SDGsという言葉が広く知れ渡るよりも前から、カシオ計算機株式会社(以下、カシオ)は環境負荷の少ない製品を作り、発明を通して人々や社会に貢献してきました。
激変する社会情勢や事業環境のなか、カシオはSDGsにどう取り組むのか。同社のサステナビリティコンセプトや具体的な取り組み内容をご紹介します。
環境に配慮した事業活動は企業活動における重要課題の1つ
従来より、カシオは小型・軽量・薄型・省電力など環境負荷の低い商品を多く生み出してきました。これは、かねてより環境に配慮した事業活動が重要課題であるとの認識を持っていたことが背景に挙げられます。
2050年度には温室効果ガス排出実質ゼロを目標として掲げ、2030年度の目標も設定しています。2021年にはSBTiから認定を取得し、「RE100」に加盟したほか、国内6拠点の電力における100%再生可能エネルギー化の取り組みなど、社会と環境に配慮した活動を行っています。
カシオが掲げるサステナビリティコンセプト
カシオの経営理念である、「創造 貢献」。この言葉には、それまでにない斬新な働きを持った製品を提供することで、社会貢献を実現するという創業者の想いが込められています。この経営理念を心に持ち実践を重ねていくことこそ、カシオが長期的に企業として成長し、社会的な責任が果たせると考えられています。
カシオのサステナビリティコンセプトは、以下の5つの柱で構成されており、これらの計画や戦略などは各事業が具体的な目標へと落とし込み実践しています。
経営理念とサステナビリティ経営
「創造 貢献」の理念を働く一人ひとりが継承し、「0→1」を生む事業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献できるよう、6つのマテリアリティを定めています。また、グループすべての役員・従業員が法令や社内規則を順守した倫理的な行動をとるための「カシオビジネスコンダクトガイドライン」を定め規範としています。
サステナビリティ中期重点戦略
サステナビリティの推進にあたり、中期重点戦略として体制を構築し戦略と目標を定め、PDCAに取り組んでいます。2020年に掲げた中期重点戦略では、新型コロナウイルス感染症によって一部の計画が見直しになりましたが、温室効果ガス削減目標が「SBTi」の認定を取得し国内主要事業所6拠点の電力を再生エネルギー由来のものへシフトするなど、確実に目標達成に向けた取り組みが進んでいます。次期中期重点戦略については、「New CASIO C30プロジェクト」と連動して進める考えです。
環境・社会側面のマテリアリティ
国際社会からの要請に基づいた取り組みを推進することは、グローバルに事業を展開するカシオにとって非常に重要だと考えています。2013年5月に発行された「GRIガイドライン第4版(G4)」に対応し重点的に取り組むマテリアリティを特定し、PDCAサイクルで進捗を図っています。
サステナビリティ目標
カシオのサステナビリティ目標は2019年に中期経営計画と合わせて策定しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響によってその内容を見直さざるを得なくなりました。現在、新たなサステナビリティ目標の見直しを進めているところです。
TCFD提言に基づく情報開示
カシオは、2021年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しています。現在の気候変動課題に対するリスクについて、その重要度を評価し、適切な対応をとっているところです。今後についても、環境変化を踏まえながら定期的にリスクの分析を行い、関係組織が連携を図りながら対処していきます。
紙素材への切り替えで「脱プラ」に。年間約340tのプラスチック削減
2023年6月より、国内で販売しているカシオの一般電卓や関数電卓のパッケージはプラスチックから紙素材へと変更になります。すでに紙素材へと移行していた海外向けの製品と合わせると、年間約340tものプラスチック使用量削減につながると見込んでいます。
パッケージ素材を変更しても実物のサイズ感やデザインが分かるように、外箱のデザインを実寸サイズの製品画像に。パッケージそのものの小型化により、輸送時の効率化やCO2削減といったメリットも生まれます。
さらに、カシオでは紙の使用量削減にも取り組んでおり、従来の紙の取り扱い説明書は廃止しました。代わりに、保証書と注意事項、操作説明やアフターサービスについて確認できるQRコードのみ記載された、従来の1/4サイズまで縮小した紙を同梱。利用ユーザーは必要な情報を確認できるようになっています。
脱プラへの取り組みは、電卓だけに限ったことではありません。時計製品ではバイオマスプラスチック素材の採用やプラスチックごみの少ないカートリッジを使ったラベルライターなど、これまで多くの製品で環境に配慮した取り組みを進めており、継続的に実施しているところです。
「低炭素社会の実現」から「脱炭素社会の実現」へ
近年の豪雨による河川の氾濫や土砂災害は、日本だけでなく世界各地の人々の生活を脅かすほどの規模となることも少なくありません。これには温室効果ガスの濃度上昇に起因する地球温暖化や気象現象の変化が関わっており、国連気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)での「パリ協定」では世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標達成の具体的な指標として掲げています。
国際的な認識が「地球温暖化」から「気候変動」へと変わり、その先の「気候危機」にまで到達しうる世の中で、カシオの長期目標も「低炭素社会の実現」の先にある「脱炭素社会の実現」へと変更しました。
「脱炭素社会の実現」の推進のために、科学的知見に基づいた中長期目標を設定し、SBTi(Science Based Targets initiative)の認定を取得。事業活動で使用する電力は、100%再生可能エネルギー由来を目指すRE100へ加盟し、目標達成に向けた取り組みを実施しています。
お客様とともに資源循環型社会の実現へ
地球の限りある資源を有効に活用することは、環境や生態系を守ることにつながります。しかし実際は、急速な経済成長によって多くの天然資源が失われ、自然が破壊され、廃棄物の処分に伴う課題が発生するなど継続した危機にさらされているのが現実です。
カシオは、リデュース・リユース・リサイクルの取り組みによって、事業活動から発生した再資源化率は80%以上を達成していますが、より一層の改善が必要であると認識しています。さらにお客様の手にわたった製品が、その後廃棄される際の再資源化に向けた取り組みも求められていると考えています。
「カシオグリーンスター製品」とは、開発からご使用後の再資源化に至るまでのさまざまな段階において、環境に配慮した製品であることを目指したものであり、同製品の売上比率を2021年度実績の76%から2025年度までに90%を目指すなど、資源循環型社会の実現のためにより一層の拡大を目標としています。
また、事業活動から発生する廃棄物をなくす取り組みとして、ゼロエミッション化も目標にしています。具体的には、事業活動から発生する廃棄物の削減および再資源化率の向上、水の使用量削減などが挙げられます。お客様の使用済みの一部の製品については、自主的に回収しリサイクルする取り組みを行っています。
サプライチェーン全体で行うサステナビリティ
カシオは国内だけでなく中国やアセアンのサプライヤーから資材を調達しています。これらのサプライヤーで人権侵害や労働問題、環境破壊などが引き起こされないように、公正で公平な取引と人権や安全・健康等への配慮などを遂行することは必須とも言えます。
そのために、カシオでは資材調達方針の遂行のための指針を制定し、取引先すべてに賛同を得ており、定期的なモニタリングでさらなる取り組みの強化や、独自の「人権チェックツール」を用いて人権に関する課題に対処しています。
まとめ
今回はカシオによる、環境問題への対策などSDGsに貢献する取り組みをご紹介しました。
プラスチック使用量の削減からリサイクルの促進、温室効果ガス排出の削減に向けた具体的な取り組みまで、カシオはサステナビリティを経営の根幹に置き、環境に配慮した製品とサービスを提供し続けています。
また、サプライチェーン全体での人権への配慮も行っており、その姿勢はビジネスだけでなく、社会全体への責任を果たすための活動となっています。今後もカシオのこれらの取り組みは進化を続け、持続可能な社会の実現に向けた活動が期待されます。
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