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産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」とは?概要や取り組みを解説!

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の9番目は、「産業と技術革新の基盤をつくろう」です。

SDGsやサステナブルというと、土や水・空気を汚染することなく地球環境を保全するエコロジカルな行動様式や、倫理観に沿った社会づくりを目指すエシカルを意識した活動、というイメージを持たれる方も多いでしょう。

しかしSDGsに示される17の目標は、「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」という理念のもと、持続可能な世界を実現するために様々な領域で、幅広い分野にわたって規定されています。

人類と地球がこれからも永続的に生存し続けられるために、常に意識しておくべき共通の課題。
それがSDGsの背景です。

そして、この目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、中でも非常に大きな範囲を示す目標です。
ゴールとして設定されている文言は「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ですが、これは「Build resilient infrastructure, promote inclusive and sustainable industrialization and foster innovation」という原文を総務省が和訳したもので、やや難解というか、抽象的な表現になっています。

ここではこの表現の読み解きを通じて、目標9をより理解するために解説していきます。

強靱なインフラ構築(Build resilient infrastructure)とは

強靱なインフラ構築(Build resilient infrastructure)とは

ここでいうInfrastructure=インフラとは、公共の利益に資することを目的とする設備や施設、すなわち「社会資本」のことです。
そう言われてすぐに頭に思い浮かぶのは、上下水道や電力・ガスなどのエネルギー供給網、あるいは道路や鉄道といった交通網などですね。

これ以外にも資金を貸しつける金融インフラ、情報通信を下支えするITインフラなど、様々な種類があります。
人々の暮らしの維持に貢献するという意味では、数多くある産業もまた広い意味でのインフラと言えます。

インフラは私たちが生活するうえでなくてはならないもので、生活生命線(ライフライン)などとも呼ばれます。

地震や台風、大雨などの災害ではしばしばこうしたライフラインが分断され、復旧に時間がかかるケースが発生します。
その状況が長ければ長いほど生活に及ぼす影響が大きくなるので、インフラには事故や災害に際しても機能し続ける強靭さが求められます。

また世界には、そもそもインフラ自体が不十分な国がまだ多く存在します。
先進国では上下水道網や電気・ガス、通信網などが当たり前のように存在しますが、整備が進んでいない地域では衛生的な生活を送ることも困難で、産業の近代化も進みにくいため貧困状態が継続しています。

強靭なインフラとは「世界にあまねく広く行きわたり、何事があっても早期に復旧可能な、しなやかさを持った社会資本」のことだと言えるでしょう。

記憶に新しいところでは、「農村の回復なくしてアフガニスタンの再生なし」と用水路建設に生涯を費やし、2019年12月に銃撃で亡くなった中村哲医師の活動が思い起こされます。

診療所を建てるよりも先に生きるための水を、そして麻薬栽培に代わる農産業の自立のために水路の建設が最重要と考えた中村哲さんの意思は、今もずっと受け継がれています。

包摂的かつ持続可能な産業化(inclusive and sustainable industrialization)とは

包摂的かつ持続可能な産業化(inclusive and sustainable industrialization)とは

「包摂的かつ持続可能な産業化」という言葉が指し示しているのは、これからの社会における産業のあり方です。

私たち人類はこれまで、常に地球に存在し続けていた石炭や石油、天然ガス等の埋蔵資源、魚介類等の海洋資源、そして水や木材、金属などといった様々な天然の恵みを利用して生活を発展、向上させてきました。

しかしそのおかげで人口は幾何級数的に増加し、このままではやがて資源が枯渇し限界が見えてくることが明らかになっています。

さらに前章で述べたように、発展途上国のインフラ整備が進めばこの傾向は一層強まります。
だからと言って、人々の暮らしを支えるインフラを止める訳にはいきません。

そこで発生したのが、sustainability=持続可能性という概念です。
資源の枯渇を招かずにどうやって成長を持続させていくのか。枯渇せず再生が可能な資源を有効活用する方法はないのか。
これらを探るのが「持続可能な産業化」です。

また産業は、それぞれ単独では成立しないものです。
ごく簡単に考えても、原材料を調達する分野があり、それを加工する分野があります。
さらにそれを販売する分野や、広く行きわたらせるための流通事業分野も必要です。

例えば今世紀に入って一般化したカーボンフットプリントやフードマイレージという視点は、こうした産業構造全体の中でCO2の排出量をどのように低減していくか、を俯瞰的にとらえた考え方です。

産業の川上から川下に至るプロセスの一部で最適化がなされたとしても、全体として見たとき他の部分やよその国に負荷がかかり結果として持続可能性が後退する、ということも十分あり得ます。

そこで、包摂的=inclusiveという視点が必要になってくるのです。

イノベーションの推進(foster innovation)

イノベーションの推進

ここまで「強靱なインフラ構築」そして「包摂的かつ持続可能な産業化」という、SDGs目標9の重要な要素について述べてきました。
では、これらを実現するのに最も大切なことは何でしょうか。

それが、文言の最後に謳われているイノベーション=innovationの推進です。

イノベーションという言葉は、技術革新の分野でよく用いられます。
吸水性ポリマーの研究開発を進め、砂漠の緑化に活用する新技術などがその一例です。
最近では包摂的な持続可能性の視点を重視し、旧来のように化学合成されたものではなく、植物由来のポリマーを用いる研究が進められています。

風力や潮力、太陽光といった再生可能エネルギーについても、ただそれを使えば化石燃料や原子力よりクリーン、というだけでなくプラントの設計から廃棄まで、ライフサイクル全体を見据えたうえでの取り組みが求められているのです。

これらは専門的な知識を持った技術者や研究者が携わる領域だから、自分たちには関わりようがない、と思われる方もおられるでしょう。
しかし、産業構造が包摂的であるのと同じように、私たち一人ひとりもまたどこかで、そしてあらゆるところで複雑につながりながら生活しているのです。

食事をするとき、この素材はどこからどうやって食卓に届けられたのか。
通勤や通学するときに利用する交通機関はどうやって動き、排出された物質はどこへ行きどう処理されるのか。
それを意識することも、生活の中の大きなイノベーションです。

イノベーションとは本来「新しい切り口、新機軸」という意味を表す言葉です。
エコバッグを持ち歩く。アップサイクル製品やフェアトレードの商品を購入する。ゴミや下水に流すものを注意して選別する。
そうした身近で小さなところから始める変革が、次の段階に結びついて行きます。

ライフラインの維持・強靭化に資することのできる何かがあるかもしれない、と思いながら自らの仕事に取り組めば、イノベーションの閃きが生まれることもきっとあるはずです。

小さな閃きから始まった新しい製品化の流れや、生産・流通の仕組みそのものの変革につながる事例も昨今では盛んになっています。
これらは欧米でよく見られる取り組みですが、日本も今後大いに期待ができる分野と言えるでしょう。

まとめ

まとめ

大きな視座で語られるSDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」。

私たちはすべて何らかの形で社会に参加し、その維持にかかわっているのですから、まず自分の周りからこれを意識していけば良いのです。
そして人と人の知恵とネットワークを結集して、「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現に向けて前進していきましょう。

目標9に示されている産業と技術革新の「基盤」とは、そうした社会を達成するうえで必要不可欠な気持ちと態度のあり方なのです。

これまで、わが国では目標9は既に達成済みと考えられてきました。
しかし2020年から顕在化したCOVID19(コロナ)の影響で、多くのインフラが脆弱化の方向に傾いています。

包摂的で持続可能な社会を成立させ維持していくために、これからも手を携えていけることが数多くあるはずです。

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