「オフセット」という言葉は、環境の話題でよく目にするようになりました。企業や個人が温室効果ガスの排出に対して「オフセット」という対策をとっている、という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、具体的にどういう仕組みなのか、どのように私たちの生活に関わっているのかは、わかりにくいですよね。この記事では、オフセットの意味から具体例、私たちにできることまでを、できるだけシンプルに解説します。
オフセットとは|温室効果ガスを「埋め合わせる」という考え方
カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。
つまり、ゼロにできない排出をどうしようもない分だけ「埋め合わせる」という発想です。環境省は、令和6年3月6日に改訂した「カーボン・オフセット ガイドライン Ver.3.0」でこの定義をさらに明確化しました。
「削減が最優先」|オフセットは最後の手段
大切なポイントは、オフセットは排出削減の「代わり」ではなく、削減努力をした「あと」に活用するものだということです。
環境省のガイドラインでも「自ら排出削減を行わないことの正当化に利用されるべきではない」と明記されています。
環境省が推奨する3つのステップは、次のとおりです。
①知って(温室効果ガスの排出量を算定する)②減らして(温室効果ガスの削減努力を実施する)③オフセット(削減しきれない温室効果ガスをクレジットで埋め合わせする)。
このプロセスを正しく実施することで、実際に効果のある対策になるのです。
オフセットの具体例
オフセットは、私たちの生活のいろいろなシーンで活用されています。例えば、カーボンオフセット付きの飲料や、CO2排出量を相殺した航空サービスがあります。また、コンサート、スポーツ大会、国際会議などのイベント主催者が、開催に伴って排出される温室効果ガス量を埋め合わせる取り組みも増えています。
クレジットの仕組み|どうやって「埋め合わせる」のか
では、排出をどのように埋め合わせるのでしょうか。そこで登場するのが「クレジット」です。
国内の排出削減活動や森林整備によって生じた排出削減・吸収量を認証する「オフセット・クレジット(J-VER)制度」を2008年11月に創設し、2013年度からは、J-VER制度及び国内クレジット制度が発展的に統合したJ-クレジット制度が開始しました。
J-クレジット制度とは、環境省、経済産業省、農林水産省が運営するベースライン&クレジット制度であり、省エネ・再エネ設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減・吸収量をJ-クレジットとして認証しています。
実際にオフセットを実施するためには、このクレジットを購入して、登録簿で「無効化」する手続きが必要です。
カーボン・オフセットを実施したと言うには、クレジットを無効化しなければなりません。つまり、クレジットを買って保有しているだけではオフセットしたことにはならず、実際に使い切ることで初めて成立するのです。
企業にとってのメリット
企業の環境保全活動に対する積極的な姿勢を対外的にアピールすることは、取引先・株主・お客様などのステークホルダーに加え、就職や転職で企業選びをする人にとってもイメージアップにつながり、事業活動・人材確保の両面でメリットがあります。
私たちにできること
個人レベルでは、オフセット付きの製品やサービスを選ぶことで、気候変動対策に参加できます。ただし重要なのは、自分たちの行動でどれだけ排出を減らせるか、をまず考えることです。省エネ、再生可能エネルギーの選択、移動手段の見直しなど、削減努力が基本となります。その上で、どうしても減らせない部分をオフセットで補完する、という順序を忘れずに。
まとめ|「減らす」が基本、「埋め合わせる」は補完
オフセットは、気候変動に真摯に向き合うための重要なツールです。しかし、それだけに頼るのではなく、排出削減の努力があってこその仕組みであることを理解することが大切です。企業から個人まで、一人ひとりが削減努力とオフセットを組み合わせることで、脱炭素社会への道が広がっていくのです。

