「クロスドレッサー」という言葉を知っていますか?
クロスドレッサーとは、自身の性別とは異なった服装をする人のことです。
「トランスジェンダー」や「LGBT」などの言葉がよく使われるようになりましたが、当事者でない人にとっては多様性への理解が進まないところが見られます。
日本はジェンダー平等への取り組みにおいて問題解決がなかなか進んでいない国です。
男女間の給与格差や女性の生活環境に関して議論されることが多いですが、「男女問わずあらゆる形態での差別を撤廃しよう」という内容も注目すべきポイントです。
SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を達成するため、ジェンダーに関する概念を理解することから始めましょう。
クロスドレッサーとは
「クロスドレッサー(cross dresser 略称:CD)」とは、生まれ持った性別とは異なる装いをする人のこと。
日本語で「異性装者」と表現されることもあります。
例えば、以下のような特徴が挙げられます。
・男性がスカートを履く。メイクやネイルを楽しむ。
・女性がスーツ姿にネクタイを締める。坊主頭にする。
生物学的な性別は「男」か「女」のいずれかであることから、世の中に出回る衣服はメンズとレディースといったように男女いずれかに向けたアパレル製品ばかりです。
また、昔からの習わしで「化粧は女性がするもの」「男性がピンクを身につけるのはおかしい」などの固定概念が根強く残っています。
こうした中、自身の性別にとらわれず、異性の装いを選ぶのがクロスドレッサーなのです。
クロスドレッサーは常にそのような装いをしているとも限りません。
トランスジェンダーやLGBTとの違い
クロスドレッサーは、生まれ持った性別にとらわれずに装いを選ぶ人の総称であり、自身を異性として認識している人もいれば、そうでない人もいます。
最近ジェンダーに関わるトピックにおいてトランスジェンダーやLGBTなどの言葉がよく使われますが、クロスドレッサーとは概念が異なります。
トランスジェンダー
生まれ持った性別と自身のこころが一致しない状態のこと。
自分の性をどう認識しているかがポイントで、自分の身体に違和感をもつ人や、異性として生きたいと望む人が多く見られます。
LGBT
LGBTとは、以下の言葉の頭文字を組み合わせた言葉で、「性的少数者」の総称です。
・Lesbien(レズビアン)…女性の同性愛者
・Gay(ゲイ)…男性の同性愛者
・Bisexual(バイセクシャル)…両性愛者
・Transgender(トランスジェンダー)…心の性と身体の性に違和感をもつ人
レズビアン・ゲイ・バイセクシャルは性的指向によるもので、思春期に気付くことが多いといわれます。
トランスジェンダーは性自認であり、幼少期から違和感をもつ場合が多く見られます。
参照元:多様な性について考えよう!~性的指向と性自認~|法務省
異性装をする理由とクロスドレッサーの苦悩
男装・女装をしている人が必ずしもLGBTに当てはまるとは限りません。
反対に、LGBTの人たちが男装・女装をしたいともいえません。
クロスドレッサーやLGBTではない人こそが、ジェンダーの多様性を理解する必要があるのです。
クロスドレッシングをする理由には、ファッションや趣味、芸術、宗教、変身願望、コスプレ、犯罪捜査などさまざまな状況が考えられます。
社会への反発や、「らしさ」からの開放、が目的の場合もあるでしょう。
もちろん、性自認の表現としてクロスドレッシングをする場合も見られます。
クロスドレッサーの多くは、社会からの偏見や先入観に悩まされています。
男性らしさ・女性らしさというような先入観を押し付けられたり、冷ややかな目で見られたりなどの実態が続いているのです。
ジェンダー平等における日本の遅れ
世界経済フォーラムが公表した「ジェンダーギャップ指数2021」では、世界における男女格差を測る指数が発表されました。
経済・政治・教育・健康の4分野におけるデータから割り出され、0が完全不平等、1が完全平等とされるものです。
日本の総合スコアは「0.656」、順位は156カ国中121位という結果が発表されました。
先進国の中では最低レベルであり、韓国や中国、ASEAN諸国よりも低い順位となりました。
特に経済と政治においての順位が低く、世界の国々がジェンダー平等に積極的に取り組んでいる中で、日本が遅れをとっている現実が示されました。
ジェンダー平等指数において上位にランクインしたのは、アイスランド、フィンランド、ノルウェー。
SDGsにおけるさまざまな目標において、北欧諸国がお手本となっていることが分かります。
参照元:世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2021」を公表 内閣府男女共同参画局総務課|男女共同参画局
まとめ
クロスドレッサーは、生まれ持った身体的な性別とは異なる装いをする人で、異性装者ともいいます。
クロスドレッサーは性別にとらわれずに装いを選ぶ人を指すため、自身を異性と認識している人もいれば、そうでない人もいるのです。
LGBTとクロスドレッサーは、別の概念であることを理解しておきましょう。
LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの総称であり、性的少数者のことです。
クロスドレッサーを理解するということは「多様性」を理解するということ。
日本はジェンダー平等に関する取り組みや理解が世界的に遅れています。
誰もが取り残されない社会を作るために、当事者ではないからといって他人事にしないことが大切です。
すべての人が自分らしく生きられる社会の在り方を考えてみましょう。