水素発電とは、水素を燃料として発電する方法です。水素は酸素と反応する過程でエネルギーを発生させますが、この過程でCO2(二酸化炭素)は排出しません。
脱炭素社会の実現に向けて、世界中で注目されている発電方式です。
水素発電の仕組み|3つの方式
水素発電には「汽力発電」「ガスタービン発電」「燃料電池」の3つの方式があります。
それぞれ異なる仕組みで電気を生み出しています。
汽力発電は水素をボイラーで燃焼させることで蒸気を作り、蒸気によりタービンを回転させることで発電します。現在の火力発電においては主流な方式です。
これは既存の火力発電所を改造して導入しやすいという利点があります。
ガスタービン発電では水素をガスタービンで燃焼させることで発生させたガスによりタービンを回転させます。汽力発電とガスタービン発電のコンバインド方式で用いられることが多く、ガスタービンからの排熱をボイラーで熱利用することによって高い熱効率を発揮します。
燃料電池は水素を燃焼するのではなく、水素と酸素を化学反応させることで発電する方式で、水の電気分解の逆反応としてよく知られています。発電量を大きくするほどコストがかさむため、大規模発電には不向きとされており、「エネファーム」に代表される家庭用燃料電池や、FCV(燃料電池自動車)での利用が進められています。
水素の種類|製造方法による分類
水素は製造過程に着目すると、グレー水素、ブルー水素に分けられます。
グレー水素とは、石油、天然ガス、石炭の化石資源から抽出される水素で、水素を取り出す際にはCO2が排出されます。
ブルー水素は化石燃料から抽出されますが、生成する際に発生するCO2を回収・処理し、大気中のCO2を抑えます。
理想的なのはグリーン水素です。
太陽光発電などの再生可能エネルギーを用いて、製造工程においてもCO2を排出せずにつくられた水素のことをグリーン水素といい、そのため環境への影響が小さく、持続可能なエネルギーとして期待されています。
水素発電のメリット|環境と安定性
最大のメリットは環境負荷の低さです。
水素発電を行う場合、発電時にCO2が発生しません。そのため水素発電は脱炭素社会実現に向けた発電方法の1つとして期待されています。
時間帯や季節によって使いきれない再生可能エネルギーを水素に変換することで、エネルギーを大量に長期間貯蔵できるため、再生可能エネルギーを無駄なく使用することに貢献します。
太陽光発電や風力発電は天候に左右されますが、水素発電は天候に関係なく安定的に発電できるという強みもあります。
現在の日本は大半の化石燃料を国外から輸入しており、化石燃料への依存率が高いと国際情勢などの影響を受けて価格が上がったり不足したりするリスクがあります。水素発電量を上げることはその対策になります。
水素発電の課題|コストと技術的な課題
水素発電には多大なコストがかかるという課題があり、水素発電を普及させるためには、水素特有の特徴から発生する技術面の課題も克服しなければなりません。
現在のところ、石炭や天然ガスを用いた従来の火力発電よりも発電コストが高くなってしまうのが実情です。
また、水素の製造、運搬、貯蔵、利用にいたるまで、一貫した供給システムの構築が必要という課題もあります。
日本での実証と今後の展開
日本は水素分野で世界をリードする国です。
2017年に日本は世界で初めてとなる「水素基本戦略」を策定し、2023年6月には水素基本戦略を改定し、重要な柱として水素産業戦略が追加されました。
三菱重工業は、高砂製作所において水素製造から発電までにわたる技術を一貫して検証できる「高砂水素パーク」を整備すると発表し、2025年の商用化に向け、566MWの大型水素ガスタービン発電施設の長期実証運転を通じて、水素30%混焼発電を検証するとしています。
イーレックス、Hydrogen Technologyは、2022年4月より国内初となる水素専焼の発電所として実証実験を開始しており、燃料には製造工程においてもCO2を排出しない「クリーン水素」を用いています。
私たちにできることは?
水素発電が普及するまでには時間がかかりますが、個人でもできることがあります。まずは太陽光発電などの再生可能エネルギーに関心を持つこと、そして電力会社の再生可能エネルギープランの導入を検討することです。
東京ガス、大阪ガス、パナソニックの共同開発によって家庭用小型燃料電池「エネファーム」の製品化に成功し、累計販売台数約500,000台と多くの家庭に導入されており、電気代の節約やCO2排出削減に寄与しています。
企業や地域による水素関連の取り組みに注目し、応援することも、水素社会実現への大きな一歩になります。

