戦略)」を策定し、2050年には二酸化炭素排出量をゼロにする大きな目標を打ち立てました。これは、グリーン経済の考え方を日本の政策として具体化したものです。
私たちにできること|グリーン経済への参加
グリーン経済の実現には、企業や政府の取り組みだけでは不十分です。
より多くの人が環境意識を高め、経済活動において関わりのある人・物・組織などの環境への影響を理解し、環境に良いと自らが判断した対象に経済行為を実行していくことが必要です。
具体的には、環境に配慮した製品やサービスを選ぶ、環境配慮経営を行う企業を応援する、環境にやさしい事業に投資する、といった日々の経済行動が重要になります。一人ひとりの選択が、社会全体のグリーン化を推し進める力になるのです。
まとめ|経済と環境の両立を目指す時代
グリーン経済とは、環境問題と向き合いながら経済成長も実現する、一見矛盾した課題を同時に解決する考え方です。気候変動や生態系の喪失といった地球規模の課題に直面する中で、従来の「経済成長か環境保全か」という二者択一ではなく、両者を統合した新しい経済システムへの転換が急速に進んでいます。
環境と経済が分断されていた時代は終わり、それらを一体として考える時代へ移行しています。企業、政府、そして個人が協力し、グリーン経済の実現に向けて行動していくことが、これからの社会に求められています。

