世界の男女格差はどこまで縮まったのか。世界経済フォーラム(WEF)が2025年6月に発表した「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート2025」によると、世界全体のジェンダーギャップは68.8%が解消されたものの、完全な男女平等の達成にはなお123年かかると試算されています。一方、日本では2026年4月に改正女性活躍推進法が施行されるなど、国内でも変化の兆しが見えています。世界と日本の現状を改めて整理します。
2025年版レポートが示した世界の現状
世界経済フォーラム(WEF)は、2025年6月に世界の男女格差をまとめた「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート2025」を発表しました。
同レポートの第19版は148の国・地域を対象とし、世界全体のジェンダーギャップは現在68.8%が解消されているものの、現在のペースで進んだ場合、完全な男女平等の実現にはさらに123年かかると警告しています。
この数字は、2024年版レポートの推計(132年)から11年分の改善を示しており、着実な前進が認められます。ただし、進捗はいまだ緩やかで、ジェンダーの平等が経済成長と強靭性にとって不可欠だという認識が世界的に広まっていることを反映したものといえます。
全体として14ある指標のうち11の指標で改善が見られ、68.8%のジェンダーギャップが解消されたことも確認されています。
しかし、いまだ完全なジェンダーパリティを達成した国は一つもなく、特に経済参画と政治的エンパワーメントの分野で大きな格差が残っています。
分野別に見る格差の深刻さ
ジェンダーギャップ指数は、経済・教育・健康・政治の4分野で評価を行い、スコアを算出しています。具体的には、経済分野では労働力における男女比や同一労働における賃金・収入格差、政治分野では議会や閣僚の男女比などが測定されます。
なかでも政治分野の格差は際立っています。
政治的エンパワーメントの分野では、世界全体でわずか22.9%のパリティしか達成されておらず、経済・インフラ・防衛に関連する閣僚ポジションでも、女性は依然として著しく過小評価されています。
経済分野では、女性の管理職登用が進まない現実があります。
世界では高等教育の修了者において女性が男性を上回るようになりましたが、トップリーダーシップポジションに占める女性の割合は28.8%にとどまっています。女性のトップマネジメント比率は緩やかな改善傾向にあるものの、近年は進捗の鈍化が指摘されています。
地域別に見ると格差の差異も鮮明です。
北米は地域別でトップとなる75.8%のジェンダーギャップ解消率を記録していますが、経済的パリティは2006年以降わずか0.6ポイントしか改善していません。
一方、中東・北アフリカ地域は世界最低水準の61.7%にとどまっており、ただし政治的エンパワーメントのスコアは2006年以降改善が見られるなど、部分的な前進も報告されています。
また、低所得国グループの上位国が、高所得国の半数以上よりも速いペースでジェンダーギャップの解消を進めているという興味深い動向も報告されています。
世界1位はアイスランド|上位はヨーロッパが独占
2025年版で1位になったのはアイスランドで、16年連続の首位獲得となりました。上位10位にはアイスランドをはじめノルウェー、スウェーデンなどヨーロッパの8か国が占める結果となりました。ヨーロッパでは教育と政治のジェンダーギャップが小さい傾向にあります。
アイスランドをはじめとする北欧諸国が上位を独占し続ける背景には、充実した育児休業制度、保育インフラへの公的投資、クオータ制による議会の女性比率確保など、制度面での継続的な取り組みがあるとされています。
一方、指数に含まれる国・地域のほぼすべてで「実施のギャップ」が存在することも明らかになっています。先進的な法的枠組みを持つ国々でも、実際の支援には大きな差があり、高い法的基準を採用するだけでは不十分で、政策を実際のジェンダーパリティ成果に転換するための実効的な実施メカニズムが鍵となっています。
日本は148か国中118位|G7で引き続き最下位
2025年の総合ランキングにおいて、日本は148か国中118位となっています。日本は先進7か国(G7)のなかでは引き続き最下位で、男女格差が大きい状況が依然として続いています。
厚生労働省が公表した調査によると、日本企業の課長相当職以上の管理職等に占める女性の割合は13.1%程度とされており、女性管理職の比率は緩やかながらも高まっているとされています。しかし、日本政府が掲げる女性管理職の割合を30%に引き上げる目標には依然として大きな開きがある状況です。
さらに、他国との差は歴然としています。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2025」によると、フィリピンやスウェーデン、アメリカ、オーストラリア、シンガポールなどでは女性管理職の割合が40%前後に達しているとされており、日本とは大きな差があります。
2026年4月施行|改正女性活躍推進法で何が変わる
こうした課題への対策として、日本では法制度の整備が進んでいます。
2026年4月から改正女性活躍推進法が施行され、常時雇用する労働者が101名以上の企業では、「男女間の賃金差異」と「女性管理職比率」が情報公表の必須項目として義務化されます。これにより、各企業のジェンダーギャップの実態が数値として可視化されることになります。
法律に基づく情報開示の義務化は、企業が自社の課題を客観的に把握し、改善に向けた具体的な行動を促す契機になるとみられています。数値の「見える化」によって、社内での議論が活発化し、採用・育成・登用の各場面で変化が生まれることが期待されています。
私たちにできること
世界のジェンダーギャップが123年という長い時間をかけてようやく解消されると試算されるなか、一人ひとりにできることは小さく見えても重要です。WEFが指摘するように、法や制度の「実施のギャップ」を埋めるには、現場での意識と行動の積み重ねが欠かせません。職場では賃金・管理職比率の公表内容に目を向け、家庭や地域では機会の公平さを意識する。こうした一歩一歩が、長い道のりを短くする力になります。


