「持続可能なモビリティ」という言葉を聞いたことがありますか?テレビやニュースでよく目にするようになったこの言葉は、実は私たちの日常生活に深く関わっています。本記事では、持続可能なモビリティとは何か、そしてなぜ今それが必要なのかを、わかりやすく解説します。
持続可能なモビリティの意味|「移動」と「環境」を両立させる考え方
持続可能なモビリティ社会実現の鍵は、自治体・企業・市民が協力してルール作りや公共空間の整備を進めることにあります。まず基本から説明しましょう。
「モビリティ」は「移動」を意味する言葉です。持続可能なモビリティとは、環境負荷の低減や交通事故の防止、効率的な移動・輸送を適えるサステナブルなモビリティ社会の確立を目指す考え方です。つまり、地球環境に負荷をかけず、長期的に継続できる移動手段やサービスのことを指しています。
私たちが日々行う移動(通勤、通学、買い物、観光など)は、電車、バス、自動車、自転車など様々な手段で成り立っています。持続可能なモビリティは、これらの移動手段を環境と社会への負担を減らしながら実現する。言い換えれば、「今の世代だけでなく、未来の世代も快適に移動できる社会」を作ることが目的です。
なぜ今、持続可能なモビリティが必要なのか
環境問題への関心の高まりとカーボンニュートラル政策の推進により、電動キックボード、電気自動車(EV)、電動バスなどの電動モビリティの普及が加速しています。日本でも対応が進んでいます。
日本は2035年までに新車販売の100%を電動車にする目標を掲げており、EV・HV・PHV・FCV(燃料電池車)などを総称してZEV(Zero Emission Vehicle:ゼロエミッション車)と呼びます。
では、なぜこのような取り組みが急速に進んでいるのでしょうか。
運輸部門は全国でも大きなCO2排出源の一つです。
1人が1㎞移動する際の輸送手段別の二酸化炭素排出量は、移動手段によって異なり、公共交通機関や徒歩はCO2排出が少ないとされています。つまり、どの交通手段を選ぶかで、環境への影響は大きく変わってくるのです。
また、高齢化と人口減少により、過疎地では公共交通の採算性が悪化し、地域住民の移動手段が不足する課題も深刻です。
過疎地では高齢化と若年層の都市部流出により、日常の買い物・通院などの移動手段が不足する「交通弱者」問題が深刻化しています。持続可能なモビリティは、こうした社会課題の解決にもつながるのです。
持続可能なモビリティの具体例
では、実際にはどのような取り組みが進められているのでしょうか。いくつかの例をご紹介します。
電動車の普及
電動モビリティはエンジンを使用しないため走行時の排気ガスがゼロであり、再生可能エネルギーで充電すればライフサイクル全体でのCO2排出量を最大70%削減可能です。ただし、経済産業省は2030年までに国内のEV充電器を30万基に拡大する目標を掲げており、2024年時点の約3万基から10倍の整備を計画中です。充電インフラの整備も、持続可能なモビリティの実現に欠かせない要素です。
オンデマンドバス・MaaS
スマートフォンやタブレットから予約できるオンデマンドバスは、決まった時刻表に縛られず、利用者のニーズに応じて柔軟に運行可能です。こうしたサービスにより、採算性の低い地域でも柔軟に移動手段を提供できるようになっています。
グリーンスローモビリティ
グリーンスローモビリティは時速20km未満で公道を走行できる電動車を活用した小さな移動サービスのことで、地域や観光地などでの活用を国土交通省が推進しています。地域の観光活性化と環境配慮の両立を目指しています。
私たちにできることは
持続可能なモビリティの実現は、企業や行政の取り組みだけでは十分ではありません。私たち一人ひとりの選択も重要です。
環境省では、CO2排出の少ない移動にチャレンジしてもらうため、”「移動」を「エコに」”を合言葉に、エコで賢い移動方法を選択するライフスタイルを「smart move(スマートムーブ)」と名付け、その取組を推奨しています。具体的には、電車やバスなどの公共交通機関の利用や、短距離の移動では自転車や徒歩を心がけることが挙げられます。
毎日の移動を少し工夫することで、環境への負荷を減らし、同時に自分自身の健康づくりにもつながります。持続可能なモビリティ社会は、一人ひとりの選択の積み重ねから実現されていくのです。

