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SOCIETY

ジェンダー平等に取り組む企業事例|2026年4月の法改正で何が変わる?

ジェンダー平等に取り組む企業事例|2026年4月の法改正で何が変わる?

職場でのジェンダー平等は、企業にとって「やるべきこと」から「やらなければならないこと」へと変わりつつあります。2025年6月11日に公布された女性活躍推進法の改正により、2026年4月1日以降は従業員101人以上の企業に対し、男女間の賃金差異と女性管理職比率の情報公表が義務化されます。制度の変わり目を迎えるいま、先進的な企業はどのような取り組みで職場のジェンダー平等を実現しようとしているのでしょうか。国内企業の事例と法改正の背景をわかりやすく解説します。

日本の現状|女性管理職比率は依然として低水準

ジェンダー平等の実現に向けた取り組みが進む一方で、日本の職場における課題はまだ大きく残っています。

政府は「第5次男女共同参画基本計画」で「2020年代の可能な限り早期に女性管理職比率30%程度」を目標としていますが、現状では目標に届いていません。国際的にも、スウェーデン41.7%、アメリカ41.0%、フランス39.9%などに比べ、日本は12.9%と依然として低水準です。
厚生労働省が公表した「2024年賃金構造基本統計調査」によると、女性の月額賃金は男性の75.8%にとどまるとされており、先進国と比較して男女間賃金差が依然として大きい状況が続いているという見方があります。

こうした格差の背景には、育児・介護による離職、非正規雇用への偏り、管理職候補としての育成機会の少なさなど、複合的な要因があるとされています。数字の上での差異が大きいほど、職場全体の多様性や企業の持続的成長にも影響を与えるという見方が広がっています。

ジェンダー平等の基本的な考え方については、こちらの解説記事もあわせてご参照ください。

2026年4月からの法改正|「見える化」が加速する

2025年の国会において、女性活躍推進法の改正法が成立しました。改正法は2026年中に全面施行される予定です。今回の改正では、ハラスメント対策の強化、女性活躍の推進、治療と仕事の両立支援の推進という3本柱が掲げられています。

特に企業経営に直結する変更点が、情報公表義務の拡大です。
2026年4月1日以降、現在従業員数301人以上の企業のみに義務付けられている「男女間賃金差異」の公表が101人以上の企業に拡大されるとともに、新たに「女性管理職比率」の公表も101人以上の企業で義務化されます。
2026年4月以降、企業規模に応じて開示が必要な項目には、採用者に占める女性の割合、管理職に占める女性の割合、男女の平均継続勤務年数の差、男女別の育児休業取得率、有給休暇取得率などが含まれます。
女性活躍推進法は2016年4月に施行されましたが、2025年度末までの時限立法として制定されていたところ、2035年度末(2036年3月31日)までの延長が決定しました。
これにより、女性活躍の推進は短期的な対応課題ではなく、長期的な経営課題として位置づけられることになります。

企業の先進事例|何が成果を生んでいるか

数値目標の設定と管理職育成

日清食品ホールディングス株式会社では、女性管理職比率を2026年3月31日までに10%以上にするという目標を掲げるとともに、2030年までに役員に占める女性比率を30%にするという経団連の「2030年30%へのチャレンジ」にも賛同しています。女性社員の能力開発では、リーダー候補者向けの選抜研修やeラーニング、育休前後の能力開発支援も積極的に取り入れています。

メンター制度とキャリア支援

管理職を目指す女性社員に対してメンター制度を設け、キャリア形成のモチベーション向上を支援する企業も増えています。主体的なキャリア形成と管理職としてのマインド醸成のための階層別プログラムの実施、女性管理職比率や女性育成計画をラインマネージャー・役員の業績目標・賞与に反映させるといった取り組みも見られます。

登用拡大が職場全体にもたらす好影響

女性の登用拡大に向けた取り組みによる好影響として、「両立支援制度の拡充や制度を利用しやすい環境整備につながった」が73.1%、「女性社員のモチベーションが向上した」が53.0%という結果も報告されています。また、女性活躍が30%を超えるような企業は、投資家等から評価を得ていると考えられています。

LGBTQへの配慮も含めたインクルージョン

企業の中には「人権尊重」を活動テーマとし、LGBTなど従業員の多様性への配慮の促進に向けて新任管理職研修を実施したり、消費者視点の研究・商品開発において多種の顧客満足への取り組みを進めているところもあります。
ジェンダー平等の取り組みは、女性の活躍推進にとどまらず、性的マイノリティを含むすべての人が働きやすい職場づくりへと広がっています。

法改正への対応|企業が今すぐ着手できること

101人以上の企業は、遅くとも2026年4月までに賃金データや管理職登用状況を正確に把握し、公表準備を進める必要があります。情報の集計・分析には時間がかかる場合もあるため、早めの計画が大切です。

具体的には、次のような手順が求められます。

女性活躍推進法では、自社の女性の活躍に関する状況を把握し課題を分析すること、状況把握・課題分析を踏まえた行動計画を策定・社内周知・公表することが求められています。

また、厚生労働省が運営するウェブサイト「女性の活躍推進企業データベース」や自社のホームページなどに情報を掲載し、求職者がいつでも閲覧できる状態にすることが望ましいとされています。
女性活躍推進法への取り組みは、企業に様々なメリットをもたらします。仕事と家庭の両立が実現すれば離職を防ぎ優秀な人材の定着につながるほか、積極的な取り組み姿勢が評価されればブランドイメージの向上や優秀な人材の採用にもつながるとされています。

まとめ|制度対応を「変革のきっかけ」に

2026年4月の法改正は、多くの企業にとって対応が必要な節目ですが、それ以上に職場文化を変えるチャンスでもあります。数値の「見える化」によって課題が明確になれば、管理職育成・育休取得促進・賃金格差の是正といった施策を具体的に進める足がかりになります。

ジェンダー平等の実現には、社内制度の整備と同時に、男女ともに働きやすい環境づくり、そして社員の意識改革にも取り組むことが、ジェンダー平等の基盤づくりにつながるとされています。

企業規模に関わらず、「自分たちの職場には関係ない」ではなく、「自社でできることは何か」という視点から一歩踏み出すことが、社会全体のジェンダー平等につながっていきます。採用担当者・人事担当者だけでなく、管理職や一般社員も含めた全員が当事者意識を持つことが、真の変化への第一歩といえるでしょう。

  • 記事を書いたライター
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