さまざまな企業がSDGsを意識するなか、タイガー魔法瓶株式会社(以下、タイガー魔法瓶)は主力商品であるステンレス製ボトルの再資源化に取り組んでいます。熱制御テクノロジーの最先端をいくタイガー魔法瓶だからこそ「循環型モノづくり」に注目し再資源化を促進しているのです。
今回はタイガー魔法瓶と大阪府門真市が連携した例から、どのような未来を目指しているか、ご紹介していきます。
タイガー魔法瓶と門真市の再資源化の促進
タイガー魔法瓶は、2021年10月より、使用済みステンレス製ボトルの回収を始めました。回収するステンレス製ボトル自社製にこだわっておらず、どんな企業のものでも再資源化を目指す取り組みです。
2023年1月には本社を置く大阪府門真市と協定を締結し、この背景には海洋ごみの改修と発生抑制に関する国の実証支援がありました。
環境省は「令和4年 ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業」の自治体に大阪府門真市を選出しています。この推進事業として、同じ門真市に本社を置くタイガー魔法瓶と取り組みをスタートしたのです。
タイガー魔法瓶が目指す再資源化モデルとは
ステンレス製ボトルの再資源化モデルは、消費ではなく環境負荷を低減した循環型経済の実現を目標としています。不要になったステンレス製ボトルを学校や企業・市役所と連携して回収しリサイクルを目指しているのが特徴です。
<再資源化モデル イメージ図>
集まったステンレス製ボトルは、再生ステンレス材を作り出すだけではありません。部品として使われているプラスチックも再生樹脂製品に活用します。ステンレス製ボトルを多くの材料として再資源化するモデルであり、経済的成長も目指すとしているのです。
ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業とは
環境省が自治体や企業と連携して海洋ごみの回収や発生抑制を目指した事業です。事業プランを作成して実際の検証までサポートしているところに特徴があります。
令和4年度の実施自治体には、門真市のほか、大阪府、広島県、和歌山市が選出されました。門真市は市内河川のごみ問題も課題としてきたこともあり、海洋ごみ対策としても、大きな意味のある事業となったのです。
門真市と連携した企業はタイガー魔法瓶のほか、同じく本社を置くパナソニックホールディングス、リサイクル・リユースを事業としているリネットジャパングループがあります。3社が連携しているところも、この事業の大きな特徴になるでしょう。
タイガー魔法瓶が掲げる目標
タイガー魔法瓶は、2030年までにステンレス製ボトルの回収率10%(自社が日本国内で年間販売しているステンレス製ボトル10%相当)、リサイクル樹脂を使用したステンレス製ボトルの割合を50%(自社が日本国内で出荷するステンレス製ボトルにおいて)、パートナー企業を100社以上(企業・自治体・団体を含む)にする目標を掲げています。
単一的にSDGsを取り組む方法もありますが、持続可能な社会を作り上げるためには、循環型ビジネスとして形成しなければいけないことがよくわかる目標です。
ほかにも産学連携によって新たなライフスタイルを実現するための発信や、行政とともに進める再資源化モデル構築もおこなっています。
子どもたちに対するマイボトル普及などの啓蒙活動なども広げ、循環型ビジネスを先導するリーダーシップなどの情報発信も並行しているのです。持続可能な社会を作り出すため、多角的取り組みが必要ととらえていることがわかります。
タイガー魔法瓶の4つの約束に見える持続可能な社会
タイガー魔法瓶では、自社製の真空断熱ボトルに対して、4つの約束を掲げています。これも循環型ビジネスに大きな影響を与えているポイントです。
NO・紛争鉱物
鉱物資源は戦争の資金源になる可能性も秘めてきました。タイガー魔法瓶では、こうした鉱物はどんなに安価でも使わないとしています。人が苦しむために作り出された原材料を使わない。紛争の拡大にも手を貸さないために、原材料を使わない。これも持続可能型社会を作り出すために重要なポイントです。
NO・フッ素コート
有機フッ素コートは、これまで工業用に非常に多くの種類が作り出されてきました。しかし、国際条約で仕様が禁止されている方法もあることから、環境と健康被害を鑑み、一切使用していません。ほかの技術を開発し、はがれないコートを作るとともに、環境負荷を下げています。
NO・丸投げ生産
品質を維持するためにも、タイガー魔法瓶は自社の社員が生産を厳格に管理しています。健康を守るためにも大事な目標です。コストがかかることは確かですが、自社工場で生産することで、安全を守っています。
NO・プラスチックごみ
ステンレス製ボトルの再資源化にもつながるポイントです。タイガー魔法瓶はペットボトルからの脱却を掲げています。ペットボトルから真空断熱ボトルをマイボトルとすることで、多くのプラスチックごみを削減してきました。ステンレス製ボトルのプラスチックも再利用につなげたことで、全体的な使用量を下げる結果にもつながっています。
リサイクルモデルの構築と循環型ビジネス
タイガー魔法瓶は、限りある資源を大切に使うために、リサイクルモデルを構築してきました。そのなかでも注目すべきは、ステンレスとポリプロピレンの仕分けです。
専門業者によってステンレス原材とポリプロピレン樹脂原材に作り替えられていきます。これをさらに専門加工メーカーに引き渡し、製品を作り上げていくビジネスモデルです。
ステンレス原材は真空断熱ボトル以外にも使われています。それだけ多くの製品の原材料となるよう、循環型のビジネスモデルとなっているのです。
タイガー魔法瓶で新たな社会を目指してみませんか
2023年2月3日に創立100周年を迎えたタイガー魔法瓶では、一緒に働くさまざまな人を求めています。ステンレス製ボトルのリサイクルを見ても、ひとりでできることではありません。多くの人がいてこそ成り立ちます。
「1+1=∞」
タイガー魔法瓶が新卒採用サイトで掲げている言葉です。「新しい常識」をつくり、世界中に「無限の価値」を提供し続ける。これがタイガー魔法瓶の想いです。
それは循環型ビジネスの構築にも表れています。新たなビジネスを創造し、次の100年も続く企業を目指しています。今回はそんなタイガー魔法瓶の取り組みをご紹介しました。
▼ タイガー魔法瓶株式会社のホームページはこちら
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