毎日、私たちが着ている洋服。実は、その一枚一枚が作られる過程で、大量の水が使われ、CO₂が排出され、廃棄物が生まれています。今、ファッション業界全体が抱える環境負荷を減らしながら、衣服と長く付き合う「サステナブルファッション」という考え方が注目されています。この記事では、サステナブルファッションの意味から、私たちにできることまでをわかりやすく解説します。
サステナブルファッションの定義
サステナブルファッションは、衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのこと
です。つまり、単に環境に優しい素材を使うだけではなく、生産・流通・使用・廃棄のすべてのステップで、環境と社会に目を向けるという、より包括的な考え方なのです。
ファッション業界が直面する環境負荷
なぜ、サステナブルファッションが注目されているのでしょうか。それは、ファッション産業が抱える環境負荷が非常に大きいからです。
服1着あたりのCO₂排出量は約25.5kgで、衣類の生産時には服1着あたりの水消費量は約2,300L、浴槽約11杯分の量です。さらに問題なのが廃棄の現状です。
衣服の焼却・埋め立て処分される量は年間で約48万tにのぼります。これは大型トラック130台分を毎日焼却・埋め立てしていることになる規模です。
国内における供給数は増加する一方で、衣服一枚あたりの価格は年々安くなり、市場規模は下がっています。傾向として大量生産・大量消費が拡大しているとも言え、衣服のライフサイクルの短期化による大量廃棄への流れが懸念されます。いわゆるファストファッションの浸透により、安い服を次々と買い替える習慣が広がっているのです。
私たちにできること
サステナブルファッションは、業界の取り組みだけでは成り立ちません。消費者である私たち一人一人の意識と行動が大切です。環境省が示す具体的なアクションを紹介します。
今ある服をより長く着る
最もシンプルかつ効果的なアクションは、今持っている服を長く愛用することです。
現在よりも1年長く着ることで、日本全体として約3万トンの廃棄量の削減に繋がります。高級な服である必要もありません。毎日着る服を丁寧にケアして、年年歳歳大切に着続けることが環境保全につながるのです。
リペアとリメイクで新しい価値を生む
服をリメイクすれば、1着の服を長く着まわす楽しみも広がりますし、資源としてリサイクルの輪に乗せれば衣服が別の物に生まれ変わることもあります。ボタンが取れたら直す、裾が傷んだら直す、古くなったデザインなら作り直す。そうした手間をかけることで、衣服に対する向き合い方が変わります。
リユースとリサイクルへの関心
環境省の資料によると、日本では衣類の購入枚数より処分する枚数の方が多い上、年間で1回も着用されない衣類が1人あたり約25着もあるのです。着ない服があれば、フリマアプリやバザーで誰かに譲る。またはリサイクル回収に出すなど、ごみではなく「資源」として流通させる選択肢があります。
購入前に「本当に必要か」を問い直す
サステナブルファッションの実践は、買う前の選択から始まります。
商品タグや表示ラベルを見たり、QR コード等で商品情報にアクセスしたり、店員さんやブランドに聞いたりして、素材や生産ルート等を確認しましょう。企業側の環境への配慮を確認してから購入することで、持続可能な取り組みをしているブランドを応援することができます。
企業やブランドの動き
消費者の関心の高まりに応じて、企業側もサステナブルファッションへの取り組みを加速させています。
日本では、消費者庁・経済産業省・環境省の連携のもとサステナブルファッションを進めることを目的とした「サステナブルファッションの推進に向けた関係省庁連携会議」が、2021年8月に発足しました。オーガニックコットンやリサイクル素材の採用、店頭での服回収プログラム、環境認証の取得などが広がっています。
まとめ|サステナブルファッションは、私たち一人一人の選択から始まる
サステナブルファッションは、一見すると難しい概念に見えるかもしれません。しかし、その本質は実にシンプルです。今持っている服を大事にする、買う前に考える、着終わったら資源として再利用する。こうした日常の選択の積み重ねが、ファッション業界全体の変化につながり、やがて地球環境を守ることにつながるのです。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、一着一着の衣服との付き合い方を、今からあらためて考えてみませんか。

