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CSR

障害者雇用の法定雇用率は2.7%へ|2026年7月からの対象企業・計算方法・納付金

Photo by Quilia on Unsplash

2026年7月1日から、民間企業の障害者の法定雇用率は2.5%から2.7%に引き上げられました。雇用義務が生じる企業の範囲も、常用労働者40.0人以上から37.5人以上へ広がっています。

私は最初、この数字を「日本の企業全体で2.7%を目指す目標値」だと受け取っていました。実際は企業1社ごとに「必要な人数」を計算して課される基準で、全体の平均値と個々の企業の達成状況は別の数字です。この違いを押さえると、ニュースの数字も自社の状況も読み取りやすくなります。

この記事では、2025年12月に公表された最新の集計結果と2026年7月以降の制度をつなげて見ていきます。計算の手順や納付金の仕組み、今日から確認できる行動まで扱います。

この記事で学べること

  • 2026年7月以降の法定雇用率と、雇用義務の対象になる企業の範囲
  • 端数切り捨てを含む必要人数の計算方法と、障害のある人のカウントのしかた
  • 最新の集計で実雇用率と達成企業割合がどのくらいかという実態
  • 未達成の場合の納付金と、数字だけでは見えない定着の視点

法定雇用率の仕組みと2026年7月からの数字

法定雇用率は、障害者雇用促進法にもとづき、事業主に対して「常用労働者のうち、障害のある人を少なくともこの割合で雇うこと」を求める基準です。定義はここまでにして、以降は実際に何がどう変わったのかを見ていきます。

事業主の区分ごとの率

法定雇用率は事業主の区分によって異なります。2026年7月以降の率は、厚生労働省の労働局の案内などで次のように示されています。

  • 民間企業は2.5%から2.7%へ
  • 国・地方公共団体・独立行政法人等は2.8%から3.0%へ
  • 都道府県等の教育委員会は2.7%から2.9%へ

民間企業だけでなく、国や自治体にも同じ方向で高い基準が課されています。公的機関が率先して雇用する立場にあることが、民間より高い率の背景にあります。

対象が37.5人以上になる理由

雇用義務が生じるのは、法定雇用率をかけた必要人数が1人以上になる企業です。2.5%のときは40.0人で1.0人、2.7%では37.5人で1.0125人になるため、37.5人以上の事業主が対象になりました。

「37.5人」と小数になるのは、短時間で働く人を0.5人として数えるためです。たとえば、フルタイムの常用労働者が35人、週20時間以上30時間未満の短時間労働者が5人いれば、常用労働者数は37.5人になります。従業員数が40人に届かない小規模な会社でも、短時間勤務の人が多ければ対象になる可能性があります。

必要人数の計算と、障害のある人のカウント

必要な雇用人数は、常用労働者数に法定雇用率をかけ、小数点以下を切り捨てて求めます。常用労働者が300人の企業なら、300人×2.7%で8.1人となり、必要人数は8人です。除外率が設定されている業種は、先に除外率の分を労働者数から差し引きます。除外率は2025年4月に、業種ごとに10ポイント引き下げられました。

雇用している障害のある人のカウントには、働く時間や障害の程度によって決まりがあります。厚生労働省の案内をもとにすると、おおよそ次のとおりです。

  • 週30時間以上の勤務は1人(重度の身体障害・知的障害のある人は2人)
  • 週20時間以上30時間未満の勤務は0.5人(重度の身体障害・知的障害のある人は1人)
  • 週10時間以上20時間未満の勤務は、重度の身体障害・知的障害のある人と精神障害のある人に限り0.5人(2024年4月から)

週20時間未満の働き方が算定の対象になったことで、体調や特性に合わせて短い時間から働き始めたい人も、雇用率の上で数えられるようになりました。細かな特例があるため、実際の算定は厚生労働省やJEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の手引きで確認してください。

最新の集計結果を読む|実雇用率2.41%と達成企業46.0%

制度の数字だけでは、現場がどうなっているかは分かりません。厚生労働省が2025年12月に公表した「令和7年障害者雇用状況の集計結果」(2025年6月1日時点)を見てみます。なお、この時点の民間企業の法定雇用率は2.5%でした。

令和7年の民間企業の結果

民間企業で働く障害のある人の数は70万4,610.0人で、前年から2万7,148.5人(4.0%)増えて過去最高を更新しました。実雇用率は2.41%で、法定雇用率2.5%にはわずかに届いていません。法定雇用率を達成した企業の割合は46.0%、つまり半数以上の54.0%が未達成でした。

障害種別では、精神障害のある人の雇用が前年比11.8%増と、最も大きく伸びたと報告されています。身体障害や知的障害のある人に比べて、精神障害のある人の雇用が急速に広がっていることがうかがえます。

企業規模と公的機関の差

企業規模別の実雇用率を見ると、40人以上100人未満が1.94%、100人以上300人未満が2.18%、1,000人以上が2.69%でした。規模が小さいほど実雇用率が低い傾向があります。2026年7月から新たに対象になった37.5人以上40人未満の企業は、この区分よりさらに小さい規模です。そのため、同じ課題に直面する企業が多いのではないかと私は見ています。これは数字からの推測で、公式の見解ではありません。

公的機関は、国が3.04%、都道府県が3.03%、市町村が2.69%、教育委員会が2.31%でした。国と都道府県は当時の基準を上回った一方、市町村や教育委員会は基準に届いていません。「民間は遅れていて公的機関は進んでいる」と単純に言い切れる状況ではないことが分かります。

引き上げの影響は企業規模によって違う|端数切り捨ての計算例

ここで、冒頭の私の思い違いに戻ります。全体の実雇用率2.41%は「平均」にすぎず、企業にとって意味があるのは、自社の常用労働者数から出る必要人数を満たしているかどうかです。平均が基準に近くても、達成企業は46.0%にとどまるのはこのためです。

また、2.5%から2.7%への引き上げの影響は、端数切り捨てのせいで企業規模によって変わります。常用労働者数が整数の場合の例を挙げます。

  • 100人の企業は、2人のまま変わらない(2.5人が2.7人になっても切り捨てで2人)
  • 300人の企業は、7人から8人に増える
  • 500人の企業は、12人から13人に増える
  • 1,000人の企業は、25人から27人に増える
  • 37.5人以上40人未満の企業は、0人から1人になり、新たに義務が生じる

「率が上がったから全社が一律に困る」わけではなく、自社の規模がどの位置にいるかで影響は大きく異なります。中小企業ほど「あと1人」の差が重くなることも、この計算から見えてきます。

未達成のときに何が起きるか

法定雇用率を満たせなかったときの仕組みも、誤解されやすい部分です。納付金と行政指導の2つを分けて押さえます。

納付金は不足1人あたり月額5万円

常用労働者が100人を超える企業が法定雇用率に届かない場合、不足1人につき月額5万円の障害者雇用納付金を納めます。1人分の不足が1年続けば、5万円×12か月で60万円です。逆に、法定雇用率を超えて雇用している100人超の企業には、超過1人あたり月額2万7千円の調整金が支給されます。納付金はこの調整金などの財源になり、障害のある人を雇う企業全体を支える仕組みです。

常用労働者が100人以下の企業は納付金の対象外ですが、雇用義務そのものはあります。「納付金がないから雇わなくてよい」という意味ではありません。

納付しても雇用義務は残る

納付金を納めても、雇用義務が免除されるわけではありません。ハローワークは、雇用が進まない企業に対して雇入れ計画の作成を命じたり、計画の適正な実施を勧告したりします。それでも改善されない場合は、企業名が公表されることがあります。お金を払えば済むものとして扱うと、制度の趣旨を取り違えてしまいます。

数字の外側にあるもの|定着と合理的配慮

フェアトレード商品を選ぶとき、私は認証マークがあるかどうかだけで判断しないようにしています。作り手に適正な対価が届く仕組みが続いているかを見たいからです。障害者雇用も同じで、雇用率という数字は入口の目安にすぎません。数字を満たしても、その人が安心して長く働ける環境があるかどうかは別の問題です。

雇う側には、障害のある人が働くうえでの困りごとに応じて、設備の改善や業務の分担などを調整する「合理的配慮」の提供が義務づけられています。業務の切り出し方や、体調に合わせた勤務時間の調整、相談できる担当者がいるかどうかが、定着を大きく左右します。人数を満たすことと、働き続けられることは、分けて考える必要があります。

求職者の側から見ても、企業の実雇用率は一つの手がかりにはなりますが、それだけで働きやすさは決まりません。面接や職場見学で、配慮の相談窓口や仕事の任せ方を具体的に尋ねてみると、数字からは見えない実態がつかめます。

自社と気になる企業の状況を確認する手順

ここからは、読む立場に応じて今日から確認できる手順です。

企業の担当者の場合

次の順番で進めると、必要人数のずれに早く気づけます。

  1. 常用労働者数を数える(週20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人で数える)
  2. 常用労働者数に0.027をかけ、小数点以下を切り捨てて必要人数を出す
  3. いま雇用している障害のある人を、時間や障害の程度に応じたカウントで合計する
  4. 差があれば、ハローワークやJEEDの相談窓口に採用や職場づくりの支援を問い合わせる

求職者や消費者の場合

気になる企業のサステナビリティレポートや統合報告書には、障害者の実雇用率を開示している企業があります。開示されている場合は、法定雇用率の2.7%と比べてみてください。数字が基準を上回っているか、数年の推移はどうかを確認すると、企業の姿勢が読み取りやすくなります。開示が見当たらないからといって、取り組みがないと決めつけるのは早計です。数字だけで良し悪しを判断せず、定着への取り組みも一緒に確かめることが大切です。

今日から試せる1アクション

まず1つだけ試すなら、「常用労働者数×0.027」の計算です。企業の担当者であれば自社の人数で、そうでなければ勤務先や関心のある企業の規模を目安に計算してみてください。電卓があれば1分で終わります。

たとえば常用労働者が250人なら、250×0.027=6.75で、必要人数は6人です。この小さな計算で、法定雇用率が自分ごとの数字として見えてきます。

必要人数が出たら、次は現在の雇用状況と比べます。不足があっても、慌てる必要はありません。ハローワークの企業向け相談では、採用だけでなく、どんな仕事を任せられるかを一緒に考える支援も受けられます。

まとめ

2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.7%に引き上げられ、雇用義務の対象も37.5人以上の企業まで広がりました。2025年6月1日時点の民間企業の実雇用率は2.41%で、基準にはわずかに届かず、達成企業の割合は46.0%にとどまっています。

平均値と企業ごとの達成状況は別の数字で、端数切り捨てのため、引き上げの影響も企業規模によって異なります。納付金は不足1人あたり月額5万円ですが、払えば雇用義務がなくなるわけではありません。数字を満たすことと、障害のある人が安心して働き続けられることは、分けて考える必要があります。

  • 民間企業の法定雇用率は2026年7月から2.7%、対象は常用労働者37.5人以上
  • 必要人数は「常用労働者数×2.7%」の小数点以下を切り捨てて求める
  • 最新の集計では実雇用率2.41%、法定雇用率の達成企業は46.0%
  • 納付金は100人超の企業で不足1人あたり月額5万円、納付しても雇用義務は残る
  • 人数の達成とあわせて、合理的配慮や定着の取り組みを確認する

参考文献

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