「レスポンシブル調達」とは、サプライチェーンの各段階において、倫理的かつ持続可能な製品やサービスの積極的な調達を、企業が確実にしていることを意味します。企業が原材料やサービスを購入する際に、単なる価格や品質だけでなく、環境や人権、労働条件といった社会的責任を考慮しながら調達先を選ぶ取り組みです。
レスポンシブル調達が求められる背景
従来、企業の調達活動は「コスト」「品質」「納期」の3つを重視していました。しかし、グローバル化したサプライチェーンの中で、遠い国の工場での労働搾取、環境破壊、違法採掘など多くの問題が明らかになってきました。
材料が責任ある方法で調達されないと、森林破壊、汚染、土壌侵食などの環境問題が起こり、気候危機に寄与する可能性があります。このため、企業は自社製品がどのような環境や条件で作られているかを把握し、責任をもって調達を進める必要が生まれたのです。
レスポンシブル調達に含まれる主な要素
倫理的に調達する際には、資源利用の責任ある管理と、原材料やサービスを世界規模で調達する際の倫理、労働権、社会的・環境的課題を考慮する必要があります。具体的には以下のような項目が対象になります。
環境面では、森林破壊を避けた素材利用、温室効果ガスの削減、リサイクル可能な素材の選択などが挙げられます。社会面では、児童労働の禁止、適切な賃金と労働条件の確保、現地コミュニティへの配慮などが重要です。さらに、サプライヤー企業そのものの経営姿勢や法令遵守状況も確認の対象となります。
企業における実践の方法
責任ある調達は調達部門の主要な戦略目標として、全地域や個別目標に組み込まれています。企業はサプライヤーに行動規範(サプライヤーコード)の遵守を義務づけ、すべての新しいサプライヤーはビジネスに関わる前に正式にそれを承認する必要があります。
多くのグローバル企業では、サプライヤーに対する監査やアセスメントを定期的に実施しています。
合規性を確認するため、毎年関連するサプライヤーを対象にSedex SMETAの監査を実施し、EcoVadisの評価も用いてサプライヤーベースの持続可能性の成熟度を評価・改善しています。
私たちが取り組めること
レスポンシブル調達は企業だけの課題ではありません。消費者としても私たちは、企業の責任ある調達を後押しすることができます。例えば、商品を購入する前に、その企業がどのような調達方針を持っているのかを確認することや、透明性の高い企業を選ぶことです。環境配慮や人権尊重を謳う商品やブランドを意識的に選ぶことで、企業の責任ある調達の取り組みに投票する力となります。
また、学校や職場で「自分たちが使う文房具やパソコンがどこからきたのか」「どのような環境で作られたのか」を問い直す姿勢も大切です。
グローバルな企業が複雑化するサステナビリティ関連のサプライチェーン管理プロセスを調和させ、ビジネスパートナー間のつながりを最適化することで、資源をより効率的に使用できるようになります。こうした仕組みが広がることで、世界中の労働者の尊厳や地球環境がより守られる社会へとつながっていくのです。

