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LIFESTYLE

エシカルフードサービスの選び方|国内の取り組み事例から学ぶ実践のヒント

Photo by Prashant Gajjar on Unsplash

「エシカルフードサービス」という言葉を見かけて、結局どこからどこまでを指すのか掴みきれずにいる方は少なくないはずです。外食チェーンの新メニュー告知、宅配弁当サービスの原材料表示、社員食堂のリニューアル案内など、使われる場面はさまざまで、統一された定義が示されているわけでもありません。この記事では、白書や公的統計を読み込んできた立場から、言葉の意味を整理するだけでなく、飲食・フードサービスを選ぶときに実際に役立つ視点と、国内で見られる複数の取り組みパターンをあわせて紹介します。

エシカルフードサービスとは何を指すのか

結論からいうと、エシカルフードサービスとは「原材料の調達方法、環境負荷、働く人の労働環境、動物福祉といった観点に配慮した飲食・食品提供サービス」を指す言葉として使われることが多いです。消費者庁は「人・社会・地球環境・地域に配慮した消費行動」をエシカル消費と説明しており、食に関するサービスもこの考え方の延長線上にあります。ただし法律上の明確な認定基準があるわけではなく、事業者ごとに力点の置き方が異なるのが実情です。

「エシカル=価格が高い」という思い込みは正しいのか

「エシカルなものは結局値段が高いのでは」と身構える方も多いはずです。実際、認証原料の調達コストが価格に反映される場合はありますが、規格外野菜の活用や需要予測にもとづく仕入れ調整のように、廃棄削減がコスト削減と両立する取り組みも広がっています。つまり「エシカル=割高」と一括りにするのではなく、どの部分にコストをかけ、どの部分でコストを抑えているのかを見る方が実態に近いといえます。

フードサービス業界でエシカルな視点が重視される背景

なぜ今、外食・中食・宅配といったフードサービス各分野でエシカルな調達や運営が意識されるようになったのでしょうか。背景の一つが食品ロス問題です。日本では2019年10月に食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)が施行され、事業者・消費者双方に削減の取り組みが求められるようになりました。日本国内で発生する食品ロスは、農林水産省・環境省の推計によると2022年度(令和4年度)時点で472万トンとなっており、その一部は外食・中食の現場から生じています。もう一つの背景が水産資源や生産労働の持続可能性で、MSC(海洋管理協議会)やASC(水産養殖管理協議会)、レインフォレスト・アライアンス、フェアトレード認証といった第三者認証を活用する飲食店や食品企業が増えているとされています。

「そうした認証は一部の高級店だけの話では」と思う方もいるかもしれませんが、近年は社員食堂やコンビニの惣菜、フードデリバリーのメニューにも認証原料が使われる例が見られるようになりました。特別な業態に限られたテーマではなく、日常の食の選択肢に少しずつ広がっている段階だと捉える方が実感に近いでしょう。

エシカルフードサービスを見分ける4つの視点

では実際に飲食店やサービスを選ぶとき、何を手がかりにすればよいのでしょうか。認証マークの有無だけで判断しようとすると見落としが生じやすいため、次の4つの視点を組み合わせて確認することをおすすめします。

1. 認証ラベルの表示を確認する

メニュー表やパッケージにMSC・ASC・レインフォレスト・アライアンス・国際フェアトレード認証などのラベルが表示されているかを見てみましょう。ラベルがあれば、少なくとも第三者機関による調達基準の確認を経ていることが分かります。一方でラベルがないからといって配慮がゼロとは限らず、次に挙げる視点もあわせて確認する必要があります。

2. 食品ロス削減への具体的な取り組みを確認する

「食品ロス削減に取り組んでいます」という抽象的な文言だけでなく、規格外食材の活用、量り売りや小盛りメニューの用意、余剰食品の寄付・フードバンク連携など、具体的な行動が示されているかを見ると判断しやすくなります。抽象的なスローガンのみで具体策が示されていない場合は、根拠のない表示、いわゆるグリーンウォッシングの可能性も念頭に置いておくとよいでしょう。

3. 地産地消とトレーサビリティ

生産地や生産者が明記されているか、輸送距離が短い地域産の食材を積極的に使っているかも一つの手がかりです。地産地消は輸送に伴う環境負荷を抑えるだけでなく、地域の生産者を支えることにもつながります。産地表示が具体的であるほど、調達方針に一定の透明性があると判断しやすくなります。

4. 動物福祉やプラントベース選択肢の有無

畜産・養鶏における飼育環境への配慮(アニマルウェルフェア)や、植物性食材を使ったメニューの選択肢が用意されているかも判断材料になります。すべての来店者に植物性メニューを勧める必要はありませんが、選択肢として用意されていること自体が、多様な価値観への配慮を示すサインになります。

こうした視点は、消費者庁が進めるエシカル消費の考え方とも重なります。エシカル消費全般の基本的な考え方をあらためて確認したい方は、以下もあわせて参考にしてください。

国内フードサービスで見られる複数の取り組みパターン

「実際にどんな会社がどう動いているのか知りたい」という声もよく聞かれます。個社の詳細な内部データまでは公開情報だけでは確認しきれない部分もありますが、公開されている調達方針やプレスリリースを横断的に見ていくと、いくつかのパターンに整理できます。一つは、コーヒーやチョコレートなど輸入依存度の高い原材料についてフェアトレード認証やレインフォレスト・アライアンス認証の原料へ切り替える動きです。二つ目は、水産物の調達においてMSC・ASC認証原料の取り扱いを拡大する動きで、大手外食チェーンや食品スーパーの一部で表明されています。三つ目は、需要予測システムの導入や量り売り・小盛りメニューの拡充によって、店舗レベルでの食品ロスを抑える動きです。

公開情報を比較していて気づくのは、認証ラベルの見せ方が事業者によってかなり異なるという点です。メニュー表に直接ラベルを載せる事業者もあれば、企業サイトの調達方針ページにまとめて記載し、店舗ではあえて前面に出さない事業者もあります。前者は消費者が店頭で判断しやすい一方、後者は継続的な方針として腰を据えて取り組んでいる印象を受けることもあります。どちらが優れているという話ではなく、情報の探し方を知っておくと自分に合った店やサービスを見つけやすくなる、という程度に捉えておくとよいでしょう。

読者が今日から試せる小さな一歩

「結局、何から始めればいいのか」と迷う方には、まず次の1つだけを試してみることをおすすめします。ふだん利用している飲食店やフードデリバリーサービスのウェブサイトを開き、「調達方針」「サステナビリティ」「食品ロス」といったページの有無を確認してみてください。ページが見つかれば、そこに書かれている内容が抽象的なスローガンだけなのか、具体的な取り組みが示されているのかを読み比べるだけでも、その事業者の姿勢を掴む手がかりになります。すべての店やサービスを一度に見直す必要はなく、まずは1店舗・1サービスから始めれば十分です。

まとめ

エシカルフードサービスは、価格の高さや特別な業態を指す言葉ではなく、調達・環境負荷・労働環境・動物福祉といった複数の観点への配慮を示す考え方です。認証ラベルの有無だけで判断するのではなく、食品ロス対策や産地表示、選択肢の幅広さといった複数の視点を組み合わせて見ていくと、実態に近い判断がしやすくなります。

  • エシカルフードサービスとは調達・環境・労働・動物福祉に配慮した食のサービス全般を指す考え方
  • 認証ラベルの有無だけでなく、食品ロス対策や産地表示など複数の視点を組み合わせて確認する
  • まずは利用中の店やサービスの調達方針ページを1つ確認するところから始められる

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

参考文献

  • 消費者庁「エシカル消費」特設サイト(https://www.ethical.caa.go.jp/)
  • 農林水産省「食品ロス・食品リサイクル」ページ(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/)
  • 環境省「食品ロスポータルサイト」(https://www.env.go.jp/recycle/foodloss/)

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