2021年の夏、一つの学生団体が品川で誕生しました。その名も「ルピナス品川」。この団体は、子どもたちの居場所づくりと学生の成長機会を2つの大切な軸に据え、地域社会に貢献しています。
団体の設立者とメンバーたちは、子どもたちが安心して成長できる場を提供し、自らもそのプロセスで学び成長するというビジョンを掲げ、日々活動を展開しています。今回はそれぞれの活動内容やその想いについて、ルピナス品川代表で法政大学4年生の野崎さんにMIRASUS編集部がお話を聞きました。
「ルピナス品川」設立の経緯
―団体の設立年、設立目的、立ち上げの経緯を教えてください。
団体設立は2021年8月です。立ち上げの経緯は、団体で代表を務める私が高校を卒業後に、教育・子ども関連のいくつかのアルバイトや活動に参加させていただいた中で、自分が子どもに与えたい影響や支援とは何か考えました。
その中で、支援する対象としてマイナスの状態から0(スタート地点、基礎)に持っていく部分に取り組みたいと考え、当時大学2年生のときに仲間と3名で団体を立ち上げることにしました。
団体の設立目的は、「子どもの支援」と「学生の成長機会」といった2軸を実施していくためです。子どもの支援という面では、子どもの居場所づくりと平等な体験の機会を軸に支援をしていて、その問題に対して学生が主体的に活動し、社会問題に取り組んでいくことに意味があると考えています。
また、大学1年生のとき、コロナの影響で学生の成長機会が減少していると感じました。そのため、私たち学生が社会に貢献しながら成長する機会を増やすため、この団体を立ち上げました。
―「ルピナス」という団体名の由来を教えてください。
団体名の由来としては、「ルピナス」という花の花言葉からとっています。
あまり名前を決めるのが得意ではなかったのですが、やはり団体名には親しみを感じてもらいたかったので、メンバー間で話し合い、花言葉に詳しいスタッフの提案から「ルピナス」という名前を採用しました。
「ルピナス」の花言葉として、「あなたのやすらぎ」というのがあり、子どもたちにとって、参加してくれているスタッフにとって安らぎとなるような居場所を創りたく名づけました。また、品川というのは立ち上げた当初の本部が品川だったため、まず身近な子どもたちから支援していこうという意味を込めて、つけました。
―団体のビジョン・ミッションを教えてください。
団体の理念として、「私たち若者が考える、子どもたちの居場所づくり。そして、平等に体験する機会を。」を掲げています。すべての子どもたちに居場所があり、その上で平等に様々なことを経験でき、挑戦できる機会を創ることを目指して活動を行っています。
また具体的には、主に3つの社会課題として、「居場所の確保」「教育格差」「経験格差」の改善に取り組んでいます。これらの課題が少しでも改善され、子どもたちが安心して過ごせる社会となることを目指し、私たち若者がこれを実現する意義が大きいと考えています。
団体の設立当初に掲げた理念は子どもたちに楽しい場所を提供することでした。しかし、活動を通して多くの子どもたちが経験格差を感じていることに気付き、それを含めて理念を新しく更新しました。
―経験格差とは具体的にどういうことでしょうか?
私たちは主に小学生を対象に活動を行なっているのですが、具体的な事例を挙げると、休み期間に学校で日記の宿題が出ることがあります。
その際、学校が休みの日曜日の出来事を書くよう指示されると、多くの経験をしている子たちは、例えば、旅行に行ったとか、ディズニーランドに行ったというような内容を書きます。しかし、家庭内の経済問題や、両親が共働きで土日が休みではないといった状況で何も特別なことをしていない子どもたちや、親と遊べていない子どもたちは書く内容がないと感じてしまいます。
また、学校生活や日常の生活とは異なった、活動というのはそれからの人生において経験値として積み重なっていると感じます。そのため、日常とは異なった経験をすることがいかに貴重で重要かということを考えるようになりました。このような状況から、経験の格差を埋めるための取り組みが必要だと考えました。
具体的な活動内容
―現在の主な活動を教えてください。
私たちは「私の居場所」「遊び場づくり」「EFK(Events For Kids)」「EFK support」「学習支援」の主に大きく分けて5つの活動を展開しています。まず「私の居場所」活動は、学童保育がない休日に、品川区の地域センターの一室を借りて、子どもたちが自由に過ごせる場所を提供しています。
ボードゲームや折り紙など基本的に自由にスタッフと子どもたちが遊んでいます。これは必ず、遊ばないといけない、交流しないといけないという場所ではありません。子どもたちが自由に、その場でできることを自分のペースで過ごすことを目的としています。
次に「遊び場づくり」活動では、公園での外遊びを中心に行っています。参加してくれている子どもたちから屋外でも遊びたいという要望があり始まりました。活動を始めてみると、1人で遊んでいる子どもたちがいて、そのような子どもたちも対象に、全員で楽しく遊べる環境作りを目指しています。
また、「EFK(events for kids)」活動では、経験の格差を解消するためのさまざまなイベントを実施しています。過去に「夏休みの自由研究のサポート」「アクティブ・クリエイティブ・イベント」「環境クイズに答えて、大逃走!」などのイベントを実施しました。
「EFK support」活動は、子ども食堂や教育・こども関連の活動支援を実施している他団体のサポートをボランティアスタッフとして実施しています。
最後に「学習支援」を行っており、これはすべての子どもたちに学習する機会を提供することを目的に、小学生から高校生までを対象にして、無料塾の形で学習サポートを行なっています。
―現在のメンバー数と組織構成を教えてください。
メンバー数は全部で34名です。
組織体制としては、代表・副代表以外に、外部企画部、内部企画部、広報部、デザイン部というチームに分かれて活動を行なっています。また、コンスタントに参加できないスタッフはサポートスタッフとして関わっていただいています。
団体活動の特徴とは?
―活動を行う中でのやりがいを教えてください。
活動におけるやりがいについては、子どもたちが積極的に参加し、リピートして参加してくれることが大きいです。私たちが提供している「居場所」を子どもたちが好きでいてくれていると感じることができます。
また、団体のメンバーとしての成長の機会も大きなやりがいの一つで、自分も含め多くの学生が団体に参加してから人間的にも成長していると実感できています。
―反対に大変なことを教えてください。
大変な部分としては、我々の団体に大人の関与がないため、信頼を築くのが難しいこと、活動資金の問題、そして子どもと接する中で常に責任が伴うことが挙げられます。また、学生団体だとNPOなどの大人が関与する組織と連携していることも多いと思いますが、私たちルピナス品川の団体は完全に学生のみで活動しています。
―ルピナス品川ならではの特徴を教えてください。
まず団体として、内部の成長機会にも注目しています。外軸を持って活動することと同時に、持続的な活動をする、人材を輩出するという目的から若者の成長を意識して活動しています。当団体では、17歳〜22歳までのスタッフが所属していますが、年齢関係なく組織内ポジションに挑戦できます。
また、子どもと関わる上で1番重要にしていることは、全力で楽しみながら子どもたちと接するということです。スタッフが本当に楽しみながら活動しなくては、子どもも楽しめません。最も重要視しているところです。
―最後に、今後の活動方針について教えてください。
イベントを開催する「EFK」の活動では、ハロウィンイベント、フットサルイベント、習い事イベント、探求イベントを予定しています。ぜひ、お待ちしております。また、学生スタッフの人数が増えてきているため、組織体制を整えていきます。その後、現在活動する品川区だけでなく周辺の地区にも活動の幅を広げていきたいと考えています。
―今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。
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