企業が環境・エネルギー問題への取り組みによって新たな職種や雇用を創出するとともに、環境に関する高い意識や専門技術を有する人材を積極的に活用することを「グリーン雇用」といいます。環境問題の解決に貢献しながら、働く人がやりがいを感じられる仕事として、世界的に注目が集まっています。
グリーン雇用とグリーンジョブの関係
「グリーン雇用」は、企業の採用や人材活用の戦略的な側面を指します。一方、ILO(国際労働機関)が発表した「グリーンジョブ報告書」では、グリーンジョブを「農業、産業、サービス、そして行政の分野は問わず、環境の保全と復元に寄与するあらゆる仕事」と定義しています。つまり、グリーンジョブは「環境に貢献する仕事そのもの」を指し、グリーン雇用はそうした人材を企業が積極的に雇用する取り組みのことです。
具体的な職種と職域
グリーンジョブの職種は、環境関連産業に限りません。
公害対策などの環境産業から、気候変動対策に取り組む適応・緩和ビジネス(再生可能エネルギー、省エネルギー、自然災害対策)、企業のサステナビリティ経営を推進する社内専門職や外部支援者としてのコンサルティング職、金融・不動産などのセクターにおいても新たな仕事が生まれています。再生可能エネルギーの導入、省エネ設備の維持管理、環境認証取得のサポート、サステナビリティ報告書の作成など、様々な職種が存在します。
グリーン雇用が広がる背景
世界的に脱炭素化への動きが加速する中、環境問題の解決には実際に取り組みを行う労働者の育成が不可欠です。
IEA(国際エネルギー機関)によると、2022年の世界のエネルギー部門で働く労働者の数は約6,700万人であり、増加傾向にあります。さらに、2020年、国際連合環境計画(UNEP)が、グリーンジョブの創出が持続可能な社会を創るうえで世界的にますます重要なテーマとなっていることを発表しました。
ディーセント・ワークの要件
グリーン雇用で重要なのは、単に「環境に関連した仕事」であるだけではなく、働く人にとって安心できる職場環境が整っていることです。
グリーンジョブはディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の要件を満たし、環境保全・環境維持に貢献する仕事を指します。つまり、適正な給与、安全な労働環境、キャリア形成の機会がそろってこそ、初めて「グリーン雇用」と呼べるのです。
私たちにできること
グリーン雇用が拡大する社会の実現には、就職希望者も企業も互いにアプローチできます。求職者は、自分の環境への関心や専門スキルがどのセクターで活かせるのかを探索する。企業は、環境への取り組みを推進する際に、必要な人材像を明確にして育成する。こうした両面からの努力が、やりがいのある仕事と環境問題の解決を同時に実現する社会へ向かわせるのです。

