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4日制勤務を導入する企業の実態|導入率0.9%と制度3類型の見分け方

Photo by rupixen on Unsplash

「4日制勤務の企業」で検索すると、週休3日の導入企業を並べた一覧記事が数多く見つかります。ただ、企業名を知るだけでは、自分が求める働き方にたどり着けません。給与が2割減る会社もあれば、給与はそのままで1日の労働時間が10時間になる会社もあるからです。

厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(2025年12月公表)では、「何らかの週休3日制」を採用している企業は0.9%でした。まだ少数派であり、制度の中身は企業ごとに大きく違います。この記事では、公的統計と公開されている企業・自治体の事例をもとに、日本の4日制勤務の現在地と制度のタイプ、そして見極め方を整理します。

この記事で学べること

  • 日本で週休3日制(4日制勤務)を採る企業の割合と、週休2日制の普及状況
  • 給与の扱いで分かれる3つの制度タイプと、各タイプの企業・自治体の例
  • 英国の大規模試験や日本マイクロソフトの数字を読むときの注意点
  • 求人票や就業規則で確認したい5つの視点と、今日から試せる1アクション

日本で4日制勤務を導入する企業はどのくらいあるのか

最初に、全体像を数字で確認します。4日制勤務は話題になる頻度に比べて、統計上はまだ小さな存在です。

厚生労働省の調査にみる普及度

厚生労働省が2025年12月に公表した令和7年就労条件総合調査によると、「何らかの週休2日制」を採用している企業の割合は92.6%(前年90.9%)でした。このうち「完全週休2日制」は65.5%で、前年の56.7%から8.8ポイント上がっています。

これに対し、「何らかの週休3日制」を採用している企業は0.9%、「完全週休3日制」は0.0%と表れる水準でした。週休2日制の定着が進む一方で、その先の4日制勤務は100社に1社に満たない計算です。「導入企業が続々と増えている」という印象は、大手企業や自治体の発表が目立つことによる面が大きいと考えられます。

「4日制勤務」という言葉が指す範囲

もう一点、言葉の整理をしておきます。検索では「4日制勤務」が、正社員の週休3日制度を指す場合と、週4日だけ働くパート・アルバイトの勤務形態を指す場合の両方で使われています。後者は以前から広くある働き方です。

この記事が扱うのは、フルタイムの雇用を前提に、週4日勤務を制度として選べる、あるいは全員に適用している企業の例です。同じ「週4日」でも、所定労働時間が週40時間のままなのか、32時間に減るのかで、給与や働き方がまったく変わります。次の章で、その違いを軸に制度を分けてみます。

日本の企業・自治体にみる3つの制度タイプ

公開されている事例を見ると、日本の4日制勤務は、給与と労働時間の設計によって大きく3つに分けられます。企業名だけでなく、どのタイプかを把握することが、比較の第一歩になります。

給与減額型|労働時間に比例して給与が下がる

1つ目は、働く日数や時間が減る分、給与も比例して減るタイプです。報道や各社の公開情報によると、みずほフィナンシャルグループは2020年12月から「週休3日・4日」の制度を設け、給与は週休3日で従来の約8割、週休4日で約6割になる仕組みです。SMBC日興証券も2020年から「週3日・週4日勤務」の制度を導入し、週4日勤務は通常の80%、週3日勤務は60%の給与とされています。

東京都も2025年度から、都庁職員に選択的な週休3日制を導入しました。フレックスタイム制を拡大し、4週間で155時間の所定労働時間を確保すれば、毎週1日の休みを取れる仕組みです。所定労働時間が5分の4になるため、給与も原則として80%相当になると報じられています。このタイプは、育児や介護、学び直しなど、時間を確保する目的が明確な人に向いています。

総労働時間維持型|1日の労働時間を延ばして給与を保つ

2つ目は、週の総労働時間を変えず、1日の勤務を長くして4日に収めるタイプです。ZOZOは1日8時間×週5日を基本としつつ、1日10時間×週4日(週休3日)も選べるとされています。ファーストリテイリングも、変形労働時間制を用いて1日10時間×4日のフルタイム契約とし、給与は週5日勤務と変わらないと紹介されています。

収入が変わらない点は大きな利点です。一方で、1日10時間の勤務が続くため、体力面や通勤、家事・育児の時間配分との相性を確認する必要があります。1日8時間を超える所定労働時間を設けるには、変形労働時間制などの法的な枠組みが前提になる点も押さえておきたいところです。

給与維持・時間短縮型|成果を保ったまま労働時間を減らす

3つ目は、給与を変えずに労働時間を実際に減らすタイプです。企業にとっては最も負担が大きく、導入例も限られます。日本マイクロソフトは2019年8月に、全金曜日を休業日とする「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」を実施しました。社員は特別休暇として金曜日を休み、期間中の給与には影響しない形でした。

このタイプは、試験導入や期間限定の実施にとどまる例が少なくありません。恒常的な制度にするには、業務量の見直しやITの活用が不可欠だからです。次の章では、この型の効果を検証した海外・国内の数字を見ます。

数字で見る4日制勤務の効果と読み解くときの注意点

「週休3日にすると生産性が上がる」という主張は、実験の数字に支えられています。ただし、数字の前提条件を知らないと、期待を過大に持ってしまいます。

英国の大規模試験

最もよく引用されるのが、英国で2022年6月から12月に行われた試験です。ケンブリッジ大学、ボストン・カレッジ、シンクタンクのオートノミーが研究を担い、61社・約2,900人が参加しました。「100-80-100」と呼ばれる、給与100%・労働時間80%・生産性100%を維持する条件での試験でした。

報告された主な結果は次のとおりです。

  • 参加61社のうち56社(92%)が試験後も4日制を継続し、18社は恒久化を確認
  • 参加企業の離職者数が、前年同期比で57%減少
  • 病欠日数が、前年同期比で65%減少
  • 従業員の71%が、バーンアウト(燃え尽き)の水準が下がったと回答
  • 期間中の売上は平均1.4%増で、おおむね横ばい

日本マイクロソフトの試行結果

日本マイクロソフトは2019年10月31日に、効果測定の結果を公表しました。2019年8月の1社員あたり売上は前年同月比で39.9%増加し、「週勤4日・週休3日」の制度を評価すると答えた社員は92.1%でした。

ここで注意したいのは、売上は季節要因や案件の動きにも左右されるため、39.9%という数字をすべて4日制の成果と読むことはできない点です。同社自身も、他の要因を含む結果であることを前提にしています。1か月間の試験であることも、長期の効果を測るには短い期間です。

数字を読むときの3つの注意点

英国の試験もマイクロソフトの試行も、前向きな結果が出ています。ただし、いずれも制度に関心のある企業が自発的に参加した例であり、すべての業種・規模に当てはまるとは限りません。従業員の「バーンアウトが減った」といった回答は自己申告に基づく点にも留意が必要です。

また、日本の厚生労働省調査では導入企業が0.9%にとどまり、効果が確認された企業の外側に、まだ多くの職場があります。数字は「条件が整えば成果が出る可能性がある」という手がかりとして読み、自分の職場や志望先にそのまま当てはめない姿勢が現実的です。

4日制勤務の企業を見極める5つの視点

ここからは、制度の名前ではなく中身を確認するための視点を整理します。公開情報を見渡すと、「週休3日」とうたう制度でも、確認すべき条件は共通しています。求人票や就業規則、面接の場で聞く際のチェックポイントとして使えます。

給与と賞与の算定方法

給与が変わらないのか、8割になるのかは最初に確認すべき点です。あわせて、賞与や退職金の算定が基本給に連動している場合、週4日勤務を選ぶと将来の受取額にも差が出ることがあります。月給だけでなく、年収と生涯の見通しで比べる視点が欠かせません。

1日の所定労働時間

総労働時間維持型の場合、1日10時間前後になることがあります。通勤時間を含めた1日の拘束時間と、家庭や通院・学びの予定を重ねて想像してみてください。休日が増えても、勤務日の余裕が減ってしまっては、働き方の満足度は上がりにくいものです。

対象者と取得の条件

制度が全社員に適用されるのか、育児・介護中の人や一定の勤続年数がある人に限られるのかで、使いやすさは変わります。選択制の場合は、実際に取得している人の割合や、部署ごとの運用差についても、面接や社内の窓口で確かめられると安心です。

業務の回し方と連絡体制

休みの日の連絡対応のルールや、担当業務の引き継ぎ方法も重要です。形式上は週休3日でも、休日に連絡が入る職場では、休息の効果が薄れてしまいます。チームで勤務日をずらす運用なのか、全員が同じ曜日に休むのかも、顧客対応の有無によって変わってきます。

評価と昇進への影響

最後に、4日制を選んだ人の評価基準が変わらないかを確認します。労働時間が短い分だけ成果の目標も調整されるのか、昇進や配置の機会に影響しないのかは、制度が長く続くかどうかを占う指標にもなります。

今日から試せる1アクション|気になる企業の制度を3点で確認する

4日制勤務を考える最初の一歩は、制度を探し回ることではなく、確認の物差しを持つことです。気になる企業や自分の職場について、次の3点を調べてみてください。

1つ目は、制度のタイプです。給与減額型、総労働時間維持型、給与維持・時間短縮型のどれに近いのかを、採用ページや就業規則、労使協定の公開情報から読み取ります。2つ目は、1日の所定労働時間と、給与がどう変わるのかです。3つ目は、実際に使えている人がいるかどうかです。

転職を検討している場合は、求人票に「週休3日」とあっても、変形労働時間制による長時間勤務の4日なのか、給与が下がる設計なのかを面接前に整理しておくと、入社後のずれを減らせます。今の職場で提案を考える場合は、まず東京都のような自治体や、他社の公開事例のうち自分の職場に近いタイプを1つだけ選んで、上司や人事に「こうした形はどうでしょうか」と話題に出すところから始められます。

まとめ

日本で週休3日制を採る企業は、厚生労働省の令和7年調査で0.9%にとどまります。完全週休2日制が65.5%まで広がったのと比べると、4日制勤務はこれから制度を整えていく段階にあります。導入例はみずほフィナンシャルグループ、SMBC日興証券、ZOZO、ファーストリテイリング、日本マイクロソフト、東京都などがありますが、給与の扱いや1日の労働時間は大きく異なります。

英国の試験では参加企業の92%が試験後も4日制を続け、離職や病欠の減少も報告されました。ただし、自発的に参加した企業の結果であり、自己申告に基づく項目も含まれます。数字は「条件が整えば効果が出る可能性がある」という手がかりとして読み、制度の中身を自分の状況に照らして確認することが大切です。

まずは、気になる企業の制度タイプ、1日の所定労働時間、利用実績の3点だけでも調べてみてください。

  • 日本の「何らかの週休3日制」の導入企業は0.9%で、週休2日制は92.6%(令和7年調査)
  • 4日制勤務は、給与減額型・総労働時間維持型・給与維持・時間短縮型の3タイプに分けられる
  • 英国の試験やマイクロソフトの数字は有望だが、参加企業の条件や期間の短さに留意が必要
  • 給与・賞与、1日の労働時間、対象者、連絡体制、評価の5点を確認すると制度の中身が見える

参考文献

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