「パーマカルチャー」という言葉を聞いたことはありますか?農業や持続可能な暮らしに興味がある人たちの間で、最近注目が高まっている考え方です。難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は私たちの日常生活にも取り入れられるシンプルな哲学です。この記事では、パーマカルチャーの意味、誕生背景、そして実際にできることまで、わかりやすく解説します。
パーマカルチャーとは|3つの言葉の組み合わせ
パーマカルチャーとは、「パーマネント(永続性)」「農業(アグリカルチャー)」「文化(カルチャー)」を組み合わせた造語で、永続可能な循環型の農業をもとに、人と自然がともに豊かになるような関係性を築いていくためのデザイン手法を意味します。
「デザイン手法」と聞くと、色や形をつくることをイメージするかもしれません。しかし
パーマカルチャーが指すデザインとは、自然と人間が搾取し合うことなく、共存できる社会システムを創造していくことで、デザインの対象は農業だけにはとどまらず、植物や動物、建物、コミュニティなど、生活すべてとされています。
つまり、パーマカルチャーは「持続可能な暮らし方」そのものなのです。
パーマカルチャーが生まれた背景
パーマカルチャーの歴史は1974年、オーストラリアのタスマニア大学で教えていたビル・モリソンが、教え子のデビット・ホルムグレンと2人で一つの永続的な農的暮らしの枠組みを考案し、これを「パーマカルチャー」と呼んだことから始まります。モリソンは、その目的を「地球上を森で埋め尽くす」ことだと述べています。
その後、2015年には国連でSDGsが採択され、サステナブルな社会に向けてのグローバルな考え方や取り組みが急速に広まる中で、持続可能な環境・社会を作り出すためのデザイン体系であるパーマカルチャーへの注目度が再び高まっています。
パーマカルチャーを支える3つの倫理
パーマカルチャーの実践に欠かせないのが、3つの基本的な倫理です。
地球に対する配慮(私たちの暮しは、地球が存在し、その地球に生きる多くの生きものがいるからこそ成り立つため、地球に対して配慮する)、人に対する配慮(生きていくための要求を満たせるよう、人にも配慮する)、余剰物の共有(自然界の生きものたちは、生存に必要な要素を供給し合って生きているため、人も他から奪うのではなく、与え合うことで、持続可能な社会が生まれる)
です。
難しく考えなくてもOK|今日から始めるパーマカルチャー
「本格的に農業を始めなくちゃいけない」と思う必要はありません。
パーマカルチャーは、決して難しいものではなく、生活の中で持続可能性を目指す一つの行動指針として、自分なりの方法を見つけて実践することができます。
具体例としては、マイバックを使うこと(ゴミとして廃棄されることの多いプラスチック袋を買う必要がなくなる)、水を大切にすること(水道の蛇口をひねるだけでなく、雨水を蓄えて草木に施すなどして循環させること)、快適な暮らしも楽しむこと(エネルギー資源の節約を工夫しながら、エコロジカルで心地よい暮らしをデザイン・実践していくこと)
などが挙げられます。
小さなことから始めても、その一つひとつが地球全体の持続可能性を高めるための大切な一歩になります。
日本でのパーマカルチャーの広がり
1996年に神奈川県藤野町(現在の相模原市緑区)に設立された「パーマカルチャー・センター・ジャパン(PCCJ)」は、「パーマカルチャーデザイナー」という資格を取得することのできる日本で唯一の施設で、敷地内にはガーデンや水田があり、教育を目的とした米づくりなどが行われています。
神奈川県相模原市に設立されたPCCJは、日本におけるパーマカルチャーの中心的な役割を果たしてきており、日本国内で唯一、パーマカルチャーデザイナーの資格取得ができる施設です。
また、各地で講座やワークショップが開催されており、興味がある人なら誰でも学びやすい環境が整いつつあります。
まとめ|自分たちの「暮らし方」を問い直す
パーマカルチャーは、単なる農業技法ではなく、人と自然が共存する社会をつくるための総合的な考え方です。環境問題が深刻化する今だからこそ、自分たちの生活のあり方を問い直し、小さなアクションから変えていくことが大切です。難しく考えず、自分のペースで、できることから始めてみませんか。

