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ENVIRONMENT

ゼロウェイストとは?意味や5Rの実践方法をわかりやすく解説

近年、「ゼロウェイスト」という言葉を耳にする機会が増えています。環境問題への関心が高まる中で、単にごみを分別するだけでなく、そもそもごみを出さない生活を目指す人が世界中で増えているのです。

しかし、「ゼロウェイストって具体的に何をすればいいの?」「完全にごみをゼロにするなんて現実的ではないのでは?」と疑問に思う方も多いでしょう。実際、ゼロウェイストは完璧を求めるものではなく、できる範囲で無駄を減らしていく考え方です。

この記事では、ゼロウェイストの基本的な意味から、日常生活で実践できる具体的な方法まで、初心者にも分かりやすく解説します。環境に優しい暮らしを始めたい方、持続可能な社会づくりに関心がある方は、ぜひ参考にしてください。

ゼロウェイストとは?基本的な意味と定義

ゼロウェイストとは?基本的な意味と定義ゼロウェイストとは、英語の「Zero Waste」を日本語にしたもので、「ごみをゼロにする」ことを目標とした環境活動や生活スタイルのことです。「ウェイスト(Waste)」には「廃棄物」「無駄」「浪費」という意味があり、これらをなくしていくことを目指します。

ゼロウェイストの基本概念

ゼロウェイストの考え方は、大量生産・大量消費・大量廃棄という現代社会のシステムに疑問を投げかけるところから始まります。従来の「作って、使って、捨てる」という一方通行の流れではなく、「資源を無駄なく循環させる」ことを重視します。

具体的には、商品を購入する前に本当に必要かを考える、長く使えるものを選ぶ、使い終わったものは別の用途で再利用する、といった行動が含まれます。完全にごみをゼロにすることは難しくても、できる限りごみを減らそうとする姿勢が大切なのです。

従来のリサイクルとの違い

多くの人が環境対策として思い浮かべるのはリサイクルですが、ゼロウェイストはより根本的なアプローチを取ります。リサイクルは「ごみが出た後に処理する」方法ですが、ゼロウェイストは「そもそもごみを出さない」ことを目指します。

例えば、ペットボトルをリサイクルに出すのではなく、マイボトルを持参してペットボトル自体を購入しないようにするのがゼロウェイストの考え方です。このように、問題が起きてから対処するのではなく、問題の発生自体を防ぐことに重点を置いています。

ゼロウェイストが注目される背景と現状

ゼロウェイストが注目される背景と現状ゼロウェイストが世界的に注目を集めるようになったのには、深刻な環境問題が背景にあります。特に、プラスチックごみによる海洋汚染は待ったなしの状況となっています。

世界的なプラスチックごみ問題の深刻化

現在、世界中で毎日大量のプラスチックが使い捨てられています。これらのプラスチックの一部は適切に処理されず、風に飛ばされたり川に捨てられたりして、最終的に海に流れ込んでいます。

環境省の資料によると、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を上回るという予測もあります。海に漂うプラスチックごみは、ウミガメが餌と間違えて食べてしまったり、海鳥の体に絡まったりして、海洋生物に深刻な被害を与えています。

さらに、魚が飲み込んだ細かいプラスチック片(マイクロプラスチック)は、食物連鎖を通じて人間の体にも取り込まれる可能性が指摘されており、健康への影響も懸念されています。

日本国内でのごみ処理の限界

日本は「ごみ分別先進国」と呼ばれることもありますが、ごみ処理にも限界があります。適切に分別されたごみでも、焼却処理には大量のエネルギーが必要で、二酸化炭素の排出につながります。また、最終処分場での埋め立ても、処理能力が追いついていない状況です。

特にプラスチックのリサイクルには多大なエネルギーを消費するため、リサイクルだけでは環境負荷を根本的に解決することは困難です。このような状況から、ごみを出さないゼロウェイストの考え方が、環境問題の解決策として注目されるようになったのです。

ゼロウェイストの基本原則「5R」とは

ゼロウェイストの基本原則「5R」とはゼロウェイストを実践するための指針として、「5R」という原則があります。これは、ゼロウェイストの提唱者であるベア・ジョンソン氏が著書「ゼロ・ウェイスト・ホーム」で紹介した概念で、優先順位の高い順に並んでいます。

Refuse(断る)- 不要なものを受け取らない

最も重要なのが「Refuse(リフューズ)」、つまり「断る」ことです。無料だからといって不要なものを受け取らない、本当に必要でないものは購入しないという判断が基本となります。

具体例としては、レジ袋やプラスチック製のスプーン・フォークを断る、試供品やノベルティグッズを受け取らない、過剰な包装の商品を避ける、といった行動が挙げられます。コンビニで「お箸はご利用になりますか?」と聞かれた時に「不要です」と答えるのも、立派なRefuseの実践です。

Reduce(減らす)- 消費を最小限にする

次に大切なのが「Reduce(リデュース)」、消費量を減らすことです。本当に必要なものだけを購入し、長く使えるものを選ぶことで、結果的にごみの発生を抑えます。

例えば、洋服を買う時には流行に左右されないベーシックなデザインを選ぶ、食材は計画的に購入して食品ロスを減らす、電子機器は修理しながら長く使う、といった心がけが重要です。

Reuse(繰り返し使う)- ものを再利用する

「Reuse(リユース)」は、使い終わったものを別の用途で活用することです。創意工夫によって、本来は捨てられるはずのものに新しい価値を与えます。

ガラス瓶を小物入れや花瓶として使う、古いTシャツを掃除用の雑巾にする、お菓子の空き箱を整理整頓に活用する、などが代表的な例です。最近では、リユース品を扱うフリーマーケットアプリも普及しており、不要になったものを他の人に譲ることも簡単になりました。

Recycle(リサイクル)- 資源として再生する

「Recycle(リサイクル)」は、多くの人に馴染みのある取り組みです。ただし、ゼロウェイストでは5Rの中で4番目の優先順位となっており、上記の3つを実践した上での最後の手段として位置づけられています。

紙類、プラスチック、金属、ガラスなどを適切に分別して、新しい製品の原料として活用してもらいます。リサイクルにもエネルギーが必要ですが、新しい原料を作るよりは環境負荷を抑えることができます。

Rot(堆肥化)- 有機物を土に還す

最後の「Rot(ロット)」は「腐らせる」という意味で、生ごみなどの有機物を堆肥として土に還すことです。家庭でできるコンポスト(堆肥化)により、生ごみを貴重な肥料に変えることができます。

最近では電動コンポストや段ボールコンポストなど、マンションでも使いやすい商品が増えています。野菜くずや卵の殻、コーヒーかすなどを堆肥にすることで、ごみの量を大幅に減らすことが可能です。

個人でできるゼロウェイストの実践方法

個人でできるゼロウェイストの実践方法ゼロウェイストは特別な技術や大きな投資を必要としません。日常生活の中で少し意識を変えるだけで、誰でも実践できます。

買い物で意識すべきポイント

買い物の際の選択が、ゼロウェイストの成功を大きく左右します。まず、買い物前には本当に必要なものをリストアップし、衝動買いを避けましょう。

エコバッグやマイボトル、マイカップの持参は基本中の基本です。最近では、量り売りやパッケージフリーの商品を扱う店舗も増えており、洗剤や調味料、お米などを自分の容器に入れて購入できます。

また、長く使える品質の良いものを選ぶことも重要です。安価な使い捨て製品よりも、修理可能で耐久性の高い製品を選ぶことで、長期的にはコストも抑えられ、ごみも減らせます。

家庭でのごみ削減テクニック

家庭では、使い捨て用品をできるだけ繰り返し使えるものに置き換えることから始めましょう。ラップの代わりにみつろうラップや保存容器を使う、ティッシュペーパーの代わりにハンカチを活用する、などが効果的です。

食品ロスの削減も重要なポイントです。冷蔵庫の中身を定期的にチェックし、賞味期限が近いものから使う、野菜の皮や芯も料理に活用する、残り物をアレンジして新しい料理にする、といった工夫で食べ物を無駄にしません。

掃除用品も、重曹やクエン酸などの天然素材を使えば、プラスチック容器の洗剤を減らすことができます。これらは様々な用途に使えるため、結果的に家庭にある化学製品の種類も減らせます。

自治体や企業のゼロウェイスト取り組み事例

自治体や企業のゼロウェイスト取り組み事例ゼロウェイストは個人の取り組みだけでなく、自治体や企業レベルでも積極的に推進されています。先進的な事例を見ることで、より大きな視点でゼロウェイストを理解できます。

徳島県上勝町の先進的な取り組み

日本で最も有名なゼロウェイストの成功例が、徳島県上勝町です。2003年に日本初の「ゼロウェイスト宣言」を行い、2020年までに焼却・埋立ごみをゼロにすることを目標に掲げました。

上勝町では、ごみを45種類に細かく分別し、住民が分別施設に持ち込む仕組みを構築しています。リサイクル率は81%を達成し、全国平均の20%を大きく上回っています。また、不要になったものを住民同士で交換できる「くるくるショップ」を設置し、リユースも積極的に推進しています。

同町の取り組みは国際的にも注目され、ゼロ・ウェイストアカデミーの坂野晶理事長が世界経済フォーラムの共同議長として参加するなど、世界にその成果を発信しています。

海外のゼロウェイスト都市

世界初のゼロウェイスト宣言は、1996年にオーストラリアの首都キャンベラで行われました。その後、ニュージーランド、北米、ヨーロッパの各都市に広がり、現在では世界中で400以上の自治体がゼロウェイスト政策を採用しています。

フランスのパリでは、モンマルトル地区に「ゼロウェイストハウス」を設立し、市民がゼロウェイスト関連商品を購入したり、ワークショップに参加したりできる拠点を作りました。また、バリ島では世界初のゼロウェイストレストランがオープンし、食品ロスを出さない革新的な運営で注目を集めています。

ゼロウェイスト実践のメリットと課題

ゼロウェイスト実践のメリットと課題ゼロウェイストを実践することで得られるメリットは多岐にわたりますが、同時にいくつかの課題もあります。現実的な視点で理解することが、継続的な実践につながります。

環境面・経済面でのメリット

まず環境面では、ごみの削減により焼却処理で発生する二酸化炭素を減らし、地球温暖化の抑制に貢献できます。また、海洋プラスチック問題の解決にも直接的な効果があります。資源の有効活用により、新たな原料の採掘や製造に必要なエネルギーも節約できます。

経済面でも大きなメリットがあります。不要なものを購入しなくなることで家計の節約になり、長く使えるものを選ぶことで結果的にコストパフォーマンスが向上します。コンポストで作った堆肥を使えば肥料代も不要になり、家庭菜園を始めるきっかけにもなります。

さらに、ものを大切にする意識が高まることで、生活の質的向上も期待できます。本当に必要なものだけに囲まれたシンプルな暮らしは、心理的な豊かさをもたらすことが多くの実践者から報告されています。

実践時の注意点と現実的な目標設定

一方で、ゼロウェイストの実践には注意すべき点もあります。完璧を求めすぎると、かえってストレスになったり継続が困難になったりする場合があります。「1年分のごみが1リットル以下」のような極端な例もありますが、まずは現在のごみの量から10%、20%と段階的に減らしていくことが現実的です。

また、地域によってはゼロウェイスト向けの商品やサービスが限られている場合もあります。量り売りの店舗がない、コンポスト設備を設置できないなど、環境的な制約もあることを理解し、できる範囲で取り組むことが大切です。

家族や同居人がいる場合は、一人だけで取り組むのではなく、周囲の理解と協力を得ながら進めることも重要です。無理強いではなく、メリットを共有しながら徐々に巻き込んでいく姿勢が成功の秘訣です。

まとめ

まとめゼロウェイストは、「ごみをゼロにする」という理想を掲げながらも、完璧を求めるものではありません。5Rの原則(Refuse、Reduce、Reuse、Recycle、Rot)に沿って、できる範囲で無駄を減らしていくことが重要です。

個人レベルでは、買い物時の選択や家庭でのちょっとした工夫から始めることができます。レジ袋を断る、マイボトルを持参する、食品ロスを減らす、といった小さな行動の積み重ねが、大きな環境改善につながります。

ゼロウェイストは単なる環境活動ではなく、持続可能な社会を実現するための重要な考え方です。一人ひとりが自分のペースで実践し、その輪が広がることで、未来の地球環境を守ることができるのです。

まずは今日から、できることを一つずつ始めてみませんか。

参照元
・上勝町ゼロ・ウェイストポータルサイト
https://zwtk.jp/whatis/

・Circular Economy Hub – サーキュラーエコノミー(循環経済)メディア
https://cehub.jp/glossary/zero-waste/

・IDEAS FOR GOOD – 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン
https://ideasforgood.jp/glossary/zero-waste/

・ELEMINIST – サステナブルライフマガジン
https://eleminist.com/article/413

・Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ゼロ・ウェイスト

・環境省(海洋プラスチック問題について)
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-04/y031204-s1r2x.pdf

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