日本における食品ロス問題は過去のコラムでも取り上げているようにとても深刻です。一年で廃棄される食品の総量は、日本人1人あたりに換算すると、お茶碗1杯分の食べ物が毎日捨てられている計算になるとも言われています。
その中で、今回は近畿大学の学生による「食品ロス削減推進プロジェクトC.S.S」から、プロジェクト代表の近畿大学3年生の中村さんに、プロジェクトの活動内容や設立背景、そしてビジョンなどについてMIRASUS編集部が聞きました。
「食品ロス削減推進プロジェクトC.S.S」設立の経緯
―プロジェクトの設立年、設立目的、立ち上げの経緯を教えてください。
設立は2019年で、食品ロスという社会課題に対して学生ならではの視点に立ち、挑戦することを目指し、設立されました。
当時、社会課題に対して意欲的な学生が多いのに対し、それについて取り組みができる団体数が少ないと感じ、きっかけがなく、行動出来ないのはもったいない。
そういった考えから当プロジェクトを立ち上げ、学生が感じている社会課題に対する思いを自由に実現できる場所を提供することにしました。
―プロジェクト名の由来を教えてください。
C.S.Sというのは、Create Sustainable Societyの略です。
日本語訳の通り、食品ロスだけではなく、現代を生きる若者として、持続可能な社会を作ることに対して一翼を担うプロジェクトになれればと思い、設立メンバーでこの名前をつけたそうです。設立メンバーが全員国際学部だったこともあり、英語がよかったというのも背景の1つにあります。
―プロジェクトのビジョン・ミッションを教えてください。
プロジェクトのビジョンは「食品ロスの現状を発信し、社会の意識を変える」です。
食品ロス問題の解決に近付くためには一人でも多くの人が日常生活の中で食品ロス問題について意識する必要があると感じています。
そのために現在の食品ロスの現状や食品ロスが及ぼす悪い影響を周りに伝え、自分たちでもできることがたくさんあるというのを知ってもらうことが私たちにできることだと考えています。
私たちの活動が一人でも多くの心を動かし、食品ロス削減を心掛けるきっかけになることを目指し、日々活動を行なっています。
また、上記のビジョンを達成するためのミッションとして、今年は下記の3つを掲げています。
- 「メンバー全員の企画参加」
- 「月に2回の企画実施」
- 「インスタフォロワー数2000人」
私たちは、毎月何らかの大きなイベントを実施しています。また、ボランティア活動も毎月実施していて、それぞれ学校の授業やアルバイトなど忙しい中ですが、企画が立ち上がるごとに班を作り、全員が何かしらの活動に参加できるようにしています。
具体的な活動内容
―現在の主な活動を教えてください。
主な活動は、農家と子ども食堂へのボランティア活動です。杉浦農園という農家さんと長年ご一緒させていただいていて、そこで実際の第一次産業の現場を体験し、規格外の野菜をもらい、それを子ども食堂に届ける活動を行っています。
―農園さんでは、どういった活動をされていますか?
杉浦農園さんでは季節によって異なりますが、春には畑仕事をして種を植えたり、夏には田んぼでの草取り、収穫時期になったら実際の収穫作業をお手伝いさせてもらってます。
杉浦農園さんは農薬をほとんど使用せず、また普段からボランティアを多く受け入れており、海外からのボランティアも含め、毎週末さまざまなボランティア団体が訪れています。
加えて、以前に合宿をさせてもらったこともあります。ドラム缶風呂を沸かして入ったり、流しそうめんをやったり、非日常的な体験をさせてもらい、とても楽しかったです。
―現在のメンバー数と組織構成を教えてください。
メンバー数は54人で、組織構成は、渉外部、広報部、総務部の3部制です。
団体加入時にメンバーにはいずれかの部局に属してもらいます。各部局長(3人)、副代表2人、代表1人の計6人を幹部とし、プロジェクト運営を行っております。
団体活動の特徴とは?
―活動を行う中でのやりがいや、反対に大変なことを教えてください。
数ヶ月にわたってイベントの企画準備を行い、当日に成功したときは他では味わえない達成感を得ることができます。さらに、農家さんへのボランティアなど非日常体験ができ、かつ第一次産業の現状を勉強できます。
企業とも打ち合わせをする機会が多く、大学生活だけでは身につけることが難しい一般常識やビジネスマナーなど、就職活動でも活かされていると思います。
大変なことは、メンバーが54人いる中で目標に向けて一つにまとめて運営することです。学生ということで活動内容がボランティアのため強制力がなく、参加意識のばらつきはどうしても出てしまいます。
―他団体の違う何かユニークな特徴があれば教えてください。
農家や子ども食堂へ実際に足を運ぶ活動を行っている点です。
一般的には学生という立場で実際に現場に訪れるという機会は限られると思いますので、実地での経験と学びが豊富にできることが大きな強みだと思います。
あとは農家でいただいた規格外野菜を子ども食堂に届けているので、農家での活動と子ども食堂での活動がお互い連動したものになっています。
―食品ロス削減推進プロジェクトC.S.Sの団体に加入するのはどんな入会理由が多いですか?
プロジェクトのメンバーは元々食品ロスに対する意識がとても高いです。特に飲食店でのアルバイト経験を持つ学生が多く、食品が無駄にされている現状を目の当たりにしたことが、当プロジェクトに入るきっかけとなっていることが多いと言えます。
―最後に今後の活動予定や方針などありましたら教えてください。
今年度行ってきた活動を軸に、さらに磨きをかけていく予定です。
また今年の11月に生駒祭(学祭)があるので、そこで食品ロスや規格外野菜について知ってもらう内容を企画し、食品ロス削減のための活動を予定しています。また同月に東大阪市で開催される「HANAZONO EXPO」にも参画します。
―今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。
▼ 今回活動をご紹介した学生団体「食品ロス削減推進プロジェクトC.S.S」のページはこちら
https://csskindai7.wixsite.com/website
https://act.kindai.ac.jp/projects/0f49de839cf0523ab03f4e38fc50b85a0500624e.html