企業や団体が行う事業やプロジェクトが、社会や環境にどんな影響を与えているか。その変化や効果を数字や言葉で見える化し、測定・評価することが「インパクト測定」です。最近、投資や事業評価の現場で重要性が高まっている考え方で、単なる経済的な成果だけでなく、人や地球への貢献度を可視化しようという動きが広がっています。
インパクト測定とは
インパクト測定とは、企業や非営利組織の活動やサービスが、社会や環境に与えた変化や効果を可視化することです。
インパクトには、ポジティブなものとネガティブなもの、意図されたものと意図されないものが含まれ、これらすべてが評価の対象になります。
事業会社にとっては自社が行う事業における影響を把握するため、投資家にとっては自らのポートフォリオの影響を把握するために使用されています。つまり、自分たちの事業が本当に社会や環境に良い変化をもたらしているのかを知ることが、インパクト測定の第一の目的です。
インパクト測定と「インパクト・マネジメント」の違い
インパクト測定と似た言葉に「インパクト・マネジメント」があります。
インパクト測定が活動やサービスの変化や効果を可視化するのに対し、インパクト・マネジメントは社会的な効果に関する情報にもとづいて事業改善や意思決定を行い、インパクトの向上を志向することです。測定は「現状把握」、マネジメントは「改善・向上」という違いがあり、両者を合わせて「インパクト測定・マネジメント」と呼ぶことが多いです。
なぜ今、インパクト測定が注目されているのか
背景には、投資やビジネスの目的が変わってきていることがあります。従来は、利益を最大化することだけが企業や投資家の目標でした。しかし、気候変動やジェンダー不平等、貧困など世界的な課題が深刻化する中で、社会と環境への貢献も同等に重要だと認識する動きが広がってきました。
グローバル・インパクト投資ネットワーク(GIIN)の定義では、インパクト投資は「金銭的なリターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的・環境的インパクトを生み出すことを意図して行われる投資」とされています。
このような流れの中で、企業や投資家が実際に社会・環境課題をどれだけ解決しているのかを科学的に測定・証明する必要が出てきたのです。
インパクト測定の実践方法
インパクト測定・マネジメントを実践するうえで代表的に用いられる手法がロジックモデルで、事業活動からアウトプットやアウトカムに至るまでの理論的な因果関係を可視化します。
実際の測定プロセスは、次の流れで進みます。
まず、プロジェクトの全体像を明確にします。次に、評価するプロジェクト全体で目指す成果(アウトカム)を考え、ロジックモデルに配置したアウトカムに優先順位をつけ、評価するアウトカムを決めるとされています。その際、「事業活動の結果が直結しているか」「測定可能か」の2点が重要です。
次に、評価対象のアウトカムを定量的または定性的に測定するための尺度や基準を指標とし、測定方法は評価目的やステークホルダーのニーズに応じて選ぶことになります。例えば、就労支援事業なら「就職者数」(定量)と「本人の生きがい・自信の獲得」(定性)の両方を測ることができます。
最後に、アンケートやインタビューを通じて定量評価と定性評価の両方のデータを収集し、プロジェクト開始前のベースラインデータと事前・事後を比較することで効果を測定します。
企業や団体が今からできること
インパクト測定は大企業や大規模投資家だけの話ではありません。中小企業やNPO、地域コミュニティレベルでも実践可能です。大切なのは、自分たちの活動がどんな変化をもたらしているのかを意識し、記録することから始めることです。まずは、シンプルな指標を選び、定期的にデータを集める習慣をつけましょう。その過程で、事業の強みが見え、改善点も浮かび上がります。インパクト測定は、より良い社会づくりへの第一歩になります。

