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サステナブル建築とは?誰でもわかりやすくかんたん解説|2026年の日本の制度と選び方

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サステナブル建築とは、建物をつくり、使い、解体するまでのすべての段階で環境への負荷を抑えながら、そこで過ごす人の快適さや地域との調和も保つ建築の考え方です。新しいビルやマンションの紹介で目にする機会が増えましたが、「省エネの建物のこと?」「木造ならサステナブル?」と迷う方もいるでしょう。この記事では定義を押さえたうえで、2025年4月に始まった日本の制度、ZEBやCASBEEといった評価のものさし、木造ビルなどの実践例、物件を選ぶときの確認ポイントまで順に見ていきます。

この記事で学べること

  • サステナブル建築の3つの視点と、具体的な技術の例
  • 2025年4月から新築に求められている省エネ基準と、東京都・国の最新の動き
  • CASBEE・ZEB・ZEHの違いと、誤解されやすいポイント
  • 住まいやオフィスを選ぶときに確認したい項目
目次

サステナブル建築の考え方|地球・地域・生活の3つの視点

日本で使われる代表的な定義では、サステナブル建築は次の3点を満たす建築物とされています。地域の生態系が受け止められる範囲内で、建築のライフサイクルを通じて省エネルギー、省資源、リサイクル、有害物質の排出抑制を図ること。地域の気候、伝統、文化、周辺環境と調和すること。そして、将来にわたって人の生活の質を適度に保ち、高めていけることです。言葉は堅いのですが、環境への配慮、地域との関係、暮らしやすさを同時に考える建築と捉えると理解しやすくなります。

この考え方は、地球・地域・生活という3つの視点に分けて見ると整理しやすくなります。

地球にとっての持続可能性

建物の建設や運用で使うエネルギーを減らし、再生可能エネルギーを取り入れ、長く使える建物にして資材の循環を進める視点です。省CO2、節電、建物の長寿命化、環境負荷の小さい建材の採用などがここに入ります。

地域にとっての持続可能性

屋上や壁面の緑化によるヒートアイランド現象の緩和、地域の生き物への配慮、防災機能の強化など、建物の外側に及ぶ影響を考える視点です。建物を地域の自然や文化の一部として位置づけ、周辺の暮らしと調和させることを目指します。

生活にとっての持続可能性

環境への配慮が、住む人や働く人の我慢の上に成り立っていては続きません。自然光を取り込んだ明るい室内、断熱性を高めて季節を通じて安定した室温、新鮮な空気環境など、快適さと環境配慮を両立させる視点です。

現場で使われる具体的な技術

断熱材の強化、日射を考えた窓の配置、太陽光パネルの設置は、冷暖房にかかるエネルギーを減らす基本の手段です。屋上緑化は日射を遮り、建物の内部温度を安定させる効果が期待できます。ほかにも、LED照明やセンサー照明、夜間につくった冷熱を昼間に使う蓄熱式空調、雨水や排水を再利用する水の循環システムなどが組み合わされます。一つひとつは地味ですが、積み重ねることで建物全体の環境性能が決まります。

建築が気候に与える影響|使うときとつくるときの排出

サステナブル建築がなぜ求められるのか。その背景には、建築・建設分野の排出量の大きさがあります。国連環境計画(UNEP)と建築・建設に関する国際連携組織GlobalABCがまとめた「Global Status Report for Buildings and Construction 2025–2026」では、建築・建設セクターは世界の排出量の約37%を占めると報告されています。そのうち、建材の製造や輸送、施工に伴う排出は約15%とされています。

排出は大きく二つに分けて考えると、対策の方向が見えてきます。

使っている間の排出(オペレーショナルカーボン)

冷暖房、給湯、照明、換気など、建物を日々使うことで出るCO2です。断熱性能の向上、高効率な設備、太陽光発電などで減らせるため、これまでの省エネ対策の中心でした。

つくるときの排出(エンボディドカーボン)

セメント、鉄鋼、アルミニウムなどの建材の製造や、運搬、施工で出るCO2です。同報告書では、セメント、鉄鋼、アルミニウム由来の排出は年間約2.1ギガトンのCO2で、横ばいが続いているとされています。この部分は建てた瞬間に排出が確定するため、建てた後の努力では取り返せません。使う素材を選ぶこと、そして既存の建物を壊さずに長く使うことが重要になります。

使っている間の排出に加えて、つくるときの排出まで含めて建物の一生を見る。この発想が、いま世界と日本の制度の両方で広がっています。次の章では、日本の制度の現在地を確認します。

日本の制度の現在地|義務化から建築物LCAまで

サステナブル建築は、いまや「意識の高い一部の建物」だけの話ではなく、法制度によって最低ラインが引き上げられつつあります。ここでは、読者の暮らしに近い順に三つの動きを紹介します。

2025年4月から、新築は原則すべて省エネ基準への適合が必要に

建築物省エネ法の改正により、2025年4月から、原則としてすべての新築住宅と非住宅に省エネ基準への適合が義務づけられました。適合しているかどうかは建築確認の手続きの中で審査され、適合しない計画には建築確認済証が交付されません。国土交通省は、2030年には「ZEH水準の省エネ住宅」が新築の標準になるとの方針も示しています。

これは、家を建てる人や買う人にとって、断熱や設備の最低ラインが以前より底上げされたことを意味します。同じ時期に、建築基準法の改正で小規模な木造住宅などの審査の特例(いわゆる4号特例)も縮小されました。

東京都の太陽光パネル設置制度

東京都は2025年4月から、大手ハウスメーカー等を対象に、新築建物への太陽光パネルの設置などを求める制度を始めました。対象は都内での年間供給延床面積が合計2万㎡以上の事業者で、対象となる建物は延床面積2,000㎡未満の新築です。

誤解されやすい点ですが、義務を負うのは事業者であり、都民が自宅に太陽光パネルを付けなければならないわけではありません。事業者は日照条件や屋根の形状などを踏まえて設置を判断するため、すべての建物に設置されるとも限りません。

2028年度をめどに、建築物のライフサイクルカーボン評価制度へ

国土交通省の発表によると、2026年7月に公布された改正建築物省エネ法で、建築物ライフサイクルカーボン評価制度が創設されました。計画から解体までの一生で出るCO2を算定して評価する「建築物LCA」を促す制度で、2028年度を目途に開始することが目指されています。制度設計を話し合う検討会は2025年6月に始まり、2026年1月に中間とりまとめが公表され、2026年10月5日には第8回が予定されています。

背景には海外の動きもあります。環境省の資料によると、EUは2024年に建築物エネルギー性能指令を改正し、2028年から1,000㎡超の新築建築物にライフサイクルGWP(地球温暖化係数で表した排出量)の算定と開示を求め、2030年からはすべての新築建築物に広げるとされています。日本でも算定ツール「J-CAT」が2024年に公開されており、前章で見た「つくるときの排出」を見える化する土台が整いつつあります。

評価のものさし|CASBEE・ZEB・補助制度

「サステナブルな建物です」と言われても、その中身を確かめる手段がなければ判断できません。日本には、建物の環境性能を示すいくつかのものさしがあります。

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)

CASBEEは、日本で開発された建築物の環境性能の評価システムです。建物の環境品質(Q)を、外部への環境負荷(L)で割った「BEE」という値で、建物の環境性能効率を表します。BEEの大きさに応じて、ランクが決まります。神戸市の公表資料によると、基準は次のとおりです。

  • Sランク(素晴らしい)は、BEEが3.0以上かつQが50以上
  • Aランク(大変良い)は、BEEが1.5以上3.0未満
  • B+ランク(良い)は、BEEが1.0以上1.5未満
  • B−ランク(やや劣る)は、BEEが0.5以上1.0未満
  • Cランク(劣る)は、BEEが0.5未満

CASBEEは自治体の届出制度でも使われており、一定規模以上の建築では評価結果の提出を求める自治体があります。なお、不動産向けの評価など、用途別のツールではランクの区分が異なる場合があります。

ZEB・ZEH(エネルギー収支ゼロを目指す建物)

ZEB(ゼブ)はオフィスなど住宅以外、ZEH(ゼッチ)は住宅を対象に、省エネと創エネで年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロに近づける考え方です。環境省のZEBの区分では、基準となる一次エネルギー消費量に対し、再生可能エネルギーを除いて50%以上削減し、再生可能エネルギーを含めて100%以上削減するものが「ZEB」です。再生可能エネルギーを含めて75%以上100%未満の削減が「Nearly ZEB」、再生可能エネルギーを含めない50%以上の削減が「ZEB Ready」となります。さらに、延べ面積1万㎡以上などの要件のもと、用途に応じて30%または40%以上を削減するものが「ZEB Oriented」です。

ここで押さえたいのは、ZEBやZEHが示すのはおもに「使っている間のエネルギー」であり、建材の製造など「つくるときの排出」まで評価するものではないという点です。

国の補助(サステナブル建築物等先導事業)

国土交通省は、先導的な技術を取り入れた住宅や建築物を支援する「サステナブル建築物等先導事業」を行っています。2025年度は「省CO2先導型」として、一般部門と中小規模建築物部門の2部門で提案を募集し、ライフサイクルカーボンを的確に算出して削減する取り組みを積極的に評価するとされました。その後の年度では、名称がLCCO2評価先導型に改められたと報じられており、国の関心が使っている間の省エネから建物の一生へ移っていることがうかがえます。公募の条件は年度ごとに変わるため、利用を考える場合は最新の募集要領の確認が必要です。

実践例|木造ビルとハイブリッド木造

つくるときの排出を減らす手段の一つとして、日本では木材の活用が広がっています。木は成長する間に二酸化炭素を吸収し、建物の中でも炭素を長く蓄えられます。鉄やコンクリートに比べて、製造に必要なエネルギーが少ないことも利点とされています。ここでは、複数の企業の取り組みを見てみます。

三井不動産と竹中工務店の木造オフィス

三井不動産が東京の日本橋で進める「日本橋本町三井ビルディング &forest」は、地上18階、高さ84メートルの木造オフィスビルです。構造材には国産材を合計1,100立方メートル使い、同規模の鉄骨造のビルと比べて約30%のCO2削減効果が期待できるとされています。設計と施工は竹中工務店です。この約30%は同規模の鉄骨造との比較で見込まれた試算値であり、条件が変われば数字も変わる点には注意が必要です。

長谷工コーポレーションのハイブリッド木造マンション

長谷工コーポレーションの「ブランシエスタ目黒中央町」は、鉄筋コンクリート造と木造を組み合わせたハイブリッド構造の集合住宅です。一般的な在来木造工法で実現した点が評価され、2025年度のグッドデザイン賞を受けたと同社が発表しています。全体を木造にするのではなく、部位ごとに素材を使い分けて、現実的なコストと安全性のなかで木の利点を取り入れる方法です。

二つの事例から見えること

二つの事例に共通するのは、「木を使うこと」自体が目的ではなく、建物の一生で出るCO2を減らす手段として素材を選んでいる点です。そのため、CO2削減量は何と比べた数字なのか、構造体だけの比較なのか、建物全体なのかを確かめて読む必要があります。どちらも新しい試みであり、長期の維持管理や解体時の扱いまで含めた効果は、これから検証が進む段階にあります。

誤解されやすい3つのポイント

サステナブル建築は、聞こえのよい言葉であるだけに、思い込みで判断してしまうことがあります。特に誤解されやすい点を整理します。

「ZEBならサステナブル建築」とは限らない

ZEBやZEHは、使っている間のエネルギー収支を示すものです。ZEBを取得していても、建材の製造で出た排出や、周辺の自然環境への影響、居住者の快適性まで評価されているわけではありません。サステナブル建築の3つの視点のうち、おもに「地球」の一部を測っている指標と理解しておくと、見誤りにくくなります。

「木造だから環境にいい」とは限らない

木材を使うことで排出が減る効果は期待できますが、木材の産地や調達の方法、輸送距離、森林が適切に管理されているか、建物を長く使えるかによって結果は変わります。先ほど紹介した三井不動産の事例でも、国産材の使用量や比較対象が公表されています。木造という見た目や名称だけでなく、根拠となる数字が示されているかを確認したいところです。

「初期費用が高いから元が取れない」と決めつけない

高性能な材料や設備を採り入れるため、初期投資が増える傾向はあります。設計や施工の難易度が高いことも、課題の一つです。一方で、断熱や省エネ設備によって光熱費が下がれば、長い目で負担を取り戻せる可能性があります。補助制度が使えることもあります。ただし、回収にかかる年数は建物の規模や使い方で大きく変わるため、「必ず元が取れる」とも「取れない」とも言い切れません。見積もりの段階で、光熱費の試算と合わせて検討することが大切です。

住まい・オフィスを選ぶときの確認ポイント

ここまでの内容を、実際の選択に生かすための視点をまとめます。これから寒くなる季節は、断熱や窓の性能の差を実感しやすい時期でもあります。物件を見学する際に、意識してみてください。

住まいを探すとき

分譲でも賃貸でも、省エネ性能がラベルや数値で示されているかを見ましょう。BELS(建築物省エネ性能表示制度)などの第三者評価の有無や、断熱性能を示す等級が参考になります。窓の仕様、日当たり、太陽光パネルの有無、共用部の照明など、設備の細部にも省エネの工夫が表れます。2025年4月以降の新築は省エネ基準への適合が必須になったため、その基準をどれだけ上回っているかが、物件の違いを見るポイントになります。

オフィスや商業施設を使うとき

テナントとして入る場合や、勤め先を選ぶ場合は、CASBEEやZEBの認証があるかを確認できます。確認するときは、ランクや区分だけでなく、「建物全体の評価か、一部の用途の評価か」も見ておくと正確です。

家を建てる・リフォームするとき

法律で最低ラインが上がったとはいえ、その先の性能は選択に委ねられています。工務店やハウスメーカーに、断熱性能や設備の仕様、光熱費の試算を具体的に聞いてみましょう。補助制度は年度ごとに内容が変わるため、契約前に最新の情報を確認することをおすすめします。また、東京都のように自治体独自の制度がある地域では、都や市区町村の窓口で確認すると見落としを防げます。

まとめ

サステナブル建築は、環境への負荷を抑えながら、地域との調和と暮らしやすさも保つ建築の考え方です。地球・地域・生活の3つの視点で捉えると、断熱や省エネ設備といった技術が、何のためにあるのかが見えてきます。2025年4月からは新築に省エネ基準への適合が求められ、2028年度をめどにライフサイクルカーボンの評価制度が始まる予定です。評価の中心は、使っている間の省エネから、建物の一生へと広がっています。

一方で、ZEBや木造といった言葉だけで、サステナブルかどうかを判断することはできません。何を測った数字なのか、何と比べているのかを見る習慣が、グリーンウォッシュに惑わされないための助けになります。まずは気になる物件や建物について、省エネ性能のラベルやCASBEEなどの評価が示されているかを、1つだけ調べてみてください。

  • サステナブル建築は、地球・地域・生活の3つの視点で環境配慮と快適さを両立する考え方
  • 2025年4月から新築は原則すべて省エネ基準への適合が必要になり、2028年度をめどにライフサイクルカーボン評価制度の開始が目指されている
  • CASBEEは環境性能の総合評価、ZEB・ZEHは使用時のエネルギー収支を示すもので、測る範囲が異なる
  • 物件を選ぶときは、評価の範囲と比較条件、省エネ性能の表示の有無を確認する

参考文献

  • 記事を書いたライター
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