海をテーマにした経済という言葉で注目されている「ブルーエコノミー」。グリーンエコノミーは陸地の環境を守る経済を指すのに対し、ブルーエコノミーは海を守りながら経済を成長させるという考え方です。世界中で海洋資源の枯渇と海洋環境の悪化が深刻化する中、ブルーエコノミーの実現がこれからの時代に求められています。
ブルーエコノミーとは
ブルーエコノミーとは、水産業、海運、海洋レジャー、洋上風力発電、海水淡水化、海底地下資源などの海洋に関連する経済活動のことです。雇用、収入、成長を生み出す機会を利用するだけでなく、海洋資源を持続可能な状態に維持するための保護や回復といった活動のことも含みます。
より具体的には、海洋、沿岸、および淡水系やそれらに付随する生態系に関連した経済活動全般を指す概念
で、単なる経済的利益だけでなく、生態系保護と両立させることが重視されています。
国連環境計画(UNEP)が2014年1月に公表した「ブルーエコノミーの概念書」では、海洋資源に頼る世界において、低炭素、資源効率、社会的包摂の原則に基づき、「環境リスクや生態系の劣化を顕著に減らすことで人々の福祉と社会的均等を改善するもの」と定義付けられました。
また
世界銀行では「海洋生態系の健全性を維持しながら、経済成長、生計の向上、雇用のために海洋資源を持続的に利用すること」と定義しています。
ブルーエコノミーが注目される背景
ブルーエコノミーの概念は、2012年の国連における持続可能な開発会議で、環境配慮型の経済を「グリーンエコノミー」と呼び、一方で、海洋環境の保全と持続可能な利用を通じた経済を「ブルーエコノミー」と呼んで、陸地面積や人口は小さいものの、広大な排他的経済水域(EEZ)を有している島嶼国の経済振興支援を訴えたことが始まりとされています。
現在、ブルーエコノミーが重視される理由は、海洋環境の危機的状況にあります。
気候変動による海水温の上昇や海洋酸性化といった問題に直面しており、気候変動の影響で、世界のサンゴ礁の約半分が既に失われたとも言われており、海洋生態系へのダメージは計り知れません。さらに、国連環境計画(UNEP)によると、毎年1,900万~2,300万トンものプラスチックが海に流出しています。
こうした状況の中で、経済成長と環境保全を両立させるブルーエコノミーへの転換が求められているのです。
ブルーエコノミーの具体例
ブルーエコノミーは多岐にわたる分野を含みます。
洋上風力発電は、世界のエネルギーシステムの脱炭素化に向けて大きな可能性があると目されており、脱炭素化だけでなく、土地利用や輸送などの制限が少ないため、環境的および社会的メリットがあると見られています。
水産養殖は、地球規模の食不足の問題を解決する可能性を秘めており、養殖魚は畜産肉よりも、同量のタンパク質を生産する場合の環境負荷が少なく、持続可能性の点で優れています。
また、日本においてアマモという海草の再生を通し、地域社会の活性化に成功した例があり、新たな産業やサービスが立ち上がるきっかけになりました。
ブルーエコノミーと私たちの生活
海にかかわる経済活動の在り方を持続可能な形に見直していくべきという認識が世界で広がっており、ブルーエコノミーが注目を集めています。
ブルーエコノミーの実現には、政府や企業だけでなく、消費者の選択も重要です。持続可能な方法で取引される水産物を意識的に選ぶ、海のプラスチック汚染を減らすために使い捨てプラスチックを控えるといった日々の行動が、海を守る経済への転換を後押しします。
SDGsの目標14は「海の豊かさを守ろう」。正式には、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」です。
私たちが今できることは、海の価値を理解し、持続可能な選択を心がけることです。

