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ENVIRONMENT

地球温暖化が2015年以降に急加速|2030年より前に1.5℃突破の可能性を示した最新研究

地球温暖化が2015年以降に急加速|2030年より前に1.5℃突破の可能性を示した最新研究

2024年は観測史上最も暑い年として記録されました。そして2026年3月、科学界がその背景にある「加速」をはじめて統計的に証明しました。ポツダム気候影響研究所(PIK)が発表した研究によると、地球温暖化のペースは2015年を境に大きく跳ね上がっており、このまま続けば2030年よりも前にパリ協定の1.5℃目標が突破されるとされています。私たちに残された時間は、以前の想定よりも短くなっているかもしれません。

2026年3月発表|温暖化速度が約1.75倍に加速したことを初めて統計的に証明

2026年3月6日、PIKは「地球温暖化が2015年以降に有意に加速した」とする研究を発表しました。自然変動の影響を取り除いた後、過去10年間の推定温暖化速度は約0.35℃/10年に達しており、1970年から2015年にかけての平均値である0.2℃/10年未満を大きく上回っています。これは1880年の観測開始以来、いかなる10年間よりも速いペースです。
研究チームは、NASA・NOAA・HadCRUT・Berkeley Earth・ERA5という5つの主要な気温データセットを分析し、エルニーニョ・火山活動・太陽活動という自然変動要因の影響を取り除くことで、長期的な温暖化トレンドをより鮮明に可視化しました。その結果、「2015年以降の温暖化加速が98%以上の統計的確実性で確認された」とPIK研究員のラームストルフ氏は述べています。
同氏は「過去10年間の温暖化速度が続けば、2030年よりも前にパリ協定の1.5℃上限の長期的な超過につながる」と警告しています。
また、「地球温暖化の速度が今後どれほど速くなるかは、化石燃料由来のCO₂排出量をどれだけ速くゼロに近づけられるかにかかっている」とも述べています。

1.5℃目標とは何か|その意味と達成までの距離

1.5℃目標とは、2015年のパリ協定で掲げられた、産業革命前と比べた地球の平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるという目標です。195か国が署名したこの国際気候条約において、1.5℃は気候変動が広範かつ深刻になるとされるしきい値として位置づけられています。
今回の研究では、現在の温暖化速度が一定のまま続いた場合、パリ協定の1.5℃しきい値は2026年から2029年の間に突破されると試算されています。これは、20年間の平均が1.5℃を超える期間の中間点として算出されています。

目標達成に向けた排出削減の進捗も、引き続き課題です。
日本は2025年2月18日の閣議決定において、2035年度に温室効果ガスを2013年度比60%削減、2040年度に同73%削減を目指す新たなNDC(国が決定する貢献)を国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)に提出しました。
ただし、IPCCは1.5℃目標の達成のために温室効果ガスの排出量を世界全体で2035年までに2019年比60%削減する必要があるとしており、これを日本のデータに当てはめると2013年比66%削減に相当するとWWFジャパンは指摘しています。

研究への科学的な議論|解釈の幅にも注目を

この研究は広く注目を集める一方で、方法論についての議論もあります。
研究はENSO・火山噴火・太陽活動の影響を統計的に除去した上でトレンドを検出したものです。未処理の気温データ系列ではまだ明確な加速は確認できないものの、自然変動の影響を除いた長期トレンドには人為的な影響によるとみられる加速が検出されているとされています。
バークレー・アースの気候学者ゼーク・ハウスファーザー氏は「近年の温暖化に検出可能な加速があったというのは、今では広く共有された見解だ」と述べつつ、自然変動の影響除去に使われた手法については「不完全な部分が残る可能性がある」とも指摘しています。

科学界では数値の大きさについてなお議論があるとされていますが、過去10年間の温暖化が加速したという基本的な結論については、研究者間での概ねの合意があるとみられています。

日本への影響|農業・インフラ・暮らしへのリスク

温暖化の加速は日本にとっても他人事ではありません。気温上昇が進めば、農作物の品質低下や収量変動、猛暑による電力需要の急増、沿岸部での高潮・浸水リスクの増大などが懸念されます。脱炭素化の取り組みを加速させると同時に、すでに進行しつつある変化にどう適応していくかが問われる時代になっています。

今、私たちにできること

最新の研究が示すのは「手遅れ」という結論ではなく、「猶予が想定より短くなっている」という現実です。
ラームストルフ氏は「過去10年間の温暖化速度が続けば、2030年よりも前にパリ協定の1.5℃上限を長期的に超過することになる」としながらも、「最終的にどれだけ速く温暖化が進むかは、化石燃料由来のCO₂排出量をどれだけ速くゼロに近づけられるかにかかっている」と述べています。

家庭での電力を再生可能エネルギーに切り替える、省エネ機器を選ぶ、気候変動対策を重視した政治参加や消費行動を心がけるといった個人の選択は、確かに社会全体の方向性に影響を与えます。科学が示すタイムラインが縮まっているいまこそ、一人ひとりの行動が積み重なる意味は大きくなっています。

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