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ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー平等についてできること、現状を知ることから始めよう

「男性は仕事、女性は家庭」「青は男の子、ピンクは女の子」——こうした固定観念は、私たちの日常にあまりにも自然に溶け込んでいるため、その存在に気づくことすら困難です。しかし、これらは単なる「当たり前」ではなく、社会が長い時間をかけて築き上げてきた「ジェンダー」という概念に基づく役割分担なのです。

ジェンダー平等とは、生物学的な性差を無視することではありません。文化的・社会的に作られた性別による役割や期待、機会の格差をなくし、すべての人が性別に関係なく自分らしく生きられる社会を実現することです。

世界に目を向けると、状況はより深刻です。2024年現在も、年間約1,200万人の少女が18歳未満で強制的に結婚させられ、約200万人の女性が女性器切除(FGM)の被害を受けています。一方、日本のジェンダーギャップ指数は2024年時点で世界116位と、先進国の中で依然として低位に留まっています。

しかし、この問題は決して解決不可能ではありません。SDGs「目標5. ジェンダー平等を実現しよう」の達成に向けて、私たち一人ひとりが現状を正しく理解し、身近なところから行動を起こすことで、確実に変化を生み出すことができるのです。

この記事で学べるポイント

  • ジェンダーの基本概念と社会的性別の理解
  • 世界と日本におけるジェンダー格差の現状
  • LGBT+の多様性と包摂社会への取り組み
  • 個人レベルで実践できる具体的なアクション

ジェンダーとは何か?基本概念の正しい理解

ジェンダーという言葉を耳にする機会は増えましたが、その正確な意味を理解している人は意外に少ないのが現状です。まずは、基本的な概念を整理して理解を深めましょう。

ジェンダー(社会的性別)の定義

ジェンダーとは、生物学的な性別(セックス)とは異なり、社会や文化によって構築された性別に関する役割、行動、表現、アイデンティティを指します。「男性は論理的で競争心が強い」「女性は感情的で協調性がある」といった特性や、「男性は仕事、女性は家庭」といった役割分担は、すべて社会的に作られたジェンダーの概念です。

重要なのは、これらの概念が「自然で当然のもの」ではなく、時代や地域によって変化する「社会的な取り決め」であるということです。例えば、現在では男性的とされる青色は、20世紀初頭まで「繊細で上品な色」として女性に推奨されていました。このように、ジェンダーに関する認識は時代と共に変化してきているのです。

性の多様性とLGBT+の理解

現代社会では、従来の男女二元論を超えた性の多様性への理解が深まっています。LGBT+は、以下の頭文字を組み合わせた用語です。

L(レズビアン): 女性として生まれ、女性を恋愛対象とする人
G(ゲイ): 男性として生まれ、男性を恋愛対象とする人
B(バイセクシャル): 男女両方を恋愛対象とする人
T(トランスジェンダー): 生まれた時に割り当てられた性別と異なる性自認を持つ人

近年では、これらに加えて「Q(クエスチョニング・クィア)」——自分の性的指向や性自認を探求中の人、既存のカテゴリーに当てはまらない人——も含めて「LGBTQ+」と表現されることが増えています。

2024年現在、日本では同性パートナーシップ制度が全人口の約70%をカバーする自治体で導入され、職場や学校での理解促進も進んでいます。しかし、法的婚姻の平等や差別禁止法の整備など、まだ多くの課題が残されています。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の重要性

持続可能な開発目標(SDGs)の目標5は、2030年までにジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図ることを目指しています。この目標が設定された背景には、ジェンダー不平等が単に人権問題であるだけでなく、経済発展や社会の持続可能性にも深刻な影響を与えるという認識があります。

経済への影響

世界銀行の2024年報告書によると、ジェンダー格差の解消により世界のGDPは約12兆ドル(約28%)増加する可能性があるとされています。女性の労働参加率向上、教育機会の平等、起業支援などを通じて、社会全体の生産性と革新性を高めることができるのです。

社会の安定性

また、ジェンダー平等が進んだ社会では、暴力の発生率が低く、教育水準が高く、民主的な意思決定が促進されることが多くの研究で示されています。つまり、ジェンダー平等の実現は、すべての人にとってより良い社会を作るための不可欠な要素なのです。

世界のジェンダー格差|深刻な現状と課題

私たちが日本で感じるジェンダー格差と、世界の現実には大きな隔たりがあります。2024年現在も、多くの女性や少女が基本的人権を奪われ、生命の危険にさらされている深刻な状況が続いています。

児童婚:失われる少女たちの未来

国連児童基金(ユニセフ)の2024年最新報告によると、世界では現在も年間約1,200万人の少女が18歳未満で結婚を強制されています。これは1日あたり約33,000人、つまり1時間に1,370人の少女が幼い身体と心のまま「妻」や「母」になることを余儀なくされている計算です。

児童婚が特に深刻な地域は、サハラ以南アフリカ(全体の約40%)と南アジア(約30%)です。主な要因として、極度の貧困、教育機会の欠如、紛争や自然災害、根深い性別による差別意識が挙げられます。

貧困家庭では、娘を結婚させることで経済的負担を軽減し、持参金を得ようとするケースが多く見られます。また、教育を受けていない少女たちは、自分の権利や結婚の危険性について十分な知識を持たないまま、家族の決定に従わざるを得ない状況に置かれています。

児童婚がもたらす深刻な被害

児童婚は少女たちから教育を受ける権利、健康な成長を遂げる権利、自分の人生を選択する権利を奪います。特に深刻なのは健康面への影響です。

身体的にまだ成熟していない少女の妊娠・出産は、母体死亡率を大幅に押し上げます。世界保健機関(WHO)の2024年データによると、15〜19歳の少女の妊娠関連死亡率は、20〜24歳女性の約2倍に上ります。また、生まれてくる子どもの死亡率や発育不良の確率も高くなります。

さらに、児童婚により家庭内で弱い立場に置かれた少女たちは、家庭内暴力や性的暴力の被害を受けやすくなります。教育を受けていないため、これらの行為が人権侵害であることを理解できず、助けを求めることもできない状況が続いています。

女性器切除(FGM):文化という名の人権侵害

女性器切除(Female Genital Mutilation:FGM)は、医学的必要性がないにも関わらず、女性器の一部または全部を切除・損傷する行為です。主にアフリカ、中東、アジアの一部地域で、文化的・宗教的慣習として行われています。

2024年現在、世界約30カ国でFGMが行われており、これまでに約2億人の女性がこの被害を受けているとされています。毎年約300万人の少女がFGMの危険にさらされており、その多くは生後数日から15歳までの間に施術を受けています。

FGMの深刻な健康被害

FGMは即座に深刻な健康問題を引き起こします。不衛生な環境での施術により、大量出血、感染症、破傷風、敗血症などで死亡するケースも少なくありません。また、長期的には尿路感染症、月経異常、出産時合併症、産後うつ病などの健康問題が生涯にわたって続きます。

世界保健機関、ユニセフ、国連人口基金などの国際機関は、FGMを「女性と少女に対する深刻な人権侵害」として位置づけ、廃絶に向けた取り組みを強化しています。しかし、根深い文化的背景があるため、教育と啓発を通じた長期的なアプローチが必要とされています。

人身取引:女性が標的となる現実

国連薬物犯罪事務所(UNODC)の2024年報告書によると、世界の人身取引被害者の約72%を女性と少女が占めています。性的搾取を目的とした人身取引では、この割合は約92%にまで上昇します。

デジタル化の進展に伴い、オンラインでの勧誘手法が巧妙化している点も深刻な問題です。SNSやマッチングアプリを通じて信頼関係を築いた後、海外就労や結婚を口実に女性を騙し、売春や強制労働に従事させるケースが急増しています。

日本のジェンダーギャップ|改善への道のり

日本では児童婚やFGMのような極端な人権侵害は見られませんが、構造的なジェンダー格差は依然として深刻な課題です。

世界最低水準のジェンダーギャップ指数

世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数2024」において、日本は146カ国中116位という結果でした。これは前年の125位からわずかに改善したものの、先進国の中では依然として最低水準です。

分野別に見ると、「健康」分野では59位と比較的良好ですが、「経済参画」が120位、「政治参画」が138位と、特に意思決定層における女性の参画が極めて低い状況です。

根強い性別役割分業意識

内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査(2024年)」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考えに賛成する人の割合は、男性で35.2%、女性で27.1%となっています。2019年の調査と比較すると減少傾向にありますが、依然として3人に1人が伝統的な性別役割分業を支持している現状があります。

この意識は実際の家事・育児分担にも表れています。総務省「社会生活基本調査(2021年)」によると、共働き世帯においても、妻の家事時間は1日あたり4時間54分であるのに対し、夫は1時間23分と大きな格差があります。

経済分野での格差

労働分野では、女性の管理職比例が依然として低水準です。厚生労働省の2024年データによると、民間企業の課長相当職以上に占める女性の割合は15.7%、部長相当職以上では12.7%となっています。

また、男女間賃金格差も課題です。厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2023年)」によると、男性の所定内給与額を100とした場合の女性の給与水準は77.8となっており、OECD諸国平均の88.4を大きく下回っています。

政治分野での課題

政治参画においては、さらに深刻な状況が続いています。2024年現在、衆議院議員に占める女性の割合は10.1%、参議院では25.4%です。また、都道府県知事47人中女性は2人、市区町村長に占める女性の割合は約6%と、意思決定層への女性参画は極めて限定的です。

この背景には、政治の世界における長時間労働文化、男性中心のネットワーク、有権者の性別による偏見などが複合的に作用していると分析されています。

ジェンダー平等実現のために私たちができる具体的アクション

ジェンダー平等の実現は、政府や企業だけの責任ではありません。私たち一人ひとりの意識と行動の変化が、社会全体の変革を促す原動力となります。以下に、今日から始められる具体的なアクションをご紹介します。

身近な環境での意識改革

家庭内での役割分担の見直し
まずは自分の家庭を振り返ってみましょう。家事や育児の負担が特定の性別に偏っていませんか?共働き世帯であっても、「女性が家事をするのが当然」という無意識の前提がある場合が多くあります。

家族全員で家事分担について話し合い、能力や時間に応じた公平な役割分担を実現しましょう。子どもがいる家庭では、性別に関係なく家事や育児に参加する姿を見せることで、次世代のジェンダー平等意識を育むことができます。

言葉づかいの見直し
日常会話で何気なく使っている「男らしい」「女らしい」「男のくせに」「女だから」といった表現を見直してみましょう。これらの表現は、無意識のうちに性別による固定観念を強化してしまいます。

代わりに、「その人らしい」「個性的な」といった、個人の特性に焦点を当てた表現を心がけることで、多様性を尊重する文化を育むことができます。

職場での取り組み

多様性を尊重する職場環境づくり
職場では、性別や性的指向に関わらず、すべての人が能力を発揮できる環境づくりに貢献しましょう。会議での発言機会の平等、昇進・昇格における公正な評価、育児や介護との両立支援制度の充実などを、同僚や上司と積極的に話し合うことが重要です。

また、LGBTQ+の同僚が働きやすい環境を作るため、多様な家族形態を認める福利厚生制度の導入や、性別に中立的な言葉づかいの推進なども効果的です。

アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の認識
私たちは誰でも、育ってきた環境や経験により、無意識の偏見を持っています。「女性は数学が苦手」「男性は感情表現が下手」といった思い込みが、採用や評価の場面で影響を与えていないか、定期的に自分の判断を振り返ることが大切です。

教育と啓発活動

正しい知識の習得と共有
ジェンダーに関する正しい知識を身につけ、周囲の人々と共有しましょう。書籍、学術論文、信頼できるウェブサイトなどから情報を収集し、SNSや会話を通じて啓発活動を行うことで、社会全体の理解促進に貢献できます。

子どもへの教育
次世代を担う子どもたちに、性別による固定観念にとらわれない教育を行うことは極めて重要です。おもちゃや服装、将来の職業選択において、「男の子だから」「女の子だから」という制限を設けず、子ども一人ひとりの興味や適性を尊重しましょう。

また、多様な家族形態や性のあり方について、年齢に応じた適切な情報提供を行うことで、包摂的な社会の担い手を育てることができます。

社会貢献活動への参加

NGO・NPOへの支援
ジェンダー平等の推進に取り組む非営利団体への寄付やボランティア参加は、直接的な社会貢献につながります。国内では女性の社会進出支援、DV被害者支援、LGBTQ+の権利擁護などに取り組む団体があり、国際的には途上国の女子教育支援、児童婚防止、女性の経済的自立支援などを行う団体があります。

政治参画と投票行動
選挙では、ジェンダー平等に積極的に取り組む候補者や政党を支持しましょう。また、地方議会の傍聴や公聴会への参加、パブリックコメントの提出などを通じて、政策決定過程に女性や多様な声を反映させる努力も重要です。

消費行動を通じた社会変革

ジェンダー平等に取り組む企業の支援
商品やサービスを選択する際、ジェンダー平等に積極的に取り組む企業を優先的に選ぶことで、市場を通じた変革を促すことができます。女性管理職比率の向上、同一労働同一賃金の実現、多様性を尊重する企業文化の構築などに取り組む企業の製品を購入することで、持続可能な社会づくりに貢献できます。

持続可能な未来に向けて:ジェンダー平等社会の実現

ジェンダー平等の実現は、一朝一夕には達成できない長期的な取り組みです。しかし、私たち一人ひとりの意識と行動の変化が積み重なることで、確実に社会は変わっていきます。

次世代への責任

私たちが今日取る行動は、子どもたちの未来を左右します。性別に関係なくすべての人が自分らしく生きられる社会、多様性が尊重され、誰もが等しく機会を得られる社会を次世代に残すことは、現在を生きる私たちの重要な使命です。

経済・社会の持続可能性

ジェンダー平等は人権問題であると同時に、経済発展と社会の持続可能性にとっても不可欠な要素です。女性の社会参画が進むことで労働力不足の解消、イノベーションの促進、消費市場の拡大などの効果が期待できます。また、多様な視点が意思決定に反映されることで、より包摂的で resilient な社会の構築が可能になります。

国際協力の重要性

グローバル化が進む現代において、ジェンダー平等の実現には国際協力が不可欠です。途上国の女子教育支援、児童婚の根絶、女性の経済的エンパワーメント支援などを通じて、世界全体でのジェンダー平等推進に貢献することが求められています。

まとめ|今日から始める変革への第一歩

ジェンダー平等の実現は、遠い理想ではなく、私たちの日常的な選択と行動を通じて着実に前進させることができる現実的な目標です。

まずは現状を正しく理解し、自分自身の無意識の偏見と向き合うことから始めましょう。家庭での役割分担の見直し、職場での多様性尊重、子どもたちへの包摂的な教育、消費行動を通じた企業への働きかけなど、私たちにできることは数多くあります。

重要なのは、完璧を求めるのではなく、小さな変化を継続することです。一人ひとりの「気づき」と「行動」が連鎖することで、やがて大きな社会変革の波となります。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の達成期限である2030年まで、残された時間はわずかです。しかし、私たち一人ひとりが当事者意識を持って行動すれば、性別に関係なくすべての人が尊厳を持って生きられる社会の実現は決して不可能ではありません。

今日から、あなたの身の回りでできることを一つずつ実践してみませんか?その小さな一歩が、より良い未来への確実な歩みとなるはずです。真のジェンダー平等社会の実現に向けて、共に歩んでいきましょう。

参照元

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MIRASUS

MIRASUS編集部。地球と人に優しい未来をつくるサステナビリティな事例をご紹介。誰にでもわかりやすくSDGsに関する情報は発信していきます。

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