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SOCIETY

持続可能な開発目標とは|日本の取り組みと私たちにできること

Photo by Croissant on Unsplash

「持続可能な開発目標(SDGs)」という言葉を見聞きしたことはあっても、「結局、自分には関係ないのでは?」と感じている方は少なくないはずです。学生団体のプロジェクト支援を続けるなかで、「SDGsって企業や政府がやることでしょ」という声を繰り返し耳にしてきました。その誤解を丁寧にほどきながら、日本の現状と日常でできる一歩をお伝えします。

SDGsとは何か|17の目標の背景をおさえる

SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた、2030年までに達成を目指す国際目標です。17のゴールと169のターゲットで構成され、貧困の撲滅・気候変動への対応・ジェンダー平等・質の高い教育など、地球規模の課題を包括しています。

「なぜ2030年なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。2030年という期限は、科学的な警告ライン(気温上昇1.5℃制限や生物多様性の臨界点など)と、国際社会が合意できる政治的な現実のバランスをとって設定されたものです。「余裕がある目標」ではなく、今すでに残り時間が少ない、実装フェーズの真っ只中にあります。

SDGsの前身である「ミレニアム開発目標(MDGs)」は2000〜2015年に掲げられ、極度の貧困人口を半減させるなど一定の成果を上げました。SDGsはそのMDGsを引き継ぎ、先進国も含めた「すべての国」が主体となる点で大きく異なります。日本も例外なく、当事者として17の目標に向き合う立場にあります。

日本はSDGsをどう位置づけているのか

「日本政府もSDGsに取り組んでいるというけれど、具体的には何をしているの?」という問いはもっともです。

日本では2016年5月、内閣総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」が設置され、同年12月に「SDGs実施指針」が策定されました。この指針はその後、2019年・2023年に改定されており、国内外の優先課題や行動計画が定期的に見直されています。外務省は毎年「ジャパンSDGsアワード」を実施し、取り組みを先導する企業・団体を表彰することで全国への普及を図っています。

また内閣官房は「SDGsアクションプラン」を毎年更新し、経済・社会・環境の三側面を統合した施策を束ねています。環境省・外務省・文部科学省・経済産業省などが各ゴールを担当する形で省庁横断的な体制がとられています。

国際的な評価から見えてくる課題

SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)とベルテルスマン財団が毎年公表する「SDGsインデックス」では、日本は近年17〜21位前後(2024年版では18位)に位置しています。スコアは高水準を維持しているものの、課題が多いのは「ジェンダー平等(目標5)」「気候変動(目標13)」「海洋資源(目標14)」「陸上資源(目標15)」など、環境・社会分野の複数ゴールです。

「順位が高いのになぜ課題が多いの?」と感じる方もいるかもしれません。SDGsインデックスのスコアは経済・教育・インフラなど得意分野がスコアを押し上げる一方、環境負荷や社会的不平等の指標が足を引っ張る構造があります。「全体スコアは高いが、環境・ジェンダー分野は課題が残る」というのが、日本の正直な立ち位置です。

17の目標、日本にとってリアルな現状は

17の目標を一覧で示すだけでは「どこから考えればいいかわからない」という感想になりがちです。日本の文脈で特に注目度が高い目標を、よくある誤解とともに整理します。

目標1・2|貧困と飢餓は「途上国の話」ではない

「貧困や飢餓は日本には関係ない」という誤解は根強いですが、実際には日本の相対的貧困率は約15%前後で推移しており(厚生労働省「国民生活基礎調査」)、特にひとり親家庭の子どもの貧困は国際的にも高い水準にあるとされています。食料支援を行うフードバンクの利用者数は2020年代に入り急増しており、国内にも飢餓・食料不安の問題は存在します。

目標5|ジェンダー平等は日本の最大の弱点

世界経済フォーラムが毎年公表する「ジェンダーギャップ報告書」で、日本は2024年版で146か国中118位という結果でした。政治・経済分野での女性参画の遅れが主な要因とされており、SDGsインデックスでも「ジェンダー平等」のスコアは低く、日本の達成度において最も重要な改善課題の一つとされています。

目標10|格差の問題は社会の構造に組み込まれている

「日本は平等な社会」というイメージを持つ方もいますが、正規・非正規雇用間の賃金格差、地域間格差、障害者の就労機会の不平等など、目標10「不平等をなくそう」が指す問題は日本社会に広く根を張っています。外国籍の住民が直面する制度的な障壁も、近年の議論で注目されるテーマです。

目標12・13|消費と気候、日本の生活スタイルとの接点

日本は世界有数の消費大国であり、1人あたりの食品ロスや廃棄量は依然として課題とされています。農林水産省・環境省の推計では、国内の食品ロスは年間約472万トン(2022年度)にのぼります。目標12「つくる責任・つかう責任」と目標13「気候変動に具体的な対策を」は、日常の買い物・食生活・移動手段と直結する目標です。

「SDGsは難しい」と感じるのはなぜか|3つのパターン

支援してきた学生団体のプロジェクトを振り返ると、SDGsを「難しい」「自分ごとにならない」と感じる理由は、いくつかのパターンに整理できます。

パターン1|目標が多すぎて優先順位がわからない

17目標・169ターゲット・232指標という規模に圧倒されてしまうケースです。「全部やらなければいけない」という思い込みが行動を止めます。実際には、自分の生活・仕事・関心と接点のある目標から入れば十分です。すべてのゴールは相互につながっているため、一つに深く関わることで別のゴールにも波及します。

パターン2|「どうせ個人では変わらない」という無力感

これは正直、気持ちとしてはわかります。ただ、SDGsが明示している変化の主体は政府・企業だけではなく、「市民社会」と「個人」を明確に含んでいます。個人の行動が企業の調達方針や政策立案者のシグナルに影響を与える仕組みは、実際に機能しています(例:フェアトレード商品の市場拡大、プラスチック削減規制の立法化など)。

パターン3|「SDGsウォッシュ」への不信感

企業がSDGsロゴを商品に貼り付けるだけで中身が伴わない「SDGsウォッシュ」への不信感から、SDGs全体に距離を置いてしまう方もいます。この感覚は鋭く正しい問題意識です。ただ、目標そのものは国連で合意された普遍的な枠組みであり、ウォッシュを批判しながらも目標の本質を自分の判断軸として使うことができます。「SDGsを語る企業の実態を見極める目」を持つことも、SDGsへの関わり方の一つです。

日本の企業・地方自治体の事例

「取り組んでいる主体はどんな組織なの?」という疑問に応えるために、公開情報をもとに具体的な動きを紹介します。

地方自治体の「SDGs未来都市」

内閣府は2018年度から「SDGs未来都市」を選定しており、2024年度時点で累計182都市が選定されています。北海道下川町、神奈川県、富山市、北九州市などが先進事例として知られており、地域の脱炭素・少子化・産業振興をSDGsの枠組みで統合した計画を実行しています。「東京だけの話」ではなく、地方の中小都市が先駆者になっているケースも多い点は注目に値します。

企業のサステナビリティ報告とSDGs

大手企業を中心に、サステナビリティレポートやCSR報告書にSDGsとの対応表を掲載するのが標準的な慣行となっています。ただし「どのゴールに貢献しているかを掲載する」だけでは不十分で、具体的なターゲット・指標・進捗データを開示しているかどうかが、本物の取り組みを見分けるポイントです。

企業がSDGsにどう向き合っているかを深掘りしたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

私たちが今日から試せる1アクション

「何をすれば良いかわかった気がするけど、結局どこから始めるの?」という問いに、一つだけ答えます。

今日試してほしい1アクションは「自分が毎週使うお金の行き先を1か所だけ変えてみる」ことです。

フェアトレード認証の商品を選ぶ、地元の農家から食材を買う、オーガニックコットンのブランドを試す——いずれも「消費を通じた意思表示」です。SDGsは「知識を増やすこと」よりも「行動の連鎖」によって前進します。全部一度に変える必要はなく、1品だけ、1週間だけ試してみることが出発点になります。

まとめ|SDGsを「自分ごと」にするために

持続可能な開発目標(SDGs)は2030年を期限とした国際目標ですが、「遠い話」ではありません。日本国内の貧困・ジェンダー格差・食品ロス・気候変動など、私たちの日常と直結した課題がそこに並んでいます。日本は国際的に高スコアを維持しながらも、環境・ジェンダー分野での遅れが明確に指摘されており、「まだまだ取り組みが必要な当事者」の立場にあります。

  • SDGsは2015年に国連で採択された17の目標・169のターゲットからなる国際指針で、先進国も当事者として取り組む枠組み
  • 日本はSDGsインデックスで上位に位置するが、ジェンダー平等・気候変動・海洋資源などの分野に課題が集中している
  • 内閣府のSDGs未来都市、省庁横断のアクションプランなど、国・自治体・企業が重層的に関わっている
  • 「SDGsウォッシュ」への批判眼を持ちながら、消費行動・情報発信・投票行動など日常の選択を目標と結びつけることが実践の第一歩

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