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LIFESTYLE

若者はお酒より「場」を楽しんでいる|カクヤス×筑波大の共同調査が示す飲酒観の変化

若年層の飲酒実態調査の結果イメージ

お酒の場で本当に楽しんでいるのは、お酒そのものではなく、人との時間なのかもしれません。酒類販売を手がけるカクヤスグループが2026年6月9日に公表した、筑波大学との共同調査の結果から、そんな傾向が浮かび上がりました。20代〜30代の1,263名を対象とした今回の調査は、若い世代のお酒との関係が大きく変わりつつあることを、具体的な数字で示しています。

調査の概要|1,263名が答えた、お酒との付き合い方

この調査は、筑波大学の吉本尚准教授(健幸ライフスタイル開発研究センター長)との共同研究「酒・飲食文化の継承や発展に影響を与える要因に関する総合的研究」の一環として実施されました。対象は20代〜30代の1,263名(うち飲酒者1,018名)で、2025年12月から2026年1月にかけてインターネット調査などの方法で行われています。回答者の平均年齢は27.2歳です。

健康科学の観点から若年層の飲酒行動を体系的に分析した点が、この調査の特徴です。単に「飲む・飲まない」を問うのではなく、飲み会への参加動機や飲酒シーン、健康意識との関係まで幅広く聞いており、現代の若者のお酒観を多角的に捉えています。

飲み会の目的は「交流」|お酒は会話を彩る脇役へ

調査結果でもっとも注目されるのは、飲み会への参加理由です。最多だったのは「友人・知人との交流」で82.6%にのぼります。続いて「会社の付き合い・関係向上」が69.7%、「人と会話を楽しむため」が63.0%と並びました。一方、「お酒や食事を楽しむため」は58.0%にとどまり、飲食そのものよりも人と関わることへの期待が上回っています。

飲酒の動機でも同様の傾向が見られました。「社交的な集まり」が68.6%、「楽しいため」が66.8%と、人とのつながりを楽しむ理由が上位を占めています。お酒は目的というより、人と過ごす時間を豊かにするための手段として位置づけられているようです。

飲酒のシーンとして最も多かったのは「友人・知人との飲み会」で90.6%、次いで「会社の飲み会・接待」が75.0%、「家でリラックス」が54.9%と続きました。顔を合わせる場面でお酒が会話をなごませる役割を担っている様子が、数字からも読み取れます。

大学生の半数は「非飲酒層」|多様化する若者の飲み方

飲む頻度には大きな幅がありました。社会人では「週5日以上」飲む人が25.1%いる一方、大学生では「非飲酒層」が50.0%を占めるという対照的な結果が出ています。同じ若年層でも、学生と社会人のあいだでお酒との距離感は大きく異なります。

飲む相手については「同僚・同級生」が78.6%でもっとも多く、「上司・先輩」が72.9%と続きました。職場や学校のコミュニティの中でお酒が共有される様子が見て取れます。

飲酒を控える理由としては「健康上の理由」を挙げた人が64.5%にのぼります。飲む人も飲まない人も含めて、お酒との距離は一人ひとり自分で選んでいます。こうした傾向は、世界的に広がる「ソーバーキュリアス(Sober Curious)」と呼ばれるムーブメントとも重なります。ソーバーキュリアスとは、必ずしも断酒を目的とするのではなく、お酒を飲まない時間を意識的に選ぶライフスタイルです。国内でもノンアルコール飲料市場が拡大を続けており、飲み会の場での選択肢が多様化しています。

世界が認めた日本の酒造り文化|ユネスコ登録の意味

この調査の背景には、2024年12月に「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたという出来事があります。杜氏や蔵人がこうじ菌を活用し、長年の経験の中で磨き上げてきた酒造りの技術で、その原型は500年以上前にさかのぼるとされています。清酒・焼酎・泡盛など日本各地に根づく多様な発酵文化が、国際的にも評価された形です。

一方で、若い世代がお酒を飲む量・機会ともに減少傾向にある中、この文化をどう次の世代へ受け継ぐかは、酒蔵や業界全体にとって切実な問いとなっています。カクヤスグループが筑波大学と共同研究を行う背景にも、単なる販売促進ではなく、酒文化の継承という長期的な視点があります。

エシカル消費の観点からも、地域の酒蔵や小規模生産者を選ぶことが、伝統文化の保全につながると考えることができます。

カクヤスグループの取り組み|「届ける」から「つなぐ」へ

1921年に創業し、2021年に100周年を迎えたカクヤスグループは、首都圏を中心に酒類の宅配サービスを展開する企業です。今回の研究を通じて、「お酒を届けるだけでなく、文化と対話の場を次の世代へつなぐ」という姿勢を明確にしています。

具体的な取り組みとしては、女性の杜氏の育成支援や地域の酒蔵との連携、そして適正な飲酒(アルコールとの健全な関わり方)の啓発活動が挙げられています。飲酒量を増やすことを目指すのではなく、お酒を介した人のつながりと文化の継承を軸に据えた方向性は、企業の社会的責任(CSR)の観点からも注目に値します。

節度ある飲酒の啓発は、厚生労働省が推進する健康日本21とも方向性が一致します。2024年2月には「飲酒ガイドライン」が新たに公表され、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として、純アルコール量で1日あたり男性40g以上、女性20g以上という具体的な目安が示されました。企業が自社の事業に関わる健康課題に向き合うことの意義が、改めて問われています。

「飲まない選択」も尊重される場をつくるために

調査結果が示すとおり、若い世代はお酒よりも「その場にいること」に価値を置いています。この傾向は、職場や友人関係における飲み会文化にも変化を促しつつあります。参加したいけれど飲まない、あるいはノンアルコールで参加する、という選択が当たり前になりつつある今、場を主催する側にも「飲まなくても居心地がよい」環境づくりが求められています。

ノンアルコール飲料の選択肢を増やすこと、アルコールを強いない雰囲気をつくること、そして飲む量ではなく話す内容で場を盛り上げること。こうした小さな工夫の積み重ねが、誰もが参加しやすい場をつくります。

調査では、大学生の50%が非飲酒層であるという結果も出ています。飲み会に誘う際には、相手のお酒との距離感を確認してみることが、関係を深めるうえでの最初の一歩になるかもしれません。

まとめ|「何を飲むか」より「誰と過ごすか」

カクヤスグループと筑波大学の共同調査が明らかにしたのは、20代・30代の若者にとってお酒が「目的」ではなく「手段」になっているという現実です。飲み会に参加する理由の首位は「友人・知人との交流」(82.6%)であり、飲む量や種類よりも、その場で誰と何を話すかを大切にしている様子がうかがえます。

同時に、大学生の半数が非飲酒層であることや、健康上の理由で飲酒を控える人が64.5%にのぼることは、多様な飲み方・飲まない選択が共存している現状を示しています。ユネスコ無形文化遺産に登録された日本の酒造り文化を次世代へつなぐためにも、飲む人・飲まない人の双方が参加できる場を社会全体で考えていく時期に来ているといえるでしょう。

  • 飲み会参加理由の1位は「友人・知人との交流」(82.6%)で、お酒そのものより人とのつながりが目的になっている
  • 大学生の50%が非飲酒層、健康上の理由でお酒を控える人は64.5%と、お酒との距離は多様化している
  • 2024年12月にユネスコ無形文化遺産へ登録された「伝統的酒造り」の継承が、業界全体の課題になっている
  • 「飲まない選択」が尊重される場づくりが、これからの飲み会文化をより開かれたものにする

次にだれかと食卓を囲む機会があるとき、お酒の量よりも「その場の会話を少しだけ大切にする」という意識をひとつ持ってみてください。それだけで、場の空気は変わります。

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