「NDC」という言葉を聞いたことはありますか?ニュースでよく目にするようになった、気候変動対策に関わる重要な概念です。実は、世界中の国々がカーボンニュートラルを実現するために、自分たちの温室効果ガス削減目標を決めて、国連に提出する制度なのです。この記事では、NDCが何なのか、なぜ必要なのか、そして私たちの生活とどう関係しているかを、わかりやすく解説していきます。
NDCとは|「国が決定する貢献」
NDC(国が決定する貢献、英語では「Nationally Determined Contribution」)とは、パリ協定に基づいて各国が作成・通報・維持しなければならない温室効果ガスの排出削減目標等のことです。
簡単に言えば、「自分たちの国では、今後どのくらい温室効果ガスを減らしていくのか」という、各国の削減プランです。
NDCは、各国の国内事情や能力に応じて自主的に決められるものですが、パリ協定の目標である「本世紀末までに気温上昇を産業革命前と比べて2℃以下、できれば1.5℃以下に抑える」ことに貢献するように野心的であることが求められます。
なぜNDCが必要なのか
2015年のCOP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)で採択されたパリ協定では、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑えるよう努力を続けること」という、脱炭素化推進の重要な枠組みが明文化されました。
地球の気温上昇を止めるには、世界中の国々がバラバラに動いていては効果がありません。
パリ協定では、全ての国が温室効果ガスの排出削減目標を「国が決定する貢献(NDC)」として5年毎に提出・更新する義務があります。
各国が目標を決めて、その達成状況を報告することで、世界全体の削減ペースが加速し、気温上昇を抑えることができるのです。
日本のNDCの目標
日本はこれまでどのような目標を掲げてきたのでしょうか。
日本のINDC(貢献案)は2015年7月に決定され、「2030年度に2013年度比-26.0%(2005年度比-25.4%)の水準」という目標を掲げました。
その後、野心的な目標へと引き上げられました。
2021年4月に日本は、2050年カーボンニュートラルと整合的かつ野心的な目標として、2030年度における温室効果ガス排出量の46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明し、2021年10月22日に地球温暖化対策推進本部にて「日本のNDC(国が決定する貢献)」を決定し、国連気候変動枠組条約事務局へ提出しました。
さらに最近、日本は新たな削減目標を国連に提出しています。
2025年2月18日に「地球温暖化対策計画」が閣議決定され、2030年度から先の日本の次期NDC(温室効果ガス削減目標)が国連気候変動枠組条約事務局へ提出される予定となっています。
NDCには排出削減以上の意味がある
NDCは、排出削減目標だけでなく、適応や資金等の対策も含むことができます。
つまり、単に「我が国はこれだけ減らします」というだけではなく、「気候変動の影響にどう適応するか」「発展途上国への支援をどうするか」といった広い視点で、各国の気候変動対策の全体像を示すものなのです。
私たちにできることは
NDCは国が掲げる目標ですが、その実現には私たち一人ひとりの協力が不可欠です。再生可能エネルギーの活用、省エネ行動、地産地消や食品ロスの削減など、日常生活での小さな心がけの積み重ねが、やがて大きな削減につながります。また、企業で働く方であれば、自社の脱炭素化に向けた施策に積極的に参加することも大切です。
NDCを知ることで、地球の気候変動問題を身近に感じ、自分たちの未来に何ができるかを考えるきっかけになればと思います。

