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環境権とは?誰でもわかりやすくかんたん解説

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環境権とは、良好な環境の中で生活を営む権利のことを指す新しい人権です。空気や水、日光、静かな音環境など、私たちが快適に暮らすために必要な環境を守る権利として、世界中で主張されています。

環境権が生まれた背景

環境権がいつ、なぜ生まれたのかを知ることは、この権利を理解するうえで重要です。
高度経済成長期の急激な工業化や開発により、河川や大気などの環境が急速に破壊されたほか、新幹線や空港の騒音などによる公害が各地で深刻な社会問題となりました。こうした公害問題が深刻化する中で、既存の法律では被害者を十分に保護できないという課題が生じ、新たな権利として環境権が提唱されるようになったのです。

1969年に制定された東京都公害防止条例の前文には「すべて都民は、健康で安全かつ快適な生活を営む権利を有するのであって、この権利は、公害によってみだりに侵されてはならない」という記載が現れています。その後、1970年9月新潟で開催された日本弁護士連合会人権擁護大会で、大阪弁護士会の2人の弁護士が環境権という新しい権利を初めて提唱し、広く注目を浴びました。

環境権の内容

環境権が具体的に何を指すのかは、複数の側面から理解できます。
環境権の内容は、良い環境を享受し、かつこれを支配する権利(自由権的な権利)と、健康で快適な環境の保全を求める権利(社会権的な権利)の2つを含むと考えられています。

きれいな空気・水、騒音のない静かな環境を享受する権利であり、広くは自然環境のほかに道路・公園・文化施設などの社会的環境、さらには歴史的文化財などの文化的環境を求める権利として構成する立場もあります。つまり、自然環境だけでなく、日常生活を営むうえで必要となるあらゆる環境が対象となるのです。

環境権と憲法の関係

日本では、環境権をどの憲法条項に根拠づけるかについて議論が続いています。
環境権は日本国憲法第13条の「幸福追求権」を根拠に主張され、学説としてはほぼ通説としての地位を確立しています。しかし、日本の法律や憲法には環境権の概念は盛り込まれていません。

つまり、環境権は理論上は認められているものの、法律で明文化されていない状況が続いているのです。
環境権は法律で明文化された権利ではないため、環境権を侵害されたからといって、損害賠償請求や差し止め請求などが直ちに認められるわけではありません。

国際的な位置づけ

一方、国際的には環境権がより広く認識されています。
「人は尊厳と福祉を保つに足る環境で、自由、平等及び十分な生活水準を享受する基本的権利を有する」とした人の基本的な権利として、スウェーデンのストックホルムで開催された国連人間環境会議(1972)で採択された宣言(人間環境宣言)の中に盛り込まれました。
ポルトガル(1976年導入)を皮切りに、2019年時点で国際連合加盟国のうち156か国に認められています。

私たちにできること

環境権を実現するためには、個人一人ひとりの行動も大切です。良好な環境を次世代へ残すために、私たちは以下のような取り組みが求められます。

まず、自分たちが暮らす地域の環境問題に関心を持つことが重要です。空気や水の汚染、騒音、景観破壊など、具体的な問題を把握し、行政や企業に対して改善を求める声を上げることができます。また、プラスチックの削減、ごみの分別、省エネルギーなど、日常生活での環境配慮も、環境権を支える基盤となるのです。さらに、環境問題に関する情報を学び、他の人々と対話することで、社会全体として環境権の重要性を認識を深めることも期待されます。

まとめ|個人の権利として確立される日に向けて

環境権は、誰もが快適な環境の中で生活する権利として、世界中で認識されています。しかし日本では、法律で明文化されていない段階が続いており、より強固な法的保障が求められている状況です。私たちが環境問題に関心を持ち、行動することが、この権利をより実質的なものへと変えていく力になるのです。

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