公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
SOCIETY

勤務間インターバルとは?誰でもわかりやすくかんたん解説|2026年の導入状況と確認ポイント

word8

遅くまで働いた翌朝に、いつもどおりの時刻に出勤しなければならない。そんな日が続くと、睡眠も食事も家族との時間も削られていきます。勤務間インターバルとは、終業時刻から翌日の始業時刻までの間に一定時間以上の休息を空ける仕組みのことです。日本では2019年4月から企業の努力義務になっていますが、導入している企業はまだ1割に届いていません。

この記事では、制度の意味を最初に押さえたうえで、今どこまで広がっているのか、会社はどんな方法で運用しているのか、そして自分の職場で何を確かめればよいのかを整理します。

この記事で学べること

  • 勤務間インターバルの意味と、休息時間を自分で計算する方法
  • 努力義務という現在の位置づけと、義務化をめぐる議論の状況
  • 導入企業の割合の推移と、国の目標とのへだたり
  • 会社が使う3つの運用方式と、制度があっても休めなくなる落とし穴
  • 自分の職場で確認すべき点と、企業向け助成金の受付期限

勤務間インターバルとは|終業から翌日の始業までを空ける仕組み

勤務間インターバル制度は、1日の勤務が終わってから次の勤務が始まるまでの間に、一定時間以上の休息時間を必ず確保する制度です。厚生労働省は、働く人の生活時間と睡眠時間を確保するための仕組みと位置づけています。

大事なのは、見ているのが「1日あたりの労働時間」ではなく「勤務と勤務のあいだの空白」だという点です。たとえ1日の労働時間が法律の範囲内でも、終業が遅く始業が早ければ、休息はごくわずかになります。この空白に下限を設けるのが、この制度の発想です。

休息時間は引き算で求められる

計算は単純で、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの時間数がインターバルです。たとえばインターバルを11時間と決めている会社で、前日の終業が23時になったとします。その場合、翌日の始業は10時以降になります。

終業が21時なら、翌日の始業は8時から可能です。こう並べると、残業が長引いた日ほど、翌日の始業が後ろへずれることがわかります。

厚生労働省の目安は9〜11時間

法律に「何時間以上」という決まりはありません。ただし、中小企業向けの助成金では休息時間が9時間以上のものが対象とされ、11時間以上の導入には、より高い成果目標が設けられています。実務では、この9〜11時間が目安として広く使われています。

背景にあるのは、睡眠に7時間前後を確保し、そこに通勤や食事、入浴の時間を足していくと、9時間ではぎりぎり、11時間あれば余裕が出るという生活の実感です。EUの労働時間指令が、24時間ごとに最低11時間の連続した休息を求めていることも、11時間という数字の参考にされています。

努力義務の現在地|法律上の位置づけと義務化の議論

制度を知った人がまず気になるのは、「会社はこれを守らなければならないのか」という点でしょう。結論から言うと、2026年10月時点では、法律上の義務ではなく努力義務です。ただし、義務化を視野に入れた議論が進んでいます。

2019年4月から続く努力義務

2018年7月に公布された働き方改革関連法により、労働時間等設定改善法が改正されました。事業主は、終業から始業までの時間の設定など、労働者の健康と福祉の確保に必要な措置を講じるよう努めなければならない、とされています。施行は2019年4月です。

努力義務なので、導入しない会社に罰則はありません。一方で、この規定は「やらなくてよい」という意味ではなく、国が企業に取り組みを求めている状態を示しています。

義務化の検討は進んでいるが、成立はしていない

厚生労働省の労働基準関係法制研究会は、2024年12月の報告書案で、義務化も視野に入れて法規制を強化する必要があるとしました。報道によれば、原則として11時間の休息を確保し、一部の職種は適用を除外し、確保できなかった場合は労使の合意で代替措置を決められるようにする案が示されています。報告書は2025年1月に公表されました。

ただし、法案の提出は2026年の通常国会では見送られたと報じられており、義務化を定める法改正が成立したことは確認できていません。施行時期も決まっていないため、「近く義務になる」と断定するのは避けるべきです。いま働く人にとって意味があるのは、義務化を待つことではなく、すでに制度を持つ会社が増えているかどうか、そして自分の会社はどうかを確かめることです。

日本の導入状況|数字で見ると、まだ1割に届かない

制度が広がっているかどうかは、厚生労働省の就労条件総合調査で毎年確認できます。この調査は、制度を導入している企業、導入を予定または検討している企業、制度自体を知らなかった企業の割合をそれぞれ示しています。

導入率は少しずつ上がっている

厚生労働省の資料によると、導入している企業の割合は、令和3年(2021年)の調査で4.6%、令和5年(2023年)の調査で6.0%でした。令和7年(2025年)の調査では6.9%と報告されています。年を追うごとに、少しずつ上がっているのは確かです。

一方で、同じ令和7年の調査では、制度を知らなかった企業が15.7%ありました。卸売業・小売業に限ると、導入は5.0%、知らなかったは19.4%です。業種によって、認知にも導入にも差があることがわかります。

国の目標とは大きなへだたりがある

過労死等の防止のための対策に関する大綱では、導入企業の割合を15%以上、制度を知らなかった企業を5%未満にするという数値目標が掲げられてきました。2021年の大綱では期限が令和7年(2025年)まででしたが、2024年8月に閣議決定された大綱では、期限が令和10年(2028年)に改められたと報告されています。

令和7年の6.9%は、15%の半分にも届いていません。期限の延長は、目標に届かなかった現実を反映したものと読むこともできます。

導入が進まない理由は「知らなかった」が大きい

2017年の調査では、導入の予定も検討もない企業にその理由をたずねたところ、「当該制度を知らなかったため」が40.2%で最も多くなっていました。古いデータですが、令和7年にも知らなかった企業が15.7%あることを考えると、認知の壁は今も残っています。

制度が知られていなければ、働く人も「そういう権利がある」と思いつかず、会社に相談する機会が生まれにくくなります。数字を知ること自体が、最初の一歩になります。

会社はどう運用しているか|3つの方式と先行企業の例

導入している会社は、「休息時間を確保する」という同じ目的に向けて、いくつかの異なる方法を使っています。厚生労働省の有識者検討会(2017年)の資料には、ユニ・チャーム、本田技研工業、KDDIなどの先行企業の事例が提出されたと紹介されています。制度の中身や時間数は会社ごとに異なるため、詳細は各社の公開資料で確認する必要があります。ここでは、運用の型を整理します。

始業時刻を後ろへずらす方式

終業が遅くなった日は、翌日の始業時刻を繰り下げます。たとえばインターバルが11時間で、前日が23時までなら、翌日は10時から始まります。繰り下げた時間の賃金をどう扱うかは、就業規則の定め次第です。ここを事前に決めておかないと、現場が「遅く来たら給料が減るのか」と迷い、制度が使われなくなります。

休息に食い込んだ時間を勤務とみなす方式

始業時刻は変えず、インターバルが足りなくなった分の時間を、勤務したものとして扱う方法です。たとえば翌朝9時の始業で休息が10時間しか取れなかった場合、足りない1時間を働いたものとみなして、その日の勤務時間に含めます。始業時刻を動かせない職場でも導入しやすい反面、本人が休息を取れたことにはならない点に注意が必要です。

一定時刻以降の業務を禁止する方式

たとえば22時以降の残業や、翌朝の早い時間帯の勤務を、そもそもさせないルールです。労働政策研究・研修機構(JILPT)が2024年の実態調査を分析した資料では、残業禁止や翌日の始業前の勤務禁止といった、実効性のある方法が効果的だとされています。ルールが単純なほど、現場で守りやすくなります。

誤解されやすいポイント|制度があっても休めないことがある

制度の名前だけを知っていると、「あるなら安心」と思いがちです。しかし、実際の運用には、見落とされやすい点がいくつかあります。

「導入している」と「確保できている」は別

JILPTの分析では、制度が適用されている労働者の大半は、定められたインターバルを確保できていました。一方で、夜勤に従事する人は、確保できない場合が相対的に多いことが課題として挙げられています。

制度があることと、誰もが使えていることは別の話です。特に、勤務の時間帯が不規則な職種では、制度の設計そのものを点検する必要があります。

睡眠時間は「インターバルの長さ」だけで決まらない

同じ分析では、睡眠時間は通勤時間や家事・育児・介護の時間にも左右され、勤務時間外の仕事の連絡や持ち帰り残業も関係していたと報告されています。

つまり、会社を出てから次に出社するまでの時間が11時間あっても、帰宅後にメールやチャットへの対応を求められていれば、休息にはなりません。制度の実効性を高めるには、勤務時間外に仕事から解放されることも、あわせて確保する必要があります。

時間外労働の上限規制とは別の仕組み

時間外労働には、原則として月45時間・年360時間という上限が法律で決められています。これは「1か月や1年に働ける総量」の規制です。勤務間インターバルは「1日と1日のあいだの空白」の規制で、目的も仕組みも違います。

総量が上限に収まっていても、特定の日に深夜まで働き、翌朝早く出勤することは起こり得ます。両方が揃ってはじめて、働き方の歯止めとして機能します。

自分の職場で確かめる手順と、企業が使える助成金

制度を知ったあとは、自分の状況に当てはめて考えます。働く人の側と、制度を考える会社の側に分けて、具体的な行動を挙げます。

働く人が確認する4つのこと

次の順番で確かめると、現在地が見えます。

  1. 就業規則に「休息時間」や「勤務間インターバル」の定めがあるかを見る
  2. 定めがあれば、何時間か、足りない日の扱い(始業の繰り下げ、勤務とみなす、残業禁止)を確認する
  3. 定めがなければ、直近1か月の終業時刻と翌日の始業時刻から、実際の休息時間を書き出す
  4. 休息が9時間を下回る日が続いていれば、上司や人事担当、会社の相談窓口に伝える

数字で示すと、相談は感情論に見えにくくなります。社内で話しにくいときは、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーを使う方法もあります。

中小企業は助成金を使える

制度を導入したい中小企業には、厚生労働省の働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)があります。令和8年度(2026年度)の申請は、4月13日から受け付けられています。交付申請の期限は令和8年11月30日で、国の予算額によっては、期限より前に締め切られることがあります。

交付額は、成果目標ごとの上限額と加算額の合計、または対象経費に補助率3/4(一定の条件では4/5)を掛けた額の、いずれか低い額です。対象は、業種ごとの資本金または労働者数の基準を満たす中小企業事業主で、年次有給休暇の管理簿を作成していることなどの要件もあります。具体的な上限額は支給要領の別表に定められているため、申請を考える場合は、労働局の雇用環境・均等部(室)に確認してください。年末にかけて忙しくなる前に、いまの時期に準備を始めておくと間に合いやすくなります。

まとめ

勤務間インターバルは、終業から翌日の始業までに一定時間以上の休息を空けることで、睡眠と生活の時間を守る仕組みです。2019年4月から企業の努力義務になり、導入企業の割合は令和7年の調査で6.9%まで上がりました。しかし、国が掲げる15%という目標の半分にも届いておらず、義務化も議論の段階にとどまっています。

制度の名前だけでは、働く人の休息は守られません。始業を繰り下げる、足りない分を勤務とみなす、一定時刻以降の業務を禁止するといった運用のなかで、実際に確保できているか、時間外の連絡から解放されているかが問われます。夜勤のある職場では、特に設計の見直しが必要です。

義務化を待つあいだにも、できることはあります。自分の就業規則を開き、実際の休息時間を1か月分書き出してみてください。まず1つだけ、昨日の終業時刻と今朝の始業時刻の差を計算するところから始めてみてはいかがでしょうか。

  • 勤務間インターバルは、終業から翌日の始業までに一定時間以上の休息を空ける制度で、目安は9〜11時間
  • 2019年4月から努力義務で、義務化は検討段階にあり、成立は確認できていない
  • 導入企業は令和7年の調査で6.9%、国の目標15%以上とはまだ大きな差がある
  • 始業の繰り下げ、勤務とみなす方式、残業禁止などの運用があり、実効性は運用しだいで変わる
  • まず就業規則を確かめ、実際の休息時間を書き出す。中小企業の助成金は令和8年11月30日が交付申請期限

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
MIRASUS

MIRASUS編集部。地球と人に優しい未来をつくるサステナビリティな事例をご紹介。誰にでもわかりやすくSDGsに関する情報は発信していきます。

  1. 廃棄予定の複合機を再び使う|TMTユニバーサル「コピーキ革命」のレンタルを紹介

  2. 創業120周年を迎えたあらしおの歴史|駿河の塩づくりから平釜塩の復活まで

  3. 使い終わったノートの約4割が燃やすごみに。コクヨが小学校とオフィスで回す資源循環の輪

RELATED

PAGE TOP