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ENVIRONMENT

再エネの系統接続はなぜ止まる?出力制御の仕組みと家庭でできる対策

Photo by Mirco Colosi on Unsplash

太陽光や風力の発電所は増えているのに、「系統に接続できない」「発電しても止められる」というニュースを見た人は多いのではないでしょうか。再エネそのものの発電コストは下がってきましたが、発電した電気を送電網に乗せる部分、つまり系統接続に時間もコストもかかるという課題が、政策資料や電力会社の公表データから見えてきます。数字を手がかりに、系統接続の現状と、生活者として知っておきたい視点を整理します。

系統接続がボトルネックになっている理由

系統接続とは、発電所を既存の送電線や変電所につなぎ、実際に電気を流せる状態にする手続きと工事のことです。日本の送電網はもともと大規模な火力・水力発電所を前提に設計されてきたため、太陽光や風力のように出力が変動し、かつ設置場所が分散する電源が急増すると、既存の線に空き容量が足りなくなる地点が出てきます。

2020年10月に当時の菅義偉首相が2050年のカーボンニュートラルを宣言し、その後2030年度の温室効果ガス排出削減目標も示されたことで、再エネの導入拡大が国のエネルギー政策の中心課題になりました。ところが導入量が増えるほど、送電網の空き容量という物理的な制約が先に表面化する、という順序で問題が可視化されてきたのが日本の系統接続を取り巻く状況です。

出力制御という「発電しても使えない」現象

系統の容量を超えそうになったとき、電力会社は再エネ発電設備の出力を一時的に下げる「出力制御」を行います。日本で離島以外の本土エリアとして最初に実施されたのは2018年10月の九州エリアで、太陽光の導入が全国でも早いペースで進んだ地域から先に制約が表面化した事例として知られています。その後、出力制御は九州だけでなく東北・中国・四国・北陸・沖縄など複数のエリアに広がっていると報告されており、太陽光の導入が進む地域ほど発生しやすい傾向がうかがえます。発電事業者にとっては、せっかく発電した電気の一部を売電できないことを意味し、事業計画の採算にも影響します。

政府が進める系統対策 日本版コネクト&マネージ

こうした空き容量不足に対して、資源エネルギー庁は既存の送電線を新設せずに最大限活用する「日本版コネクト&マネージ」という考え方を打ち出しました。柱となるのは「想定潮流の合理化」「N-1電制」「ノンファーム型接続」という3つの運用の見直しで、いずれも新しい線を引く前に今ある線の使い方を工夫するという発想に立っています。

ノンファーム型接続という新しい選択肢

このうちノンファーム型接続は、2021年1月から一部の基幹系統で適用が始まった仕組みで、空き容量がゼロの系統でも「混雑時には出力制御を受け入れる」という条件付きで新規接続を認めるものです。従来は空き容量がなければ接続そのものが順番待ちになっていましたが、この仕組みにより接続の機会自体は広がった一方、実際にどの程度出力制御を受けるかは地域や時期によって差があるとされています。系統に接続できることと、いつでも全量発電できることは、必ずしも同じではないという点が、この制度を理解するうえでの重要な分岐点です。

プッシュ型の系統整備へ

もう一つの流れが、送電網そのものを増強する計画の立て方の変化です。電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、個別の発電事業者からの申込みを待って線を増強する従来型ではなく、将来の再エネ大量導入を見込んであらかじめ広域的に系統を整備する「プッシュ型」の系統整備計画を進めています。地域間をつなぐ連系線の増強など、時間のかかる大規模工事を前倒しで進める発想であり、系統接続の順番待ちを長期的に解消する取り組みとして位置づけられています。

系統制約が再エネ普及の速度を左右する

系統接続の混雑は、単に一部の発電事業者だけの問題ではありません。再エネの主力電源化という国の方針を実現するペースそのものが、系統整備の進み方に左右される構造になっています。政府はエネルギー基本計画の中で将来の電源構成における再エネの比重を高める方針を示していますが、具体的な年度別の数値や達成状況は経済産業省・資源エネルギー庁が公表する資料で更新されているため、関心のある方は最新版を確認することをおすすめします。

複数の情報を並べて見えてくるのは、「発電設備を増やす政策」と「送電網を増やす政策」の間にタイムラグがあるという構造です。発電所の建設は数年単位で完了しますが、送電線の増強は用地確保や工事期間を含めると10年前後かかることも珍しくありません。系統接続のニュースを見るときは、この時間差を頭に置いておくと、なぜ「発電量は増えているのに出力制御も増えている」という一見矛盾した状況が同時に起きるのかが理解しやすくなります。

家庭や事業者が今日からできること

系統の話は電力会社や政府だけの課題に見えますが、需要側の行動も系統の混雑緩和に関わってきます。

太陽光導入前に空き容量を確認する

自宅や事業所に太陽光発電の導入を検討している場合、契約予定の電力会社が公開している系統情報のページで、その地域の空き容量やノンファーム型接続の適用状況を確認できます。工事費の見積もりだけでなく、系統面での制約があるかどうかを事前に販売店に確認しておくと、想定外の出力制御による収益への影響を把握しやすくなります。

蓄電池やEVで自家消費のタイミングをずらす

家庭用蓄電池や電気自動車(EV)を使い、発電が多い日中に充電して夜間や需要が高い時間帯に使う、という自家消費のシフトも、系統への負荷を分散させる行動の一つです。多くの電力会社がデマンドレスポンスと呼ばれる需要調整プログラムを提供しており、参加することで系統全体の混雑緩和に間接的に協力できます。

まずは、自分の住む地域を管轄する電力会社の系統情報公開ページを一度のぞいてみることから始めてみてください。空き容量の状況を知るだけでも、再エネや電力にまつわるニュースの見え方が変わってきます。

まとめ

再エネの系統接続は、発電コストの低下だけでは解決できない、送電網というハードウェアの制約と向き合う課題です。出力制御やノンファーム型接続といった仕組みの背景を知っておくと、再エネ普及のニュースをより正確に読み解けるようになります。

  • 系統接続の混雑は送電網の空き容量不足が原因で、出力制御という形で表面化する
  • ノンファーム型接続やプッシュ型の系統整備など、既存インフラを生かしつつ増強を進める取り組みが進行中
  • 太陽光導入前の空き容量確認や、蓄電池・EVでの自家消費シフトが読者にできる具体的な行動になる

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

参考文献

  • 資源エネルギー庁「電力・ガス政策(再生可能エネルギー・系統関連情報)」(https://www.enecho.meti.go.jp/)
  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)公式サイト「系統整備・広域系統長期方針関連情報」(https://www.occto.or.jp/)
  • 経済産業省 公式サイト「エネルギー政策関連情報」(https://www.meti.go.jp/)

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